浮世を去りて

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写句詩(うつくし・二句一行詩)


     水無瀬晩秋歌②


            『 浮世を去りて 流れに委ね 』










      秋の黄昏。隠岐に流された後鳥羽上皇は、

     日本海に没する夕日を、じっと眺めていたことでしょう。

     落ちた紅葉は、身を水無瀬の僅かな渓流に託して流れさ迷うままに。

           




〔写真は晩秋の水無瀬川上流の渓流〕

     「水無瀬川」は枕言葉として多くの歌人に親しまれました。

     水がほとんど無いのです。地下にしみこんでしまうからなのです。

     「ひそかに思いを寄せる」という意味を含んだのですね。

     「万葉集」「枕草子」「古今集」「山家集」「増鏡」「新古今和歌集」などに
     水無瀬川が詠まれています。


その他に、後鳥羽院が水無瀬の離宮で開催した歌合『水無瀬恋十五首歌合』

宗祇〈そうぎ〉と弟子の『水無瀬三吟百韻〈みなせさんぎんひゃくいん〉』
         などが有名です。




         歌は、代表的な歌は沢山ありますが、あえて後鳥羽上皇の御歌。
         

        「みわたせば 山もと霞む水無瀬川 ゆうべは秋と なに想いけん」