クマザサの中の女性用トイレ
私の履歴書・380
(世子とのドライブ ①/③)
ダイアリーの中に、色々とメモしていました。
その中から、直ぐに思い出せたことから。
1990年8月10日(金曜日)のこと。
世子が話しかけて来ました。
「所長、お盆はどうされますか?」
「15日私に付き合ってくださらない?」
「あ~、いいよ。何処へ?」
「函館に行こうと思うのです」
「何でまた管轄外の函館へ」
「㈱北海道料飲コンサルタントが函館に造った健康センター『漢方・励明薬湯センター』がオープンしたので、その写真を撮ろうと思いまして」
「じゃあ、そうしようか」
そして、
15日午前十時に豊平区の札幌営業所を出発。
世子が運転で私は助手席。
日本海側の雨は小降りになっていました。
平地を走っている時ですね。
世子 「おしっこが出る」
世子は、木造平屋建ての一種のドライブインに車を停め、トイレに行きました。
暫らくして出てきました。
もう済んだものと思いましたが、そうではなかったですね。
「トイレが汚すぎて到底する気になれない」
そう言って車を走らせました。
やがて、ローカル国道は峠になりました。
その時は霧雨になっていましたね。
突然、世子 「漏れるゥ!」
私 「この山の中じゃ何も無いから、何処かに停めて草の上にするしかないね」
本州と違って、何も無い時は幾ら走っても何も無いのが北海道。
それから20分は走ったでしょうね。
私 「早くその辺に停めなさい。対向車なんて一台も来ないじゃないか」
尚且つ、それから10分は走りましたね。
峠の下りにかかったとき、急に左折。
車幅ぎりぎりの山道を駆け上がりました。
200mほど進んでちょっと広めの所で停止。
笹薮の中にバックで車庫入れですね。
(画像は借用しました)
そこで薮を掻き分けドアを開け、笹竹の中に消えて行きました。
処が、5分も経たないのに帰ってきてトントンと助手席のドアをノックします
もう済んだのかな?
それとも何かあったのかな?
「所長、テッシュをとって!」
「何処?」
「後部座席に箱があるでしょう」
「あいよ」
世子はテッシュ箱を抱えたまま、再度笹薮の中に消えて行きました。
処が、5分経とうが帰って来ない。
10分経っても
薮の向こうはシーンとした雑木林。
その奥は霧の中。
相当奥地まで行ったのか。
まさか、熊に襲われているのじゃないだろうな?
然し、心配だからと言って、25歳の女性の小水している現場確認に行く訳にはいきませんね。
はらはらしながら待ちました。
20分経過。
これは何かあった!
崖からでも落ちたかな?
山の中で誰かと出会って暴行を受けているかも!
心配しだしたら、悪いことばかり想像してしまいます。
これはいかん!
世子を助けに行かなきゃ!
意を決し、ノブに手を掛け後方をみると、遠くの薮が微かに動いている。
やがて彼方の繁みの向こうで真っ赤な制服がチラリと見えましたね。
ほっとしましたね。
「お待ちどうさま」と言って世子は車をスタートさせ、国道に戻りました。
私、疲れがドッと出ましたね。
江差から函館に入り、「励明薬湯センター」の写真をバカチョンで撮った時はもう午後5時を過ぎていて暗くなっていました。
つづく
(続編)
私の履歴書・381 気分は恋人同士の函館の夜 (世子とのドライブ ②/③)
私の履歴書・382 分からなかった会社を辞めたい理由(世子とのドライブ ③/③)
(目次)
私の履歴書・40歳代北海道編 目次(1)