気分は恋人同士の函館の夜

 
 
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   私の履歴書・381
      (世子とのドライブ ②/③)
 
 目的地の函館健康センター励明薬湯に着き、先ずは全景をパチリ。
 
「所長、お風呂に入っていきますか?」
「堪忍してちょうだい。清田(札幌市)の励明薬湯が出来たとき入浴してエライ目にあっているから」
 
 注)札幌清田健康センター 札幌市豊平区清田2条3丁目 (当時、北海道料飲コンサルタント㈱が新築)
 
「男の人ってそうなるらしいのね」
世子は一人で建物に入って行きました。
 
実は、励明薬湯に入ると身体に良いのは分かります。
でも、問題は悲劇が待ち受けているのです。
但し、その悲劇は男にだけ。
 
湯船につかった時は全く何でもないのです。
それがそれが、限定した箇所だけがじわりじわりと痛くなってくる。
 
どこが?
男だけが抱えている連珠。\(~o~)/\(~o~)/
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それからあわてて湯船から出ても、もう遅い。
のたうちまわりたくなるほどひりひりするのですよ。
 
上から普通のお湯で洗い流しても効果なし。
但し、慣れたらそうでもないらしいのですが。
 
世子は、受付に名刺を残して出てきました。
「励明薬湯の全景を写真に撮っただけでは来た証拠にならないわね」
 
そこで正面を背景にした世子を私がフラッシュで三枚程撮り直しました。
これで世子のその日の任務終了。
 
 
「所長、LL社函館営業所に寄りましょう。あそこにはLL社札幌東営業所時代の総務課長と営業員が今日出社しているはずですから」
 
LL社の応接で話してから営業所を出たのが午後6時。
「所長、御飯を食べに行きましょう」
 
そう言って世子が案内してくれたのが炉端の「函館あかちょうちん」。
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混んでいて坐ったのはカウンター。お互い、一つの焼き魚や刺身を二人で箸を突っつきながら気分は恋人同士。
 
午後8時にそこを出ると、
「所長、函館の夜景がきれいに見える穴場があるのよ」
車は坂道を上って行きました。
 
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入ったのは丘の上のこぎれいで小さなレストラン。
窓際の席からは雨上がりのくっきりとした函館の夜景を見下ろせました。
 ,
注)夜景画像は、函館ロープウエイの許可をいただいて掲載しております。
 
恐らく、以前、彼氏と一緒にこの光景を眺めたのでしょうね。
ここでコーヒーを注文。
 
とりとめもない話をしました。
やがて言葉が途切れました。
 
レストランの客は私達二人だけになりました。
いつの間にか店内では灯りを落とし、薄暗くなっていました。
 
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明るいのはテーブルの上の赤いグラスキャンドル。
それと、二人でじっと見つめる100万ドルの函館の夜景。
 
何かを言えば何かが起きそうでした。
暫らく沈黙の時間が過ぎていきました。
 
マスターが言いました。
「ラストオーダーです」
 
時計はもう午後十時。
2時間もいたことになる。
 
「所長、出ましょうか」
世子の運転する車に乗り雨上がりの街を走り、やがて国道へ。
 
「札幌に帰りますわ」
そう言うなり、世子はアクセルをぐいと踏み込みました。
飛ばしましたね。
 
帰路は、国道5号線の通行止めは解除されていました。
狭い国道5号線沿いには、ポツンポツンと町が点在。
 
街中を通る時、両側の白い街灯が雨上がりの濡れて黒く光るアスファルトに映る。ヘッドライトの光は吸収されて届かない。
 
一人も歩いていない街。
対向車の来ない国道。
 
そこを時速100km~120kmで突き抜けていきました。
野良猫が飛び出してきたら、車は民家に突っ込んだでしょう。
 
お互い、終始無言。
ノンストップでしたね。
 
札幌の事務所着が16日午前2時ジャスト。
つまり函館から丁度4時間で札幌に着いたのでした。
 
早く着いたものです。
明け方になるものと思っていました。
当時、函館⇔札幌間は車で5時間半が普通でしたから。
 
参考1)今は七飯町長万部の5号線は自動車専用道路で5時間が一般的とか。参考2)当時のJR特急電車(北斗、おおとり等)では函館⇔札幌間は丁度4時間。
 
 
然し、あの丘の小さなレストランで世子は私に何かを言いたかったのに言い出せなかったのでしょうね。

彼女の悩みを聞こうと思いましたが、あの雰囲気で聞きますと只では収まらない。
 
特に世子とは札幌クラブハイツで何度もチークダンスを踊っていますから、涙を流されますと躊躇無く抱きしめてしまいそうでしたね。
                              つづく
 
 (書庫)
私の履歴書・40歳代北海道編 目次

(あかちょうちん画像)