一線を越せなかった原因

 
 
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           私の履歴書・363
 
私、意識的に眠ったのではないのです。
本当に眠たかったのです。
 
眠たい原因の一つは、前回の記事にも書いているように「世子と亜子の午前様帰社」でしたね。とにかく、常日頃、寝不足状態。
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二つ目の原因は、多忙な仕事での精神的疲労と煙草です。
 
特に札幌着任三年目(1989年)以降、それまで以上、多忙になりました。
仙台での東北所長会議ではなく、本社・支店長会議に出席したからです。
 
(参考)会議日は、毎月4日以降7日以内でした。
全支所に端末を置いてオンラインでしたから、全支所の月次決算の出来上がりが翌月の3~4日。
(注1)端末 大型コンピューターの端末装置の略 キーボードでの打ち込み専用 
(注2)月次決算 毎月の決算のこと
 
会議の日は、金曜日が多かったですね。
私の場合は、木曜日に千歳空港→伊丹空港へ。京都前泊。
 
会議は金曜朝から終日。
出席者は、社長・副社長・専務・常務・平取締役・工場長(取締役)・各事業部長・支店長(6人中、4人が取締役)・所長は私一人だけ。
 
この会議では、各項目の前月予算を達成しないと、罵声が飛んで来ますし、厳しく追及されるのです。
 
(注3)私の全道での年間予算項目は、①売上額②粗利益額③純利額④台数
これを総称して「数字」。これを基に、各月への予算配分したものが、月次予算。
 
未達の場合、二度と立ち上がれない程やられましたね。
普通の神経では、胃をやられて即刻入院でしょう。
 
当時、ある大手商社の役員会では、社長から予算未達の取締役めがけて灰皿が飛んできたと聞きましたから、企業戦士とは凄まじいもの。
 
 
それもそうです。全ウズマサの社員とその家族を合計したら6~7千人。
その生活を守らなきゃならないのですから。
 
(注4)1990年度の場合は、税引き後純利益は確か40億円、翌年が73億円だったと思います。
 
夜は、会議参加者全員でパーテーの場合や料理屋の二階で一種の宴会。
会議でサンドバックされた支店長を慰める会でもありましたね。
 
(余談)
翌日(土曜日)会社は休みですが、会議参加者全員が、支店長会議で話された課題の検討と討議。
夕方解散。以後、私は吉田常務とタクシーで祇園花見小路へ行くケースが多かった。
但し、午後8時過ぎには常務と別れ、祇園からタクシーで京都駅へ。
ここで午後9時前発、特急寝台日本海3号乗車。
日曜日の翌朝、羽後本荘駅着。
田舎に一晩泊まってその翌日の月曜日、タクシーで秋田空港へ。
秋田空港→千歳空港 リムジンバスで豊平局前下車→出社。
 
 
ですから、帰路、機上で千歳空港が見えたら、何とほっとしたことか。
 
但し、事務所での天国は2~3日だけ。
それ以降は、数字との戦いの世界でしたね。
 
私達の業界も遅ればせながらバブル期に入りました。
売店相手の商売ですから、他の業界よりは何年か遅れましたが。
 
この頃、年間予算は、昨年対比50%アップ。
物によっては、倍。
 
今まで以上に、当月の最終見込み数字・三ヶ月先・半年先・年度の最終数字を見定めていかなければなりませんでした。
 
道内各支所報告での見込み数字は度々変化します。それも大半が悪い方向に。
予算達成が困難な支所へは、飛んで行って現地状況確認と対策を打つ。
 
北海道の場合は、地方都市毎、全く異なる市場ですから、一種のもぐら叩き状態の時もありましたね。
 
数字の悪い時の月日の経つのは早かったですね。
あっという間に月半ば。あゝ、今度の会議は地獄。
 
状況が好天しそうもない時は、イライラ。
でも、その表情を部下に見せる訳にはいかない。
 
然し、イライラしながらも眠たい。睡眠不足。
こういう場合は、何故か煙草が欲しくなる。
 
札幌着任時、吸っていた煙草は、「キャビン」
ところが、これでは喉が痛くて吸えなくなりました。
 
そこで「マイルドセブン」に変更。
タールの多い煙草では、喉も痛くなるはずです。
 
何しろ、事務所での私は、毎日、4箱から5箱は吸いましたから、いつも口から煙を吐いていた訳です。
 
ですから、当時、部下達は私を「人間蒸気機関車」と言っていましね。
 
 
煙草のニコチン効果は、ニコチンに酔ってのイライラの解消にあります。
タールの方は、肺がタールで覆われ、脳回路への酸素供給不足となります。
 
だから、吸い過ぎると、益々思考回路が鈍くなり眠くなる。
私の場合、これで丁度良い。
 
他方、中年で煙草を止めた人の理由って、健康の為とか金銭的な為とか言っていますが、本当の理由は違うような気がしますね。
 
 
 
                                                                  
                                留萌慕情(8)