雪雲に煙る旭川の街を見下ろす
追記)2011.03.13追記
先日、分かったこと。
この件で、けいあん氏にはわざわざ現地まで行っていただき、大変なご足労をおかけしましたこと、
深く御礼申し上げます。
けいあん氏のブログ http://ja8dni.cocolog-nifty.com/blog/
けいあん氏のこの件に関しての記事 http://ja8dni.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-09e9.html
私の履歴書・361
二人とも分かっていました。
留萌から旭川に帰らなければならないことを。
帰路の雪道。
雪は上っていました。
眠い。
目を開けられない。
ザザ~!
タイヤの音が変わる。
薄目を開く。
車は、左の雪の側壁に当たりかかる。
睡魔が襲う。
瞼を閉じる。
ザザ~!
右の雪の側壁に当たりかかる。
右へ左へと繰り返しながら車は走る。
お互い、とにかく眠い。
彼女は往路、降る雪の中を幾時間も運転。
復路もハンドルを握っているのは彼女。
運転を代わりたいが出来ない。
まともに開けられない私の両目。
対向車が来たらどうなる?
それ以上を思考することが出来ない。
ともかく眠い。
遙か彼方の小さな黄色の光がだんだん近づいてくる。
対向車が来たのはこの一台のみ。
何時間走ったのだろう。
何度、目を覚ましたのだろう。
止んでいた雪が降り始める。
旭川に入ったのだろうか。
除雪されたばかりの脇道に入る。
人家は消え、ゆるい坂道を上り始める。
やがてぽつんと左手奥に旅館のような木造の建物。注)旭川ユースホステス
車はそこを通り過ごしてから左にカーブし猶も上る。 注)場所(イ)
そこから眠ってしまう。
振り返れば 注)場所(ロ)
左後方に通り過ぎて来たラブホのネオンが見える。
.
注)このラブホの当時の名前が「ホテルレインボー」。後、「ホテルアイルヒルズ」に。現在、このホテルは取り壊しています。
また睡魔に襲われる。
うっすらと目を開けると丘の中腹の小さなロータリーに水銀灯が一つ。注)場所(ハ)
そこでUターンして今来た道を下り、反対車線の右端路肩に逆向きに駐車する。
晴れていたら、眼下に旭川の街の灯りが見えたのだろう。
月の夜は、遙か彼方に大雪山(だいせつざん)を望めたのだろう。
間も無く、一台の車が上って来る。
ロータリーで引き返し、不思議そうにこちらを見やって降りて行く。
何故、ここに停めたのだろう。
それも、真下にラブホの赤いネオンが微かに見えるこの場所に。
運転席の彼女。
助手席の私。
どちらかが、何かを口に出したら、この車はあのラブホに入る。
そこで待ち構えるのは、お互い、過去の全てを失うシナリオ。
重苦しい空気がよどむ。
無言が続く。
越えようとするも、越えられぬ君。
そして私。
流れる涙。
狂おしく。
そして私。
流れる涙。
狂おしく。
雪は、いつの間にか止んでいました。
丘の中腹から見下ろす旭川の街には依然と灰色の雪雲が覆う。
大雪山(だいせつざん)の方角でしょうか。
微かな明るさ。
夜が明けようとしていました。
そして、いつの間にか眠ってしまいました。
留萌慕情(6)
【私の履歴書(No.356~368)留萌慕情 目次】
私の履歴書・356 やり過ぎてしまったチークダンス
留萌慕情(1)
由紀ちゃんの身体が突然燃える。
私の履歴書・357 まさか同じ事態に陥るとは
留萌慕情(2)
私を冷やかす人妻・伊織さんも。
私の履歴書・358 白銀の世界、潤む瞳、それは涙
留萌慕情(3)
雪の晴れた朝、伊織さんを美しいと思いました。
留萌慕情(4)
大きな雪の降る旭川の夜でした。気分は恋人同士。
私の履歴書・360 暗闇の中の黄金岬
留萌慕情(5)
吹雪の黄金岬で、抱き合いました。熱きくちづけ。
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留萌慕情(6)
赤いネオンのラブホを真下に、越えられぬ私達。
以降、この記事は、私の履歴書・368 『三十代の美少女にもらい泣く 留萌慕情(13)』まで続きます。