猛吹雪の旭川空港着陸でした
私の履歴書・350
でも、それを断りました。何しろ本社吉田本部長は情実人事をする人です。
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私が媒酌人をするよりその方が斎木君の将来の為になります。
私が本社吉田本部長にお願いしました。
そこで、吉田本部長の出席する道内会議を結婚式の翌日15日(月曜日祝祭日)に札幌オリエンタルホテルで開催する事にしました。
これで吉田本部長一人分の旅費は出張費で清算出来ます。
私の媒酌人になった時と同じ対応でしたら、媒酌人にとり多大な出費となります。
斎木君には、媒酌人への対応について、事細かく指示をしました。
吉田本部長は、北海道の会費制結婚式がどんなものかを知りませんからね。
「エェ?旭川ではそうじゃないですよ」とは、私の言う都度発した彼の言葉。
会費制結婚式ですが、媒酌人に関しては本州と同じ対応にしました。
媒酌人夫婦の五つ紋付の羽織袴に黒留袖等一式は、事前に旭川に届いていましたから、髪結い・着付け等の費用負担をすること。
媒酌人への車代・謝礼。式場スタジオで撮った新郎新婦の写真を後日媒酌人に持って行くか又は郵送すること。その他諸々。
(参考)
私がなった媒酌人の場合、式場スタジオで撮った新郎新婦写真やスナップ写真を一枚も貰わなかったのです。
媒酌人でも買わなければならないとは後日耳にしたこと。
それに、例えどんなに遠距離から来ても車代を出さない習慣ですね。
何しろ祝賀会の主催者は発起人で、両家ではありませんから。
それ故に、当初の費用よりは15万円前後多くかかったと思います。
長い目で見れば、帳尻はちゃんと合うのですが、彼にとってこの時の余分な出費は相当痛かったかも。
さて、吉田本部長夫妻は前々日の金曜日に東京一泊。
「旭川空港は猛吹雪で、他の空港に降りるかもしれない。
案の定、何かが起こるかもと思い、この日、数人で出社していました。
特に旭川と言いますと、雪がタンと降りますからね。
然し、仙台に降りる場合もあるとは想定外でした。
仙台の場合、旭川への直行便が無いから翌日の結婚式には確実に間に合わない。
となると、媒酌人席が空になる。
妻に電話をし、万が一の場合、我等が代役となる準備をさせました。
他方、函館・北見・釧路の社員を、各事務所に待機させました。
旭川に降りられない場合、何処に降りるのか分からない。
六つのケースを想定し、夫々のケースをひと目で分かるように図で描き、各自の対応を添え書きし、それを各事務所にFAX送信。
間も無く両社共に話し中となり通じなくなりました。
「旭川空港の上空に飛行機が達しました」。後、「雪が激しくなり、千歳も降雪で一時空港閉鎖。仙台に引き返すかもしれません」との情報。
旭川空港上空で1時間20分旋回。
相変わらず降雪が激しいとの報告。
灰色の雲の中を飛んでいるジェット機の爆音のみは微かに聞こえるそうな。
長かったですね。
「こりゃ、もう駄目だ! 千歳は雪が止んだから降りるなら千歳」
千歳に降りた場合もそうですが、道内各空港に降りた場合を想定し、国鉄(JR)時刻表片手に特急電車との接続確認。
釧路空港の場合、釧路から旭川だと車で普通6時間はかかる。
それが吹雪の雪道だと一体何時間かかるのか。
一角しか点灯していない休日土曜日の札幌事務所。
ただでさえ薄暗いのに、四人しかいない事務所の雰囲気はどんより。
旭川空港着陸を諦めて沈黙が続いた時でしたね。
電話のベルが鳴りました。
「降りました! 一瞬垂れ下がっていた雪雲が切れて!」
旭川空港の斎木君からでした。
これで、無事明日は結婚式。
「おめでとう」と言いましたね。
「それで何時に着陸したの?」
「10分前です」
「直ぐに電話をせんかいな!」
「すみません。公衆電話に皆並んだものですから」
携帯電話の大きさが30cm程ですから、一般人が持てない時代でしたね。
その日、吉田本部長夫妻は、斉木君の車で一旦旭川事務所に寄ってからホテルに入りました。
翌日のトーヨーホテルでの挙式並びに祝賀会は、滞りなく進行した事は言うまでもありません。
我等は、今回もビール瓶片手に、会場の中を足首と腰に疲れが出る程さ迷い歩きましたね。
(右の写真)ビール瓶を持っているのが私。この結婚式の写真もこれ1枚のみ。