紀元前も現世も事の成否は部下の教育訓練

 
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   私の履歴書・342
 
LL社北見(営)牧田所長はいらだっていました。
 
稚内ランチェスター戦略が決まったのに!
同じ戦略でも北見ではなかなか進展しません。
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いらいらするのはごもっともです。  
何しろ彼の前任地・稚内市場ではシェア100%のブラウン社対比 0%の我社。
 
ブラウン社と稚内商業組合&加盟する商店と永年に亘る関係は相当なもの。
無論、LL社稚内営業所の営業員とブラウン社との関係も。
 
それが何故に僅か半年で我社の機器が過半数を占めるようになったのか。
当時の裏の事情を牧田所長は、知らなかったのです。
 
私が斎木君の要請にてお忍びで稚内に入り、牧田所長の部下の若手営業員と戦略について話していたのを。
 
稚内(営)の若手の彼等は、当初、牧田所長が唱える「ランチェスター戦略」なるものをちっとも理解出来ていない。
 
それに、何故ブラウン社ではなく我社の社員と同行販売をしなきゃならないのかも理解できていない。
 
斎木君に根掘り葉掘り聞いたそうです。
斎木君は、戦略については充分理解していましたから説明をしたそうです。
 
戦略論をスラスラと言う斎木君は彼等と同じ年代なので驚いたでしょうね。
 
「詳細は、うちの所長(私)から聞いて下さい。稚内に来てもらいますから」
と言う訳で、私が改めて稚内へ行ったのはそういう事情だったのです。
 
午後6時半から居酒屋で彼等若手三人に対しての販売戦略講義です。
国立市での事や函館戦争の事、大手企業の流通戦略などの事例も含めての話し。
 
居酒屋のテーブルで店主から新聞折込広告のチラシを五枚程もらい、その白紙となっている裏側に絵図を描いて説明しました。
 
この折込広告チラシの裏側に書いて説明するのが私のノウハウ。
社便箋でしたら相手が緊張しますからね。
 
彼等は都度質疑応答。
眼の色が違いましたね。
 
特に第百事務機との函館戦争なんかはLL社の極最近の生の話で、然も牧田所長の息子さんがからむ話ですから。
 
四時間があっと言う間に過ぎましたね。
 
それから本格的に飲み始めたのですから午前様になるのは寧ろ当然の成り行きでした。この隠密なる稚内出張講習飲み会が二回。
 
それ故にLL社若手三名が戦略を理解し、即、結果を出していったのです。
つまり彼らの仕事が、従来のロゴ機の販売からオセロゲームになったのです。
 
市場逆転のゲームになるから仕事が面白くないはずは無い。
毎日が一喜一憂、雄叫び(おたけび)の世界ですね。
そのゲーム感覚が営業所全体にあっという間に波及したのは当然です。
 
このゲームは、任天堂のゲーム「三国志」や「信長の野望」(コーエー社製)よりも遙かに簡単で、然もゲームの主人公はバーチャルではなく、自己自身ですから。
 
然しながら教育の伝播って面白いですね。
 
彼等は教わった事を体験し、その体験を他人に教える事により、自らが更によく理解し、更なる戦略の実践者、更なる教育者となる。
 
以前、本社係長時代、新卒に「ランチェスター戦略」と「孫子の兵法」を教え、翌年二年生になったその彼等に新卒一年生の教育を任せたら、一から十まで私が教えた通りに新卒の教育をしたのですから。
 
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呉子(ごし)「教戒を先となす」
 
呉子曰く、それ人は常にそのよくせざるところに死し、その便ならざるところに敗る。故に兵を用うるの法は、教戒を先とす。
 
一人戦いを学べば十人を教え成し、十人戦いを学べば百人を教え成し、百人戦いを学べば千人を教え成し、千人戦いを学べば万人を教え成し、万人戦いを学べば三軍を教え成す」
 
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これを今風に言えば
 
部下の業績が期待する結果とならないのは、教育訓練が出来ていないから。
だから教育訓練が大切で真っ先にこれをすべき。
 
一人を教育訓練し、その一人が十人を教育する。
これを重ねていくと鼠算式に全社員を教育できる。
 
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私の主宰する度々の温泉一泊二日の講習会も、この呉子の考え方に習ったもの。何れ、この北海道を大所帯するために、原点・幹となる人材育成ですね。
             
然し、ここまで書きましたら、北見でのその後の牧田所長のことで書く事がなくなりました。