勝敗は「将」次第

 
 
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   私の履歴書・341
 
LL社北見営業所の組織は、営業が1課と2課。
それに管理課。
 
所帯数は、所長に営業課長が2人、営業員が10名。
管理課長に事務員も含めて4名の計17名。
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果たして、牧田所長は部下を自由に動かせるのか。
 
彼が自信を持つランチェスター戦略とは、「戦闘機の戦いのみのデータから導き出されたもので、戦争全体のデータから導き出されたものではない」という事なのです。
 
ここにこの戦略の限界があるのです。
換言すれば、ランチェスター戦略だけでは勝てないんですね。
 
対して、『孫子』や『呉子』は単なる戦闘局面での戦略だけではないのです。
根底に流れるものは哲学でもあり心理学でもあり教育学でもあるのです。
 
戦略を考えるのは将であれ誰であれ、戦場の最先端で戦うのは兵。
企業で言えば、一介の社員ですね。
 
ところが、戦略の成否を握るには実はこの一介の社員なのです。
 
サッカーや野球の場合、監督が将(指揮者)に当たりますね。
現世ではTV中継されていますから、選手は明白な反抗的態度をとれない。
 
先日の野球でも起きたことは「バントの失敗」です。
何故にバントを何度も失敗するのか不思議です。
 
解説者は、「日頃、バントの練習をしていないから」と言いましたね。
成る程と一般的には納得できる。

私に言わせれば「わざと失敗している」のです。
 
翻って、では日頃選手は何故バントの練習をしないのか?
ここ一点勝負の時、大打者であろうとバント指示が出ることは当然ですね
 
特に短期決戦の場合、高校野球のように今日負けたら明日は無いのですから。野球選手としてバント練習をしておくことは当然のことなのです。
 
もしも選手がバント練習をしていないならば、彼の目的は「監督とチーム全体が望む勝利の為の貢献ではなく、個人の目立つ成績をあげること」ですね。
 
その意識レベルに過ぎない選手であることを見極め、改めてバント練習をしておくようにと指示を出しておくのが監督。
 
その指示もなく、突然日本シリーズのもう後のない緊張した場面で選手にバント指示を出した監督。

彼にしたら、ここでヒットを打ったら明日の新聞一面を飾れるチャンスなのに!!
まともにバントをする訳がない。
 
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呉起(ごき)は軍中にある時は兵士と同じ物を食べ、同じ所に寝て、兵士の中に傷が膿(う)んだ者があると膿(うみ)を自分の口で吸い出してやった。
 
ある時に呉起が兵士の膿を吸い出してやると、その母が嘆き悲しんだ。
将軍様がじきじきにあんな事をやって下されているのに、何故泣くのだと聞かれると
 
「あの子の父親は将軍様に膿を吸っていただいて、感激して命もいらずと敵に突撃し戦死しました。あの子もきっとそうなるだろうと嘆いていたのです」と答えたと言う。
 
この逸話の示すように兵士達は呉起の行動に感激し、呉起に信服して命も惜しまなかったため、この軍は圧倒的な強さを見せた。
 
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私が北海道勤務期間、ずっと唱え続けていたこと
 
「道・天・地・将・法」
(みち・てん・ち・しょう・ほう)
 
 これは「孫子の兵法―始計(戦争に勝つための五つの条件)」です。
それと、この中での「将」の中の一節
 
「智・信・仁・勇・厳」
 
参考)
 
孫子曰く、兵とは国の 大事 (だいじ ) なり、 死生 (しせい ) の地、 存亡 (そんぼう ) の道、察せざるべからざるなり。
 
ゆえにこれを 経 (はか ) るに 五事 (ごじ ) をもってし、これを 校 (くら ) ぶるに 計 (けい ) をもってして、その情を 索 (もと ) む。
 
一に曰く 道 (みち ) 、二に曰く 天 (てん ) 、三に曰く 地 (ち ) 、四に曰く 将 (しょう ) 、五に曰く 法 (ほう ) なり。
 
注)
「兵」  戦争のこと
 
「道」  一種の大義名分。理念。方針。組織全体の意志を一致させるもの。
「天」  時間的条件(情勢、タイミング)       
「地」  地理的条件(環境的条件)
「将」  指揮者・指導者の能力・適性。≪智・信・仁・勇・厳≫
「法」  組織の規律。賞罰や訓練も含む。
 
分かり易く昨今の事例で言えば、政権内部の発言がばらばらで意思決定先送りの最大の原因は、政権トップに「道」が無いからなのです。
 
だから突然とんでもないことを言い出したり、言う事がころころ変わったりぶれたりする。やはり「将」の問題ですね。日本の未来の明るい姿が見えないのは。
 
参考)
私の三十代半ばに買った本。
中国の思想 第10巻 「孫子呉子徳間書店 
最初に買った本は濡らしてしまったので、買いなおしたものです。
 
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