平穏な北見での騒動でした

 
 
 
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   私の履歴書・340
 
 
1990年4月1日、LL社稚内営業所牧田所長は北見営業所に栄転・着任。
 
 
その3年前の1987年1月5日、私は広島から札幌に着任。
その1月中旬、雪の中を車で札幌→旭川→北見へ。
 
道東北見の冬空は、旭川と違って真っ青。
我社の北見出張所の小さな事務所は、国道沿いで木造の年代物。
 
真冬の国道なのに道路に雪が無い。
代わって粉塵が舞い上がる。
 
路肩に残る雪は氷になっていて、然も粉塵で真っ黒。
石炭の塊みたいなもの。スパイクタイヤの功罪。
 
事務所の真ん中に置いてあるのはポット式オイルヒーター(煙突式石油ストーブ)。焚いても部屋は暖まらない。隙間風の好き放題。
 
駒井君の開口一番「所長、ここの寒さは半端じゃない!」
鼻水をすすりあげながら、か細い声で言いましたね。
 
その彼は妙におばさんに好かれる。
特に北見商業組合の婦人部長とは入魂(じっこん)の仲。
 
私が北見に行く都度、彼の案内する最初の訪問先は、国道沿線の婦人部長の店。
待っていましたとばかりに、婦人部長の破顔。
 
彼の趣味は燻製(くんせい)作り。
それもアパートの部屋の中で燻す。
 
三年も同じ部屋で燻し続けたら、部屋の壁とか天井とかは黒光りとか。
家主のおばちゃんが、もう、諦めているとか。
 
彼の作った燻製を一度も食べる事無く、彼をその年の秋に札幌に転勤させました。彼の去ったアパートの部屋を家主のおばちゃんはどう掃除したのでしょうかね。
 
北見で泊まったホテルは、当初は国道39号線(大雪通り)沿いでJR北見から北上した右側。その斜向いが我社の事務所。二日酔いでもぎりぎりまで寝ておれる。
注1)但し、今はその事務所もそのホテルも、もう無いようです。
 
駒井君から代わって塚本君の時代になると、宿泊ホテルは同じ国道39号線(大雪通り)ですが、JR北見駅から西へ車で10分ほど走って北にちょっと入ったホテルでしたね。
 
ここのホテルでは、冷泉を沸かした共同浴場スタイル。
隣接するパチンコ店と同じ経営でした。
 
何しろ温泉好きですから、ビジネスホテルのバスルームよりは遙かにGood!
注2)地図を見ますと、ここも今はもう無いですね。
 
夜の接待が無い時は、夕方、早めに二人で塩別つるつる温泉に入浴しました。
それから北見の街に戻って居酒屋で乾杯でした
 
注3)塩別つるつる温泉 北見市街から車で50分
当時、この温泉には宿泊施設は無かったですね。
 
注4)旧北見市内の市営温泉「のんたの湯」は未だ掘られていなかった。
 
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私の着任当時、北西の遠軽町紋別商業組合管内)をブラウン社が押え、東の美幌町(網走商業組合管内)はレッド社が押えていました。
 
北見商業組合管内での我社シェアは永年60%台を維持していました。
北見市そのものをがっちりと我社が押えていましたから。
 
尚、帯広に近い常呂郡訓子府町クンネップ、置戸町オケト、佐呂間町サロマ)はブルー社でした。
 
そしてこの地に、LL社稚内(営)から転勤してきたのが牧田所長。
 
処が、着任の挨拶でLL社北見(営)を訪問するも、所長の椅子にデンと座って毅然としている。余程北見所長の椅子の座り心地が良かったのでしょうね。
 
稚内の時と同様に、この北見市場をどう攻めるのかについて私に相談を持ちかけてくるものと思っていました。だが、その気配さえない。
 
稚内所長時代とは別人でしたね。
男、ポジションで人間が変わる。
  
間も無く、稚内の会議室と同様、ここの会議室でも模造紙に描かれた地図を何枚も壁に貼っているとかの情報が入りました。
 
私には見せてくれませんし、私も知らん顔をしていました。彼は、稚内での成功体験を基に、ここでは自分だけで戦略を練り、実践し、成功したかったのですね。
 
気持ちは分かります。
 
一つの事で成功すると、全てを知ったものと勘違いするのが人の常。
確かに一つの事しか見えないから、それが全てと思ってしまう。
 
 
当初、牧田所長は、我社の顧客全てにLL社ロゴ機を付ける故、今まで我社が顧客に販売した機器を引揚&買い取りせよと塚本君に言いました。
 
稚内で味をしめた手法なのです。
稚内のような我社の弱いエリアなら我社の戦略としても成立つ。
 
然し、ここ北見エリアは我社がNO.1。
これに同意しましたら、利益は吹っ飛ぶ。
 
何しろ買取した機器の転売先はこの市場では無い。
丁重に断りを入れさせました。
 
と、牧田所長は、ブルー社と組んで我社の牙城の北見市街に攻めると宣言。
 
稚内市場ではランチェスター戦略の「二点攻略・はさみ撃ち」で成功しましたから、恐らくここ北見市場でもこの戦略が通用すると思ったのでしょうね。
 
昨日の友は今日の敵。
これ、ビジネスの世界でよくあること。
 
然し、LL社北見(営)が例え敵方ブルー社と組んだとしても、大事なお得意さんのLL社北見(営)と真っ向から対決するわけには行きません。
 
それはそれ。
これはこれ。
 
塚本君への指示は
「特別な手は打つ必要が無い。従来通りの活動の続行で充分」
 
私はにやり。
 
我等が意識的に何ら新たな手を打たない状態でも、果たして彼の描いた戦略は成功するのか?
 
          お手並み拝見!