私へのご褒美はクラブハイツでのチークダンス

 
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一億円目標の月、世子(よこ)と亜子(あこ)営業員毎実績グラフは伸びていきました。
 
販売会社では何処でも見かけるグラフですね。
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私の作ったグラフは、模造紙に一人分10cm幅の棒グラフです。
実績一台分の高さが5cm。
 
納品完了した時点で、各営業員が赤のマジックで一台分のマスを塗り潰します。
これを塗るのが、営業員の喜びです。
 
このグラフは、来客でも見える位置に貼っています。
「凄い人が二人いますね」と来客は口を揃えて言います。
 
二本の赤い棒だけどんどん上に伸びていきます。
デットヒートを繰り広げる二人。
 
毎夕、事務所は赤い嬌声。
わざわざ棒グラフを塗るために一時帰社したり。
 
月末近くに、二人ともちょっと足踏みしましたが、月末には何のその。
世子と亜子の赤い棒グラフ二本は、共に天井まで届きました。
 
事務所の中では、亜子の万歳三唱の喚き声が何度も響く。
二人で納品実績は1億2千万円だったと思います。
 
無論、彼女等が二人で単月一億円を達成した事は、全国67支所、関連会社36社に速報としてFAXで流れました。
 
実際に売上計上させたのが、二人で1億700万円。
残る1千300万円は、売上を次月に繰越させました。
次月にぽしゃりますと、目も当てられないですから。
 
それは思い過ごしでした。
 
次月以降、各自、3千万円前後の実績だったと思います。
と言う事は、私の睡眠不足も続いたのです。
程度の差こそあれ、以降も彼女等の接待攻勢は止まず。
 
 
さて、約束通り高い高いすき焼きを食べさせに行かなければなりません。
当初予定は月の中旬。どちらかの都合で駄目になり、下旬になりました。
 
「所長、料亭には何を着て行ったらいいですか」
「まあ、そんなにかしこまらなくてもいいから普通で」
「じゃ、ジーパンですね」
「バカモン!」
 
世子はベージュのツーピース。
亜子は柄物のワンピースだったと思います。
 
行き先は、松阪牛すきやき専門料亭 「大手門」 (札幌市南11西1)
三人で格子戸をくぐって仲居さんに案内されて二階の座敷へ。
 
畳は新しくはなかったですね。襖も年代物。
漆塗りの座敷テーブル。高そう。
 
仲居さんがすき焼きを作ってくれます。
仲居さんがいると落ち着かないと言うので仲居さんを外させました。
 
肉と野菜は追加したのですが、どの位追加したのでしょうかね。
記憶にあるのは、亜子の大きく口を開けて食べる姿。
 
世子は、痩せのくせに結構食べるものと驚いたこと。
万札を食べているようなものですね。
 
私は、肉は大き目を一切れのみ。
何しろ、甘くてそれで充分。
 
ビールと熱燗は、二人で交互にひっきりなしに注いで下さいますから飲ませていただきました。
 
払いは幾らになったのかは記憶に無いですね。
JCBカードで払いましたから。
 
  
仲居さん達に見送られて外に出ました。
「所長、ご馳走さまでした。お腹がいっぱいだから運動に行きましょう」
「これからカラオケかいな」
「所長の大好きなところですよ」
「???」
「ダンスですよ」
「ダンスって? まともに踊れないよ」
「札幌クラブハイツですよ」
「そうよ。そこで所長とチークを踊ってあげる」
 
 注)札幌クラブハイツとはキャバレー。
歌舞伎町のクラブハイツが閉店しましたから、
今では、日本一大きなキャバレーとなりました。

 


(続編)
私の履歴書・301  札幌クラブハイツに行った契機

私の履歴書・40歳代北海道編 目次(1)~(3)