二人目のスーパーレディーとの遭遇
私の履歴書・287
「水無瀬所長、LL社でキャンペーンガールをしている二人の女性が、この三月末、契約三年の期間満了で退職するという事です」
「キャンペーンガールってアルバイトの学生じゃないの?」
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「あれ? 所長、知らないのですか? 常勤ですよ。自社商品の宣伝で、雪祭りのようなイベントの時に商品を配るとか、スーパーの店頭で宣伝するとか」
「普段は何をしているの?」
「何も無い時は営業員の車の助手席に乗ってお客さん回りですよ」
「きれいな人かい?」
「そりゃ所長、美人で然もスタイル抜群!」
「一度見たかったな」
「所長、LL社札幌支店(中央区)の受付に時々座っている女性ですよ」
「あぁ、そう言えば、丸ぽちゃの可愛い娘が偶にいるね」
「LL社は再就職の斡旋をしているの?」
「関与しないと言っていましたよ」
「それは名案。でも、あの丸ぽちゃでは、うちの会社の仕事は勤まらないだろうな。
鎌田あゆみさんの苦い例もあるし」
「私、実はその女性の方が可愛くて好きでしたが残念です」
「未だ決めていない方はどうなのかね?」
「痩せ型の美人で、ちょっと冷たい感がありますから、所長のお気に召しますか」
「美人と言うものは冷たい表情に見えるものだよ。一度会わせて下さいよ」
会いましたのは、LL社東支店(札幌市厚別)の近所のしゃれたレストラン。
22歳。札幌市内の高校卒。
第一印象は、加賀まりこのデビュー当時。
顔の作りは小型だが、目鼻立ちはくっきり。
かなりの美形。色気は無い。薄化粧。痩せ形。
お嬢さんで育った鎌田 あゆみさんのようなふっくらとはしていない。
顔の大きな亜子に慣れているから顔が殊更小さく見える。
私と話す時は横向き。
細いメンソール煙草をちょいと吸ってはちょっと煙を吐きながら。
テンションの高い声。
白けた物の言い方。
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この娘(子)、ふっくらとしたら、まばゆい美人になるだろうと思いながら。
果たしてこの娘を上手く育てる事が出来るだろうかと思いながら。
ひょっとして断られるかもと思いながら。
だからこの面談の時、私と彼女はどんな話をしたかは全く記憶に無いですね。
でも、三点は言ったはず。
その1)我社での女性営業社員第一号になって欲しいこと。
その2)4月1日に入社して欲しいこと。
その3)入社の可否の返事を5日以内にして欲しいこと。
彼女と別れてから魚住君の車に乗りました。
「所長、如何でしたか。世子(よこ)さんとお会いして。美人でしょう」
「かなり素がいい。ほとんど化粧していないね」
「毎朝鏡の前では三分以内らしいですよ」
「あれで色気が付いてふっくらしたらしびれるだろうな」
「所長、我社にきますかね」
「判らん。彼女はこれまで面接した会社を選ぶのか? あるいは職安での失業保険の途を選ぶのか? それとも我社を選ぶのか?」
「我社を選んだらどうなりますか?」
「彼女のこれまで一緒に仕事をしてきたLL社との関係。それと毎日訪問してきた顧客との関係。それらから判断すると、君達男三人の営業員は、ひょっとして彼女の爪の垢を煎じて飲まなきゃならんだろうな」
何かにしているうちに、それから五日目。
終日事務所にいましたが電話無し。
やはり駄目だったのか。
彼女の雇用につき、本社人事部や営業本部長への根回しは済んでいるのに。
六日目の朝ですね。電話が来ましたのは。
「私、休日を挟んだものですから一日間違っていて済みません。
もう一度、お会い出来ないでしょうか」
彼女と再度同じ場所で会いましたね。
3月31日付でLL社を退職予定。後、三日間は休ませて欲しいとのこと。
我社に入社する前に、色々と買い物をしておきたいとのことでしたね。
それで、初出社は、4月4日(月曜日)としました。
さてさて、どうやって彼女を超一流のセールス・ウーマンにするか?
あれやこれやと思考錯誤しているうちに4月4日がきましたね。
参考)
このお嬢さんはふっくらしていますが、世子の頬はこんなにふっくらとはしていませんね。
でも世子の写真と並べましたら結構似ている。
それは後日。