悩む19歳の亜子(あこ)は可愛い

初めて読まれる方へ)
 
高校1年で退学処分を受けた亜子(あこ)。
19歳の彼女が、「このままでは私は駄目になる」と、我社のアルバイトに応募。
そのくだりは、この記事の二つ前のNo.282から→No.283です。
 
 
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  私の履歴書・284
 
二日後、亜子から電話。
 
「眠たい声で、どうしたの?」
 
「昨日、友達と相談して朝帰りになったものですから」
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「平日に徹夜なんてどんな友達かいな?」
 .
「昔からの親友です。所長さん、やはり私、正社員は無理ですわ」
「何が無理なの? 履歴書はアルバイトでも同じでしょう」
 
「所長さんに何れ迷惑をかけることになるので」
「僕の事は心配無用。まあ、ともかく、書き直した履歴書を持ってきて」
「分かりました。一時間後にお伺いします」
 
亜子が再度来社しました。
白紙の履歴書を持って。
 
二人で、何処の高校を卒業した事にするか、亜子の情報を基に検討。
履歴書を書き改めました。
 
それでも私は正社員に固執しました。
然し、会社務めの未経験者の亜子にとって、未知の世界ですからね。
 
会社に提出する書類は、長期アルバイトで提出しました。
数ヶ月勤務後に再検討を約して。
 
10日後、亜子の初出社日。
やはり異様でしたね。
 
朝礼で改めて彼女を紹介し、机は私の前の列で常に見えるように。
そして、草野君の助手を命じました。
 
「所長、やっぱり私、無理ですわ」
「何でまた」
 
「だって、皆さん私をじろじろ見るのですもの」
「そりゃそうさ。男だったら君の大きな胸が気になってしゃーない。
でも、今日より明日。明日より明後日。だんだん君の胸に慣れてくるから」
 
「そうでしょうか」
 
 
「それはそうと、今日、君の大歓迎会を『サッポロビール園』でやるからね」
「所長に申し上げたでしょう。ドクターストップがかかっていることを」
 
「分かっていますよ。でも、入社歓迎会は、いつも『サッポロビール園』だからね。もう予約は入れてあるよ」
 
「私、困ります。やはり、会社務めは無理です」
「その話は、君の歓迎会の後にしてくれ」
 
「分かりました」
 
夕方、ほぼ全員が午後6時までに帰社。
タクシーを5台呼んで、順次ビール園へ。
 
 
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ジンギスカンで生ビール飲み放題。
 
3,000円也。これは会社の経費で落とせる額。注)1987年は@3,000円弱
 
大ホールはほぼ満席。
恒例にて一気飲みが始まりました。
 .
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中ジョッキで、男は3杯から12杯を一気に。
由紀ちゃんは、半分ほど飲んでお仕舞。
 
次は、亜子。
「所長、私も飲むのですか?」
「恰好だけでも」
 
ちょっと飲んで止めるつもりの亜子。
周囲が「一気!一気!」とはやし立てる。
 
で、それでお仕舞のはずだが。
「たいしたことが無いなあ」との声が聞こえる。
 
「所長、いきます」
「止めとけ!」
 
そう言った時には、もう「ゴクゴクゴク!」で空に。
 
大拍手!
「流石!」の声。
 
更に、傍にはもう一杯が差し出された。
「亜子! 止めとけ! 皆さん、亜子はドクターストップがかかっていますからもう勧めないで下さい」
 
宴のたけなわ。
暫し後、青白い亜子。
 
「亜子、どうした?」
「休んでいれば大丈夫です」
 
ビア・ホールの端の隠れた場所の椅子に座り、薬を飲みました。
「落ち着いたらタクシーで先にお帰り」
 
「所長、それは出来ませんわ。私の歓迎会ですもの。40分程したら席に戻りますから所長は皆の所に帰って下さい」
「よし、分かった。そうしよう」
 
 
翌朝、亜子を見る皆の眼差しに温か味が出てきたのが分かりましたね。
三日もしたら、はしゃぎ出した亜子。
 
すっかり溶け込んだ亜子でしたが、11月の観楓会(社員旅行)には参加拒否。
翌年2月になり、温泉一泊社員研修にも参加しないと言う。
 
「亜子、僕の腕の傷跡を見て御覧。これは小学校1年の時のBCGで腫れて膿を出す為にドクダミを使ったんだ。火傷(やけど)のようになっているだろう」
 
「私の火傷の跡と似てますね」
「身体のあちこちに腫瘍が出来て治った跡だと言ったらよいよ」
 
実は、亜子の腕には、煙草の火傷(やけど)の跡が幾つかあったのです。
ズベ公同士の喧嘩は煙草の火の灸(やいと)
だから、夏でも半袖は着なく、長袖だとか。
 
「亜子、自分が気にしたら他人も気にする。逆に火傷をオープンにした方がよいかも。出来物の跡だと言って」
 
不安な顔をして、ようやく一泊二日の研修会参加に同意しましたね。
 
さて、研修会の夕食は、いつもの通り宴会。
亜子も温泉入浴後で、浴衣に半天・丹前姿。
 
はしゃぐのが好きな亜子に時々耳打ち。
「おまえのは裾の乱れどころじゃないぞ。前をちゃんと閉めよ」
「あら、ごめんなさい。私、浴衣を着るのが下手ですもの」
 
翌朝、朝食の用意が出来たとの事で廊下に出ました。
魚住君と木村君が、走って逃げて来ます。
 
「ワァ~! 化け物だぁ~」
 
廊下には、亜子が立っていました。
 
「こらっ! 亜子! そんなスッピンで出て来る奴があるか!」
「すみません。朝食だと呼びに来たものですから、化粧していないことをすっかり忘れて」
 
無化粧だから唇は蒼白。
それに、眉毛は剃っていますし、髪は振り乱れて、一見、デス・マスク。
 
 
 
注)掲載されている札幌の画像は、アローズ氏が提供している壁紙です。
              http://tokyo.gonna.jp/