北の大地・道東の素晴らしさ
私の履歴書・271
1987年早春
釧路・根室出張では、
千歳空港⇔釧路空港。
偶に、千歳便が取れない場合は、丘珠(おかだま)空港→釧路空港(YS-11)
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この飛行が素晴らしいものでした。
日高山脈は、標高1,600m~2,000mの山々が南北直列。 ←ここをクリック
南端は襟裳岬。
大自然の美しさ。 ←ここをクリック
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この日高山脈をひらりとまたぐのですからね。
10月下旬から6月までは冠雪。
無論、冬季は、白銀の世界。
上空からの光景には、いつも溜息。
これ程、何度も官費で旅行気分になったことはありませんね。
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二回目からは、釧路空港でレンタカーを借りて、同じコースを単独で。
釧路⇔根室を電車で往復したのは一度だけ。
根室商業組合事務局では、直ぐに懇意になりましたね。
我社の由紀事務員の出身が根室で、然も、由紀さんの両親を松谷さんも事務員さんも知っていましたから。
札幌から電話をして、この事務局のお二人さんの都合の良い日に、根室出張。
そして、このまるしめのいつも利用する部屋は、奥の突き当たりの8畳間。
いつでしたか、この奥の部屋に行くのに、大広間の右横を通って行った時です。
襖が開いていて垣間見えたもの。
座敷テーブルの上には真っ赤な花咲ガニ。
その大きさには、驚かされました。
甲羅の寸法は、大きさも高さも30cmの鍋を引っくり返したようなもの。
それが座敷テーブル三卓で、計三匹。
仲居さんに聞きますと、そこは漁協の役員会の席だそうです。
流石、漁協さんですね。
商業組合の松谷さんは言いました。
根室と言えば花咲ガニ。
でも、根室沖では獲り尽くして小ガニしかいないという。
大きな花咲ガニを求めて北方領土の海へ。密漁ですね。
ソ連領海との境に線は引かれていないが領海線は明白。
日本側の海底は砂地。日本の漁船が根こそぎさらえている。
反してソ連側海底では、そこから大陸棚のように切り立っている。
ソ連側の海底の高さ2m~3mの崖(がけ)は、岩石ではない。
ホタテ等積み重なって出来たもの。 注)ホタテの大きさは蓮の葉並
そのソ連側の崖を少しずつ頂戴する為に国境侵犯。
日本の密漁漁船は超高速艇。船外機60馬力エンジン二機掛け。
ソ連の監視挺に見つかっても、逃げ切る事が出来る。
速度が倍違いますからね。無論、銃撃されますが。
でも、この頃、ソ連の監視艇も能力アップしてきていると言う。
密漁できるのも、あと何年だろうかという話でしたね。
さて、肝心のまるしめでの一人前@25,000円の料理。
最初に出てくるのは、食前酒と前菜。
それと、小さなカクテルグラスに入った花咲ガニの内子(うちこ)
花咲ガニの卵巣で紫色。それを熟成させたもの。
これが天下一品の珍味。
からすみとは全く違う味。
注)からすみー ぼらやサワラ等の卵巣を塩漬けし、塩抜き後、天下干ししたもの
どちらかと言えば、このわたにウニを混ぜたような味。
注)このわたー なまこの腸を塩辛にしたもの
これが世間に知られていないのは、花咲ガニそのものの漁獲量が僅かですからね。
然し、根室で食べる花咲ガ二は、殊更美味しいですね。
松葉ガニは、甘いのが特徴。
毛ガニは、カニ味噌。
タラバは、醍醐味。
これらに比して、花咲は味が濃い! 醍醐味もある。
美味しい場所の一つは「ふんどし」と言われる腹節部分。
普通のカニでは、食べる前に除去し捨てるへたの部分。
何故、こんなに美味しいのか?
それは、昆布が花咲ガにの大好物だから、身に昆布のダシが付いている?
根室商業組合の松谷さんと「まるしめ」に、年二回の四年間行きましたね。
尚、松谷さんが@25,000じゃもったいないからと言うので、以後@15,000円の料理にしました。
実は、根室出張の目的は、花咲ガニを食べることだったのです。
そんな私ですが、松谷さんは、道東地区で私を強く推してくれましたね。
我社の子会社とは犬猿の仲だった釧路と網走商業組合にも働きかけてくれました。
そのお蔭で、新たな道が開けて行きましたね。感謝!感謝!でした。
注)根室で、まるしめ(緑1-2)の他に使った接待場所 浜作(緑3-4)、梅本(梅ヶ枝1-2)