アイスバーンの全道一周は勝負手でした

前回のあらすじ)
 
1987年1月下旬
 
美幌峠を避け、野上峠を下りてからの摩周国道は直線。
割り込まれて車間距離を失う。
 
道路は無色透明なアイスバーン
前方で停車している二台の車と側面衝突。
 
やはり死神さんのジンクスは、間違いなかった。
 
 
         私の履歴書・254
 
 
弟子屈(てしかが)派出所を出て走り出したものの、後方から冷気が襲う。
車の後部荷台側面のガラスが割れて無い。
  
弟子屈町内の商店でガムテープを買い、ついでにダンボールの断片を貰う。
そのダンボールをガムテープで後部側面の窓に貼り付ける。
 
いざスタートで釧路に向かう。だが隙間風で寒い!寒い!
背中をぞくぞくさせながら走りましたね。
 
尚、もう一箇所の衝突箇所の左のヘッドライトは潰れている。
救いは、前後四箇所の方向指示ランプとスモールランプは健在。
 
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弟子屈から釧路川沿いを南下。国道391号線(摩周国道)
標茶(しべちゃ)を通って釧路へ。
 
LL社釧路営業所に顔だけ出して、根室へ向かう。
急がなきゃ。
 
根室の日没は早い。
大阪より1時間早い。
 
何しろ片方のヘッドライトは点灯しないから夜間走行は危険。
辛うじて日没の午後四時過ぎLL社根室営業所着。
 
それからLL社根室営業所の若き所長と街の居酒屋の座敷へ。
後、早めに根室グランドホテルに引き揚げる。
 
尚、肝心の花咲かにを、この時食べていない。
死神部長がセットしなかったのだ。
 
 
 
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翌31日(土曜)は、朝から小雪チラチラ。
せっかく日本の東端まで来たのだからと言うので根室半島を巡る。
 
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納沙布(ノサップ)岬へ
北方領土は雲の中。
 
参考1)晴天の時は、根室海峡を挟んで、すぐ目前に貝殻島水晶島をはじめ、歯舞・色丹・国後などの北方領土が見える。
 
 
 
 
 
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半島南側の花咲岬へ。
 
車石(くるまいし)を見物。
 
根室市街に引き返し、
根室商業組合に寄る。
 
 
後に、この組合の松谷事務長(仮称)が私の恩人となる人。
道東地区で私に道を開いてくれたのです。
 
 注)この1987年当時、土曜日は未だ休日ではなかった。
 
根室から→釧路商業組合へ。
 
  
事務所は木造平屋。
その事務所の右奥の机に座っているのが件の大黒事務長(仮称)。
釧路管内でレッド(SB)社の牙城でシェア95%を誇るドン。
 
「ウズマサです。着任の挨拶にやって参りました」
受付の事務員が私の名刺を持って、大黒事務長にお伺いを立てる。
 
「今、忙しいから駄目だ!」との声。
 
ここでひるんだら次が無い。
前かがみで大黒事務長の机の前に歩む。
 
「ご多忙の折、申し訳ありません。
改めての事務長さんへのご挨拶は、事前に札幌から電話をさせていただきまして、事務長さんのお時間の宜しい時に出直させていただきます」
 
これが彼との初対面。
成る程、なかなかの男。年齢は59歳。
 
頭が切れると言うよりも、しぶとい感じ。
この彼を落とすのに、それから1年と10ヶ月を要したのである。
 
死神部長の案内で、釧路和商(わしょう)市場へ。
 
 
イメージ 5真っ赤なカニが並んでいる。
 
「あれは何?」
根室の花咲かに」
 
試食品を食べたら、これは美味しい。
 
「部長、昨夜、あなたは私に肝心なものを食べさせなかったね」
 
 
市内の釧路大橋を渡り、自社の釧路出張所で一休み。
ここの所長は安川君。新婚早々札幌から釧路に転勤。
 
三年間の約束だったという。
その満三年がもうそろそろ。
 
三年で札幌に帰れるから、子供を作らなかったとの事。
お茶を持ってきた彼の奥さんにも泣かれる。
 
両方の親から頻繁なる電話が有るそうな。
 
「札幌転勤は未だか! 未だか!」 
&「孫は未だか! 未だか!」
  
釧路から帯広へ向かう。
死神さんの案内で途中回り道して丹頂鶴公園。工事中でしたね。 
 
LL社帯広営業所表敬訪問。
並びに、帯広商業組合訪問。
 
このエリアには我社の拠点は無い。
ブルー(M)社の独占場になっている。
 
事務所を出るものの、この時間から日勝峠を越えたら日が暮れる
急遽、十勝川温泉・老舗の笹井ホテルに宿泊することになる。
 
ここでチェックインし、一風呂浴びてからタクシーで帯広の街へ。
 
お湯が透明な番茶の色。 
 
 
尚、同じモール温泉の町営幕別温泉のお湯は当にモールでしたね。
注)十勝川温泉から直線で6km東南にあった町営幕別温泉ホテル(平成2年3月閉館)
 
浴槽の中で、手の平で茶色いお湯をすくうと5㎜程の茶色い破片が中に混じっている。
 
その破片を凝視すると、葉っぱの破片に筋が通っている。
番茶の葉がお湯の中に入っているようなものですね。
 
太古の時代に想いを寄せるひと時でしたね。
 
 
 
翌朝、満を持して帯広発。
 
死神さん同乗で事故は起きても、死んだ人はいない。ならば。
 
 
流石に難所でしたね。
幸いにも通行量は少なかったですね。
 
追い越しもせず、追い越されもせず。
それもそうですね。夜間走行禁止。
 
それに、好き好んで、この峠を越える者はいませんからね。
大半の車は、日勝峠を避け、国道38号線の狩勝峠(かりかちとうげ)を迂回する。
  
大型車による圧雪アイスバーンもテカテカではなく、多少のわだち。
雪の踏み始めですね。
 
車は、1回転はしなかったものの、右や左と何度横になったことか。
S字やヘアピンカーブを逆ハンドルで楽しみながら、当にお尻を振り振りでしたね。
 
札幌着で、この時の道内一周の走行距離は、確か850kmほどでした。
今でしたら高速道路で京都市内から秋田市仙台市までの距離ですね。
 
 
ところで、
 
私に山川課長があてがった誰も乗りたくないトヨタのバン。
然もこの車、後輪駆動でタイヤのスパイクは磨耗している代物。
 
愚痴一つ言わずに、これで私、冬季全道一周ですから。
この効果が、じわりじわりと効いていきましたね。
 
 
参考2)根室市観光協会 ←ここをクリック 
参考3)北海道の道路情報「北の道ナビ」 ←ここをクリック
参考4)根室について、もっと詳しく知りたい方は、「北のかもしか」さんのブログをどうぞ。
                    http://blogs.yahoo.co.jp/hide_omori/14860996.html