思い出す都度、切なく、無力だった自分

 
イメージ 1前回のあらすじ)
 
 
由紀さんを事務員として採用。
 
「何故、私を選んだの?」
 
「あなたが、打たれ強いから」
 
 
 
 
今回の下記記事は、私情が入ってしまって失敗した例です。
ここで登場する瞳さんとは、この花のような二十歳の女性でした。
 
 
 
 
あっちの電話器、こっちの電話器が鳴る。
新人・由紀事務員だけでは応対不能
 
それに銀行への入金と昼食時間。
更に砂子さんとの引継ぎ業務。
 
それもそうですね。
 
前月12月までは、二階と一階に計三人の女子事務員がいたのですから。
このままでは、別途誰かが終日事務所に居なければならない。
 
仙台・松島課長が引き継ぎ立会いで度々札幌に来ていました。
彼に「女子事務員がもう二人は必要」と本社人事部を説得するように依頼。
 
内諾を得たのは、由紀さんを採用してから間も無くの3月初め。
但し、二人ではなく一人のみ。
 
密かに保管しておいた一通の履歴書を取り出しました。
それは、この春、女子短大卒業予定の鎌田あゆみ(仮称)さんのもの。
 
以前、面接した女性。
何故か気になる女性でした。
 
卒業するのに未だ就職が決まっていない子。
この子に、短大の卒業式を晴れ着姿で明るく迎えさせてやりたい。
 
それに、思い起こせば本社の新卒の女子社員は明るく素直に育った。
 
本社係長時代ですね。
昼の休憩時間、我等の部署が他部署の新卒五人の女子社員の常時集合場所。
 
自部署の愚痴を言う子。
あるいは我等に色々と相談してくる彼女達。
 
 
 
 
面接しました。
やはりそうでした。
 
名前 鎌田 あゆみ(仮称) 
二十歳
身長が167cm
下半身が発達している。脚が長い。
 
色白。
ほんのり薄化粧。
 
髪はフェミンボブ。
顔は小さく卵形でふっくら。
 
汚れなき瞳。
育ちの良さ。
 
砂子さんと大きく違うところ。
それは、オーラが出ている。
 
 
自宅は、徒歩20分の距離。
両親は、コンビニエンスストアーを経営。
 
確かに一見お嬢さん育ちだが、商売人の子。
店の手伝いもしていたと言いますから、人馴れはしているはず。
 
無垢な娘さんだから、由紀さんは指導し易いだろう。
但し、逆にリスクもある。
 
一抹の不安。
祈る気持ちでしたね。
 
由紀さんが入社してから短期間過ぎる。
今の由紀さんは情緒不安定なはず。
 
それに育ちが全く違う。
これが吉と出るか、凶と出るか。
 
 
本社人事部にお願いをし、新卒者の一員に加えてくれるようにと依頼。
新卒者扱いになったら、最大のメリットは、新卒同士のコミニケですね。
 
新卒者は初年度の一年間、二ヶ月に一度、計六回本社召集。
その飲み会の席やホテルで、お互いに悩みを打ち明けられます。
 
だが、新卒者の採用枠(70人)は一杯故、新卒扱いは不可とのこと。
人事部長が譲らず。予算枠の関係で。
 
 
短大の試験や卒論も終わり、残るは卒業式だけ。
暇だから早く働きたいと言うので、三月中旬から出社してもらいました。
 
案の定、
遠くから観ると、あゆみさんの所だけ花が咲いたようでしたね。
 
男達が由紀さんと話す時は、きつい口調。
だが、あゆみさんと話す時は、笑顔に猫なで声。
 
他方、
 
3月中旬と言っても降雪と除雪車の走行で郊外の道路は渋滞。
メンテナンスマン達は、まともに顧客の店を訪問出来ない。
 
顧客からかかってくる電話は荒っぽい言葉ばかり。
事務員に「メンテナンスマンはいつ来るのか」と怒鳴ったり罵倒したり。
 
それに、雪の中、ドカドカと事務所の中入って来る男達。
この男達とは、客・下請け業者。それに社員達。
 
ひげもじゃで汚れた防寒着。
何枚も着重ねて。
 
事務所の中央に置いてあるストーブにあたりに来る。
カウンターなどお構い無しに。断りなしに。
 
うら若き女性が一人で居る時、これらの男達に居座られたのでは恐怖。
何しろ、目付きが半端じゃない連中でしたから尚更。
 
あゆみさんは、勤務一ヵ月弱の四月上旬から不調を訴えました。
胃潰瘍でした。
 
恐れていた事態となりました。
 
 
注)由紀さんの写真は見つかりましたが、あゆみさんの写真は撮っていなかったですね。残念です!!
 
 
イメージ 2
瞳さんは、真ん中の寺下友香梨さんと右の赤坂知恵さんを足して2で割った感じでしたね。砂子さんは真ん中の寺下さんの感じでした。