緊急呼び出し! 札幌で何が起きたのか?
前回のあらすじ)
.
子会社の解散広告を、北海道新聞と他四紙に12月中旬に打つという。
ライバル社にとって絶好のチャンス。
札幌市場も根こそぎ奪取されてしまう。
.
絶対絶命。
市場も、私の懐も。
.
山陽新幹線の座席に身を委ねる私。
思考能力を失った私。
予定通りという。
駅正面からタクシーに乗り、流川のくだんのクラブへ。
駅正面からタクシーに乗り、流川のくだんのクラブへ。
店は混んでいた。
何しろ花金。
何しろ花金。
彼等は主役の私の到着を待ちきれず始めている。
改めてのビールで乾杯。
改めてのビールで乾杯。
残念でたまらない。
せっかく築いた基礎と、見えてきた明るい未来。
せっかく築いた基礎と、見えてきた明るい未来。
何杯か立て続けに飲みましたね。
一人ずつと乾杯を繰り返しながら。
一人ずつと乾杯を繰り返しながら。
それにしても今日は色々なことが有り過ぎた。
疲れがドッと襲ってきましたね。
疲れがドッと襲ってきましたね。
いつの間にか両脇にいるはずの素敵なお嬢さん達がいない。
代わって両脇にいるのは、色気のないウチの男社員。
代わって両脇にいるのは、色気のないウチの男社員。
二人の女性と席を交替している。
村主社員と沢木社員。ぴったりと私の両側にくっついて。
村主社員と沢木社員。ぴったりと私の両側にくっついて。
薄明かりの中、彼等の顔は笑っている。
でも眼は沈んでいる。
でも眼は沈んでいる。
二人とも不便(ふびん)な奴!
私が去ったらどうなる?
私が去ったらどうなる?
ドジと話し下手。
引き継ぐ辰巳支店長(当時51歳)にいじめられるかも。
引き継ぐ辰巳支店長(当時51歳)にいじめられるかも。
彼等をもっと叱るべきだった。
もっと仕事のレベルを上げておくべきだった。
もっと仕事のレベルを上げておくべきだった。
私の及ぶ力もこれまでか。
沢木社員の肩に左肘を乗せました。
沢木社員の肩に左肘を乗せました。
彼の体温がじわっと伝わる。
自分の左腕の中に顔を伏せました。
自分の左腕の中に顔を伏せました。
可愛そうな息子達よ!
涙が流れてきましたね。
涙が流れてきましたね。
人は、北海道に行く時に泣くと言う。
北海道から本州に帰る時も泣くと言う。
北海道から本州に帰る時も泣くと言う。
通説では二度泣く。
涙を流す理由は、人夫々異なる。
涙を流す理由は、人夫々異なる。
「水無瀬常務の送別会に、ホステスが一人もいないじゃないか!」
大林係長の大層ご立腹の声で顔を上げる。
大林係長の大層ご立腹の声で顔を上げる。
素敵な女性の皆さんは消えている。
それは、已むを得なし。
それは、已むを得なし。
飲んでアルコールが回ってきたら、彼の眼は細目になる。
それからが、五月蝿い。
それからが、五月蝿い。
ホステスの皆さんは、この事をご存知。
いつもの事。だから消えたのです。
いつもの事。だから消えたのです。
御機嫌を損ねた大林係長は、クラブの店長と大もめ。
私等は、また始まったと大笑い。
私等は、また始まったと大笑い。
店を出る時も、依然店長と店先で小突きあい。
店長に最後に言われた言葉。
店長に最後に言われた言葉。
「もう、来ないで下さい」
明けて12月第二週目、引継ぎ書を先ず作成。
週の前半はこれで消えました。
週の前半はこれで消えました。
週の後半は、福岡の辰巳支店長が来て、引継ぎ業務。
この時も、人的引継ぎの為、毎夜、流川で接待会席。
この時も、人的引継ぎの為、毎夜、流川で接待会席。
第三週目月曜日のこと、室長から緊急電話。
「明日、日帰りでいいから本社に来て下さい」
「明日、日帰りでいいから本社に来て下さい」
「何か起きたのですか?」
「今は話せない。来たら話す」
「今は話せない。来たら話す」
何が起きたのだろう。
只事では無い。
只事では無い。
翌日、広島始発の新幹線に乗車。
㈱ウズマサ本社に入ったのは、九時を回ってから。
㈱ウズマサ本社に入ったのは、九時を回ってから。
すれ違う人、すれ違う人、全ての人に声を掛けられました。
「水無瀬常務、大変な所に転勤ですね」
皆、言う言葉は同じ。
「水無瀬常務、大変な所に転勤ですね」
皆、言う言葉は同じ。
意味が分からない。
札幌って何がそんなに大変なのか。
札幌って何がそんなに大変なのか。
数字が悪い支所なんてザラにある。それでとは思えず。
それでは札幌とは、関西人にとっては厳寒氷結の地だから?
それでは札幌とは、関西人にとっては厳寒氷結の地だから?
管理室に入りましたら、社長秘書が待機していました。
一体、何が起きたのか?