さてどうするか?意識的に時期を逸した稟議決裁

イメージ 1
前回のあらすじ。
.
「営業マン連中(四大卒)に私達は負けません」
.
高校時代、つっぱりで停学処分に追試経験のあるメンテナンスマンの彼等は、そう私に宣言。
.
彼等の成長には驚かされました。
.
対して、私の方は、事業拡大に努力するも、前が見えず。


私の履歴書・213

1985年 秋

S電機㈱物流倉庫業務部瀬戸課長との交渉は難航しました。
私は、S電機の納品作業業務を我社に委託することを求めたのです。

交渉はなかなか進展しません。
それもそうです。既存の出入り業者が、がっちりと食い込んでいますから。

色々理由を付けて断ります。
政治的圧力も加えましたが、これと言った効果はありませんでした。

              ★

晩秋になりまして、渋々出して来たS社瀬戸課長の条件。

次年度4月から広島物流倉庫と岡山倉庫間で毎日定期便を走らせる。
その定期便の仕事をしてもらう。

但し、ユニック付きトラックを一月末まで用意すること。
冷凍冷蔵ショーケースの最大寸法の機器を木枠梱包付きで四台積載できることが条件。

              ★

従来のお出入り業者に話をしたものの、どうやら断られた様子でしたね。
業者としては、少なくても二名の新たな正規運転手を雇用しなければなりません。
それに、高価格なユニック付きトラックを購入しなければなりませんから。

私、早速、トラックメーカー販社に電話をかけました。
日野・いすゞ三菱ふそう日産ディーゼル等です。

見積書を持って会社にきたのが二社のみ。
以降、再度の訪問をしてきたのが日産ディーゼルトラック販売㈱広島支店のみ。

その営業マンで好青年の多田君(20歳代後半)に聞きました。
「トラック業界って販売業者が偉いのですね。見積り依頼しても無視されるし、持ってきたら偉そうにふんぞり返って売ってあげるって態度だよ」

「中型・大型トラックのお客さんの大半は、数台しか持っていない白ナンバー業者と個人のダンプですよ。
与信(よしん 信用の供与)に問題があるケースが多いのです。だからお客さんがトラックを売ってくれと販社にお願いする立場になっているからですよ」
言葉通り解釈すると、この業界には営業マンが不要ということになる。

イメージ 2
トラックのスペック(仕様書)は、S電機瀬戸課長の要望を満たすものにしました。
.
4t車・平ボディー・ワイド・ロングにユニック搭載。
.
つまり、全長11m、幅2m40cm
ユニック(キャブバッククレーン)は五段ブーム・リモコン。
.
その辺で走っている一般的な5t大型自動車よりも大きい。
.
最終見積り価格は、780万円。
.
この仕様のトラック購入稟議書を書きました。
注)稟議書 決裁承認を求める文書
.
それと、改めてこのトラックによる事業計画書を作成添付。
.
但し書きとして、一月末日迄にトラックを用意しなければならない事。
その為には、12月中に、決裁を貰わなければならない事。


そして12月第一週、メンテナンス6社役員会に臨みました。

総帥太秦社長の指示。「青葉常務の押印したのを持ってくるように」
この期に及んで、何故に青葉常務の押印が必要なのか?

青葉常務はやはり予期通り押印してくれません。
注)青葉常務とは→ 太秦電機㈱の常務 兼 我社の社長 以前の東京→福岡支店長

広島に戻り、通常業務の合間に電話での青葉常務と交渉。
然し、埒が空かぬまま、あっと言う間に年が明け、1986年1月の役員会。

この時点で稟議書に押印を貰いトラックを発注しなければ、トラックは1月末まで間に合いません。
私が正式発注してからメーカーは要望する仕様書に基づいてトラックの荷台等のボディを作る訳ですから。

この時も稟議書に押印されず。一日一日が空しく過ぎて行きます。
月半ばに改めて太秦社長室に乗り込むべきでしたが、何故か行く気になれず。

直接社長室に行ったら、恐らく購入許可が出たはずなのに。
翌2月上旬の役員会で、この岡山⇔広島間のS電機定期便構想は頓挫した事を報告。

するとどうでしょう! 二月下旬のこと
青葉常務は、私の提出していた稟議書に押印し、太秦社長に回したのです。太秦社長も押印。

寝耳に水。ユニック付き4tトラックは購入出来る事になったのです。
何故に今頃? 遅きに失することを確認してから押印? 何の為に?

買うべきか? 止めるべきか?
然し、780万円もするトラックを今購入しても仕事が無い。

どうするか?
                         つづく