戦前戦中の娯楽は演劇

故 佐々木弥一さんの人生記(9)〈大正14年生まれ 鳥海山の麓 旧 秋田県由利郡上郷村 〉

佐々木さんの頃の昭和10年代に引き続き、私の幼少時代、戦後の昭和20年代の農村の娯楽と言えば、小学校体育館での白黒映画と、村の若衆の演芸会でしたね。(由利郡直根村)

若衆が演じたもので今でも鮮明に覚えているのが「金色夜叉(こんじきやしゃ 尾崎紅葉著)」
場所はお馴染みの熱海の月夜の海岸。惚れた貫一と別れてお嫁に行こうとするお宮を貫一がなじる。

「お宮!金に目が眩(くら)んだのか!」
「貫一さぁ~~ん!」

「お宮!そんなにすがりついたら、人絹のズボンが切れるじゃないか!」

「人絹のズボン」とは原作に無いアドリブ。
「人絹」とは当時の人造繊維(スフ)。弱くて直ぐに切れました。

お宮が、学生帽・学生服・高下駄・黒マント姿の貫一に蹴られても猶もすがる。
と、貫一のズボンは、腰元からビリッと切れてふんどしがはみ出す。
ここで観客は腹を抱えて大笑い!


(P62~P73) 画面はクリックしますと大きくなります。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4