福一:ムソー生物学教授「現実から目を離すな」


米国ユタ州ビーバー郡の小学校の女先生、メリー・ルー・メリングさんの記事も含めて転記しました。

確かに彼女の記録は分かり易いものです。然し、このように自らが疑問を抱き、自らが記録をとり続けないと、放射能のリスクを実感できないのかもしれません。悲しいことですが。

(参考)「福島第1のセシウム放出量、広島原爆の168個分」 
日経 2011/8/27
経済産業省原子力安全・保安院は26日、福島第1原子力発電所1~3号機から放出された放射性セシウム137が、広島に投下された原子爆弾の168個分にあたるとの試算結果を公表した。(註1)

(註1)日本政府が発表した広島原爆168個分は世界の原子・生物科学者の過半数は虚偽と看做(みな)し、信用していない。但し、その倍数は確かに168個より遥かに大きいが諸説ある。例えば7万2千倍などである。これについては、本稿下段に別途書き加えた。

生殖器官の放射線は、精子卵子に遺伝子変異を誘導し、将来の世代にわたって糖尿病、嚢胞性線維症、ヘモクロマトーシスなどの何千もの遺伝病の発生率を増加させる。劣性突然変異は、20世代先まで現れる。

Radiation of the reproductive organs induces genetic mutations in the sperm and eggs, increasing the incidence of genetic diseases like diabetes, cystic fibrosis, hemochromatosis and thousands of others over future generations.Recessive mutations take up to 20 generations to be expressed.

チェルノブイリ周辺の放射線の遺伝的影響の研究に10年以上を費やしてきた生物学者、ティム・ムソー生物学教授は「福島の多くの人は意識的に現実から目をそらし、思い出さないようにしている(Many people in Fukushima are burying their heads in the sand.)」ことを憂いている。

以下【「内部被曝」について(その1)「内部被曝」とは】より一部抜粋。
* --- * --- * --- * --- *

被曝(外部被曝内部被曝)がガンとして発症する可能性は大いにあるが、それはあくまで疫学的対象であるのだ。だから、あるガンの原因が、何年も前の・何十年も前の被曝であると直接的に実証することはほとんど不可能なのだ。
* --- * --- * --- * --- * 

特別な状況がない限り、ガンで死んだ者を解剖しようが物質分析しようが、そのガンの原因を突き止めることはできない。ガンの最初は、ただ一個のガン細胞からはじまるのである。 
* --- * --- * --- * --- * 

広瀬隆『危険な話 チェルノブイリと日本の運命』(新潮文庫 1989)に、とても分かりやすい説得力のある例があがっている。

アメリカのネバダ砂漠が核実験場として使われはじめたのは1951年からだが、そこから250㎞も東にはなれたユタ州ビーバー郡の小学校の女先生、メリー・ルー・メリングという方が、自分の周辺で白血病や各種のさまざまなガンで死ぬ人が増えてきて、おかしいと感じて記録を取り始めた。

それが53年からである。この先生は79年までの27年間、こつこつと記録を取って残した。広瀬隆は次のように述べている。

このリストは白血病だけでなく、・・・・ちょっとこの紙一枚ずつの見出しを読んでいきます(その見出しの下に死者のリストがズラリと並んでいる)。

前立腺ガン、結腸ガン、リンパ系のガン、リンパ肉腫、脳腫瘍、肺ガン、皮膚ガン、肝臓ガン、子宮ガン、卵巣ガン。

こういう形でありとあらゆるガンがたくさん発生した。甲状腺の障害は、ほぼ10年後から12年後にピークを迎えている。(p108)

このメリング先生は、たくさんの流産と重度の障害のある新生児(多くはすぐ死んだ)についてはリストに載せていない、と断っている。

広瀬隆は「時限爆弾」という表現をとっているが、内部被曝がはじまってもそれがガンに発症するまで何年もかかる。甲状腺のばあいは10~12年かかるという。

いずれにせよ、メリング先生のような調査がないと、個々のガン患者の苦しみと悲しみがあっても、それがネバダ砂漠の核実験に原因があるらしい、というふうには結びつかないのである。アメリカにはメリング先生以外に多数の調査レポートがあるのだそうだ。
* --- * --- * --- * --- * 

被害者が補償を受けるのには、米国政府の責任と、今後司法手続きには訴えないとする書類に署名しなければならない。

故に、多くの被害者は、補償金を「血で汚れた金」と呼んで、補償の申請を拒否している。

政府が、被害を与えた者を訴える権利を被害者から奪うのは正当ではないと考えるからだ。

また、自尊心や愛国心も、金銭のために申請をおこなうのことの妨げとなっている。

被爆が原因のガンで若くして死にかけていても、政府は国民を傷つけるようなことはしない、といまだに多くの人が信じている。

ガンの原因と軍や原子力委員会との関連を明確に認めたり結びつけたりしないために、補償法はあいまいな言い回しを使っている。

真の容疑者や冷戦の犯罪者、これに関連する医学実験が言及されていないため、補償法は、身体への影響を秘密にし、真実を覆い隠し続け、政府の残酷な行為が永久に暴露されないようにするまた別の努力のように見える。(註2)

(註2)日本政府の場合
クリス・バスビー教授は日本政府が瓦礫を全国の焼却炉で焼く意図は、全国民を被曝させ、全国民に癌を発生させることであるとしている。その目的は、福島県民や北関東・関東の癌患者が将来訴訟する福島原発がん原因説を疫学的に立証困難とすることだと言っている。

Professor Chris · Busby
He also alleges that the Japanese government is trucking radioactive material from the Fukushima site all over Japan, in order to "increase the cancer rate in the whole of Japan so that there will be no control group" of children unaffected by the disaster, in order to help the Japanese government prevent potential lawsuits from people whose health may have been affected by the radiation.

(以上で抜粋終り)
** --- * --- ** --- * --- ** --- * --- ** --- * --- **
(註1)
放射線専門家アンドリュー・カラム(Andrew Karam)

Five Years Later, Cutting Through the Fukushima Myths
The earth moved more than 20 meters over a 500-mile zone and the resulting earthquake released as much energy as a 45-megaton hydrogen bomb (to put this in perspective, this is 30,000 times more powerful as the bomb that leveled Hiroshima).

5年後、福島神話を跳ねのける
地球は500マイル以上の距離で20メートル以上移動し、45メガトンの水素爆弾のようなエネルギーを放出した(これは、広島を平準化した爆弾の30,000倍強力)。

* --- * --- * --- * --- *
Independent: Why Fukushima is worse than Chernobyl; “Now the truth is coming out” — 72,000 times worse than Hiroshima & 1 million+ cancer deaths, says professor  August 29, 2011

インデンペンデント紙(英国):なぜ福島はチェルノブイリより悪いのか?広島より7万2千倍悪化し、1万人以上ががんで死ぬ」と教授は言う。2011年8月29日

Chris Busby, a professor at the University of Ulster:
◉“[Busby] said the disaster would result in more than 1 million deaths. ‘Fukushima is still boiling its radionuclides all over Japan […] Chernobyl went up in one go. So Fukushima is worse.'”
◉“Professor Busby says the release is at least 72,000 times worse than Hiroshima.”

クリス・バスビー、アルスター大学教授:
◉ バスビー教授によると、この災害は100万人以上の死者をもたらすだろう。 '福島は依然と日本全土で放射性核種を沸騰させている[...]チェルノブイリは一気に上がった。だから福島はもっと悪い」

◉バスビー教授は、「この発表は広島よりも少なくとも72,000倍も悪い」と述べている。

Professor Tim Mousseau, a biological scientist who has spent more than a decade researching the genetic impact of radiation around Chernobyl:

◉“[Mousseau] worries that many people in Fukushima are ‘burying their heads in the sand.'”
◉“His Chernobyl research concluded that biodiversity and the numbers of insects and spiders had shrunk inside the irradiated zone, and the bird population showed evidence of genetic defects, including smaller brain sizes.”
◉“[T]here are very likely to be very significant long-term health impact from prolonged exposure.”

チェルノブイリ周辺の放射線の遺伝的影響の研究に10年以上を費やしてきた生物学者、ティム・ムソー教授:

◉ムソー教授(Professor Timothy Mousseau)は福島の多くの人々が「わざと現実から目をそらして思い出さないようにしていること」を憂慮している。

◉「チェルノブイリの研究では、生物多様性と昆虫とクモの数が照射域内で激減し、鳥の個体群は脳の大きさの縮小を含む遺伝的欠陥の証拠を示した」と結論付けた。

◉「ここでは、長期間の暴露による長期的な健康への影響が非常に大きい可能性が高い」

* --- * --- * --- * --- *
Gundersen, now chief engineer of the energy consulting company Fairewinds Associates, said he believed that Fukushima was 10 times worse than the 1986 Chernobyl meltdown […]

エネルギーコンサルティング会社Fairewinds Associatesのチーフエンジニアであるガンダーセン氏は、福島は1986年のチェルノブイリメルトダウンよりも10倍悪いと信じていると語った[...]

* --- * --- * --- * --- *

Nuclear Consultant: Fukushima reactors released about 3 times more radioactivity than Chernobyl — Japan crisis is unprecedented in size, complexity, and consequences — Yet disaster is not over and can become much worse — Very far from being stabilized June 20th, 2014

原子力コンサルタント:福島原子力発電所チェルノブイリより約3倍の放射能を放出 - 日本の危機は規模、複雑さ、そして結果がこれまでに類を見ない - しかし、災害は終わっておらず、さらに悪化する可能性がある - 2014年6月20日


(ソース)
- * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - * - *

チェルノブイリでの欧州に学ぶ』 2018/7/17(火) 

『欧州の20年後の被爆状況』 2018/7/18(水) 

放射能からの防御:目次(1)』 
記事投稿期間:2010/9/28(自)~2011/11/1(至)