牛乳と乳製品は骨折と死への近道


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牛乳と乳製品は骨折と死への近道
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今まで牛乳類はいかに危険であるかを述べてきましたが、今回は腸内に牛乳を消化する特殊な遺伝子を持った北欧スウェーデンでの調査です。

そのスウェーデンでさえ、牛乳は骨折や死や諸病を促進するという結果が出ているにも拘わらず、依然とほぼ100%の小学校の給食に牛乳が出されています。

或いは、医師は骨粗しょう症防止として、牛乳飲用を奨める者もいます。

あなたはこの現実をどう判断されますか?


Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies
女性と男性の牛乳摂取量と死亡率と骨折リスク:コホート研究

公開日 : 2014年10月28日
Design Cohort studies.
Participants Two large Swedish cohorts, one with 61 433 women (39-74 years at baseline 1987-90) and one with 45 339 men (45-79 years at baseline 1997), were administered food frequency questionnaires.
Main outcome measure Multivariable survival models were applied to determine the association between milk consumption and time to mortality or fracture.

スウェーデンでは大規模な二つのコホート研究(註1)が行われました。一つは、61433人の女性(1987-90年ベースラインで39-74歳)を対象とし、もう一つは、45339人(1997年ベースラインで45-79歳)を対象としたもので、食物頻度アンケート調査をしました。

(註1)コホート研究
調査時点で、仮説として考えられる要因を持つ集団(曝露群)と持たない集団(非曝露群)を追跡し、両群の疾病の罹患率または死亡率を比較する方法である。また、どのような要因を持つ者が、どのような疾病に罹患しやすいかを究明し、かつ因果関係の推定を行うことを目的としている。

主要評価項目牛乳消費と死亡または骨折までの時間との関連性を決定するために、回帰分析の多変量生存分析モデルを適用しました。

Results During a mean follow-up of 20.1 years, 15 541 women died and 17 252 had a fracture, of whom 4259 had a hip fracture.In the male cohort with a mean follow-up of 11.2 years, 10 112 men died and 5066 had a fracture, with 1166 hip fracture cases.

結果、20.1年間の平均フォローアップの間、15,541人の女性が死亡し、17,252人が骨折をし、そのうちの4,259人が股関節骨折でした。

平均追跡期間11.2年の男性コホートでは、10,112人の男性が亡くなり、5,066人が骨折し、1,166人の股関節骨折症例がありました。

In women the adjusted mortality hazard ratio for three or more glasses of milk a day compared with less than one glass a day was 1.93 (95% confidence interval 1.80 to 2.06).For every glass of milk, the adjusted hazard ratio of all cause mortality was 1.15 (1.13 to 1.17) in women and 1.03 (1.01 to 1.04) in men.

女性では、1日に牛乳1杯未満の人と比較して、1日あたり牛乳3杯以上の人との調整死亡ハザード比(註2)は1.93(95%信頼区間1.80〜2.06)でした。(注)牛乳を一日に3杯飲む女性の死亡率は、飲まない人の2倍。

(註2)ハザード比(hazard ratio:HR)
コホート研究で死亡などの事象発症を比較する臨床研究では、事象発症率(オッズ)だけでなく、「いつ事象が起きたのか」という時間の情報も加味して計算した発症率(ハザード)が指標として用いられる。

多少でも牛乳を飲む全ての女性について、全原因死亡率の調整された死亡ハザード比は、女性では1.15(1.13から1.17)、男性では1.03(1.01から1.04)でした。

Conclusions High milk intake was associated with higher mortality in one cohort of women and in another cohort of men, and with higher fracture incidence in women.

結論:高い牛乳摂取量は、女性のあるコホートおよび男性の別のコホートにおいて、より高い死亡率と関連しており、そして女性においてはより高い骨折発生率を示しました。(中略)

(以下、原文省略と主要箇所の抜粋)
Introduction
前文
骨粗しょう症の可能性を減らすため、乳製品が豊富な食事が促進されています。 ミルクは骨格に特に重要なカルシウム、リン、ビタミンDを含む22種の必須栄養素のうち18種を含んでいます。 

これらの栄養素の腸内取り込みは、ラクトース(註3)をD-グルコース(註4)およびD-ガラクトース(註5)に消化する酵素能力が、ヨーロッパ北部の祖先に共通する変異体であるラクターゼ(註6)遺伝子の変異によって増強されます。 骨粗しょう症に関連する医療費の少なくとも20%を節約するために、1日3〜4杯の牛乳に対応する酪農食品の摂取が推奨されています。

(註3)ラクトース
哺乳類の乳の中に約5%含まれている二糖類で,D-グルコース (ブドウ糖) とD-ガラクトースが結合したもの。

(註4)グルコース
ブドウ糖とも呼ばれる。グルコースは血糖として動物の血液中を循環している。糖は植物などに含まれる葉緑体において、太陽光からのエネルギーを使って水と二酸化炭素から光合成によって作られる。グルコースは細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源である。植物ではデンプン、動物ではグリコーゲンのようなポリマーとして貯蔵される。

(註5)D-ガラクトース
アルドヘキソースの一種。天然にはD,L型の両方が存在するが、一般にはD-を単にガラクトースと呼ぶ。 生理的に重要な糖の一つで、乳中の糖分であるラクトースの構成成分である。

(註6)ラクターゼ
乳糖加水分解酵素。ヒトでは、小腸の腸絨毛(小腸上皮細胞)に多く存在する。この酵素が欠乏すると乳糖が分解されず下痢が続く乳糖不耐症になる。

しかし、牛乳の摂取量が多いと、牛乳はD-ガラクトースの主要な摂取源であるため、望ましくない影響を及ぼすことがあります。(中略)

低用量のD-ガラクトースでさえ、酸化的ストレス障害、慢性炎症、神経変性、免疫応答の低下、および遺伝子転写変化による寿命の短縮を含む、動物の自然な老化に似た変化を誘導します。

100mg / kg D-ガラクトースの皮下投与はマウスの老化を促進します。 これはヒトでは6〜10gに相当し、1〜2杯のミルクに相当します。

高齢化および慢性低悪性度炎症による酸化ストレスの増加は、ヒトにおける心血管疾患および癌の病因機構であるだけでなく、加齢に関連する骨量減少および筋肉減少症のメカニズムでもあります。(中略)

実際、発酵乳製品の高摂取は心血管疾患のリスク低下と関連しているのものの、他方、牛乳の高摂取は糖尿病および心血管疾患を発症しやすくなるリスクの横顔を持っています。

従って、私達は、死亡リスクと男女の骨折は牛乳の高い摂取量と関係があると査定しました。(中略)

スウェーデンでの乳腺撮影コホートでは、22年間、1,231,818人をフォローアップした結果、15,541人の女性が死亡しました。 

根底にある死因は、女性5,278人の心血管疾患と女性3,283人の癌でした。 我々は、17,252人の女性が何らかのタイプの骨折を有し、そのうち4,259人が大腿骨骨折を有することを確認しました。 

スウェーデンコホート内、534,094人を13年間フォローアップしたケースでは、10,112人が死亡し(心血管系の原因で4,568人、癌で2,881人)、5,379人に骨折がありました。 このうち1,166人が股関節骨折を呈していました。

(中略)
コホート対象の女性の中で、反復暴露測定に基づく分析では、牛乳摂取量と全死亡率、ならびに骨折、特に股関節骨折との間に正の関連が認められました。 

女性の場合、牛乳での全ての原因による死亡率が高いのです。

一日牛乳グラス1杯未満(1日平均60ga)と比較して、1日3杯以上のミルク(平均680ga)に対応する牛乳消費量では、1.93(1.80〜2.06)の全死亡率のハザード比女性であり、心血管死亡率はほぼ同様であり、がん死亡率は1.44,1.23〜1.69と若干低下しています。

1日3杯以上のミルクを飲んだ女性の場合、骨折のハザード比は1.16(1.08〜1.25)、股関節骨折は1.60(1.39〜1.84)でした。

一回の牛乳摂取評価に基づく分析では、スウェーデンコホートの男性も、より高い牛乳消費で死亡率が高かったのです。 

しかし、過剰リスクは、女性よりも顕著ではなく、グラス3杯の牛乳(1日平均830ga)について、調整されたハザード比が1.10で、主に心血管死亡率の増加と関連していました。 

男性では、牛乳摂取量の増加に伴う骨折や股関節骨折率の低下は認められませんでした。

(注)
Methods、Food frequency questionnaires
コホート調査方法や食品摂取頻度などの項目は省略。

Other dairy products
その他の乳製品
(中略)
感度分析に於いて、チーズまたは発酵乳製品の消費に関連する結果のリスク推定値は、乳消費に関連する推定値の逆方向でした。

従って、牛乳低摂取女性とさえ比較したチーズまたは発酵乳製品の摂取量が高い女性は、死亡率および骨折率が低かったのです。

(注)これは牛乳を消化する特殊な遺伝子を持ったスウェーデン人の場合です。その遺伝子を持たず牛乳を飲んだら下痢をする人が多い日本人や米国人とは違います。

結果、女性の死亡率および股関節骨折率は10-15%低下しましたが、男性のリスク削減は、ほとんど無かったのです。
(中略)

Milk intake, oxidative stress, and inflammation
牛乳摂取量、酸化ストレス、炎症

私達は更に、牛乳摂取が酸化ストレス(註7)および炎症と関連しているかどうかを調べました。 牛乳摂取量は、男女ともに8-iso-PGF2α(註8)、男性ではインターロイキン6(註9)と正の相関を示しました。チーズ摂取ではそのような関連は観察されませんでした。

(註7)酸化ストレス
取り込んだ栄養素から、私たちのからだの働きの元であるエネルギーをつくるためには、栄養素を燃やすこと、すなわち"酸化"が必要なのです。一方で、酸化は体の中の全体で起こっているため、酸化によって細胞が傷つけられることがあります。これが酸化ストレスです。

ヒトの場合、酸化ストレスは様々な疾患を引き起こします。たとえば、アテローム動脈硬化症、パーキンソン病狭心症心筋梗塞アルツハイマー病、統合失調症双極性障害、脆弱X症候群、慢性疲労症候群などに酸化ストレスが関与しています。

(註8)8-iso-PGF2α
細胞膜リン脂質中でアラキドン酸から誘導される強力な血管収縮作用物質。

(註9)インターロイキン-6(Interleukin-6, 略称: IL-6)
T細胞やマクロファージ等の細胞により産生されるレクチンであり、液性免疫を制御するサイトカインの一つ。種々の生理現象や炎症・免疫疾患の発症メカニズムに関与しています。

発酵乳製品(ヨーグルト)の消費は、酸化ストレスと炎症マーカーの両方と負の関係を示しました。 チーズ摂取ではそのような関連は観察されませんでした。

Discussion
討議

私達は牛乳と乳製品とを区別せずに、それらの摂取量を観察した結果、摂取量が多い女性は死亡率と骨折の両方が高い割合を示し、摂取量が多い男性では高死亡率を示しました。

牛乳の摂取量は男性の骨折率に関連していませんでした。牛乳摂取量と酸化ストレスおよび炎症マーカーの濃度との間には正の関連がみられました。

Strengths and weaknesses of this study
この研究の長所と短所
(省略)

Comparison with other studies
他の研究との比較
(一部抜粋)
摂取量が多い牛乳はエネルギー摂取量が多い。 しかし、他のコホート研究およびランダム化比較試験の結果は、摂取量が多いにもかかわらず乳製品の摂取量の増加が体重または体重指数の増加と関連していないことを示しています。 

これらの結果は、高い牛乳摂取量を報告した者も、摂取量がより少ない女性および男性と比較して、エネルギー摂取量は高いが体格指数は同等であったとする本研究と一致します。

生態学的研究では、高牛乳消費国の骨折および虚血性心疾患による死亡率が高いことを示唆しています。 高乳消費量は、特定の癌や心血管疾患のリスクに影響を与えることも示唆されています。

(注)然し、牛乳の消費形態が相違している故に、即、YESとは言い難いとも述べています。これらの件では更なる研究が必要と。

(以降は省略)
(原文)


(これまでの牛乳に関するブログ記事)
●「牛乳は飲むな 飲ますな その①」 牛乳には女性ホルモンが入っている 2012/3/8(木)
●「牛乳は飲むな 飲ますな その②」 成人病の元凶は牛乳・乳製品 2012/03/22  
●「牛乳は飲むな飲ますな その③」 乳がん自閉症の原因とは! 2012/04/26 
●切れる子供:牛乳原因説 2017/7/21(金) 
●ボクシングで実証した米国産牛肉のリスク 2017/10/11(水) 
牛肉より怖い牛乳ー有害物質を100倍濃縮した飲料
食物連鎖による生体濃縮の原理がある。例えば、牧草のダイオキシン濃度が1だとすると、牛の体内でそれは10倍に濃縮され、その乳では100倍に濃縮される。
●実証『煙草は無類の薬剤』 2018/2/6(火) 
●肺がん等の主原因は乳製品 2018/2/11(日)