知らなんだ中国原潜浮上の理由


憲法9条論議はさておいて、米国の核傘の日本はカルタゴの悲劇(金で買った平和の結末)の二の舞を演じようとしている。

 米国の軍事技術を、イスラエルを通じて中国が獲得。中国の新型戦闘機はイスラエルの戦闘機が基盤とされ、早期警戒管制機のレーダー技術もイスラエル製と酷似。他方、フランスは航空機器および対潜兵器システム、航空機の電子機器や新素材と加工設備を中国に提供している。

対して日本はどうであろうか。
『米国:新型迎撃ミサイル購入へ 改良型SM 国務省承認』
毎日新聞2018年1月10日 東京夕刊:米国務省は9日、日米が2006年度から共同開発してきた弾道ミサイル防衛(BMD)用迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の日本向け輸出を承認し、米議会に通知した。ブロック2Aの輸出承認は初めて。国務省は「日本の海上自衛隊の防衛能力向上に貢献する」と意義を強調した。

北朝鮮の核・ミサイル開発加速を背景に、トランプ米政権は日本に米国製武器の購入を求めており、これが第1弾となる。ミサイル4発や、発射機Mk29などが対象で、販売総額は1億3330万ドル(約150億円)を見込む。

 このほか、日本は1基当たり約1000億円の陸上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」や、最新鋭ステルス戦闘機F35の追加導入を検討している。(以下省略)

 処が処が、自衛隊が米国の国際金融資本企業から買うミサイルの発射スイッチを自衛隊は持てない。持つのは駐留米軍。他方、ステルス戦闘機F35等は、性能格落ちのもの。

 話が少しそれましたが、日本は潜水艦のように、ミサイルも戦闘機も自国独自で技術開発をしておかなければ、日本領土を他国の侵略から守れない。

『今、日本は戦争の前段階「消耗戦」渦中』 2018/1/15(月)

現在、日本の領海を守れるのは日本製潜水艦だけ。

中国ネット民騒然 尖閣沖「原潜浮上」は故意か失態か

2018年1月27日 金子秀敏 / 毎日新聞客員編集委員

 中国の原子力潜水艦沖縄県尖閣諸島周辺を潜航した後、東シナ海で浮上し中国国旗を掲げる事件が起きた。日本政府内では日米に対する示威行動と見ていると報じられている。

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東シナ海で浮上し、中国国旗を掲げる潜水艦

だが、隠密行動を身上とする潜水艦、とりわけ基地を出たら戻るまで浮上しないはずの原潜が浮上したうえに国旗を掲げるという「無害通航」をしたのはただごとではない。(中略)

しかし中国国内ではそうはいかない。中国原潜の浮上は日本との対潜戦に敗れたのかどうか、ネット上で論争になっている。

実戦だったら撃沈されていた?

 中国でこの事件が注目されたのは、主役が攻撃型原潜「093B型」という、西側コードネーム「シャン(商)級」の最新型であり、射程500キロの巡航ミサイル「鷹撃(ようげき)18」の水中発射型が搭載されているからだ。

 中国メディアが伝える軍事評論家の解説によれば、2~3年前に就役したとされる093B原潜は静音性が高く、これまで南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島から台湾の南のバシー海峡を抜け西太平洋へ出て、さらに台湾本島の沖合を逆時計回りに北上し、宮古海峡を通って尖閣諸島周辺を抜け大陸の基地に帰投してきたが、日米の対潜監視網に察知されなかったという。

 ところが今回は、原潜が宮古島に接近した時点で海・空自衛隊に探知され、浮上を命じる自衛隊のアクティブソナーの警告音の中を中国軍艦の待機する尖閣諸島沖まで逃走し、ついに浮上した。敗北論者によれば、093Bの静音性はこの程度であり、実戦だったら撃沈されていた。(中略)

 ところが中国のネット世論は、中国軍の潜水艦が日本の対潜網にかかったとは信じることができない。

そこで093B原潜は宮古島沖でわざと日本側に探知され、尖閣沖で浮上、国旗掲揚して「釣魚島」(尖閣諸島の中国名)に対する中国の主権を日本に示した、だから中国が勝ったのであるという主張が起き、多数意見になった。

093Bが浮上したのも逃げるためではなく、鷹撃18型巡航ミサイルで接近してくる米空母機動部隊を攻撃するという示威行動ではないかという。

 それも一理あるが、それなら台湾沖で堂々浮上して見つかりやすくしたほうがよかったはずだ。やはり浮上は中国原潜が自衛隊に追尾されて、ろうばいした結果だろう。日本政府があえて深追いしない理由も見えてくる。

サンデー毎日2018年2月4日号掲載の記事を転載しました>