諸外国で失敗の水道民営化法案
政府は町の水道を民営化する水道法改正案の今国会での成立と、2018年度中の施行を目指している。これは世界の潮流に逆行する。
公共事業の民営化とはなんぞや?
日本が自ら編み出したものではない。CFR=外交問題評議会の米国戦略国際問題研究所(CSIS)(註1)の対日戦略による。その手先が小泉純一郎と組み日本の富『郵政』を米国に売り渡そうとした竹中平蔵(註2)である。つまり安倍政権はこの日本国弱体化を謀る竹中平蔵の指揮下で日本を治めている。
短絡的に言えば、公営の収支の採れる事業を、わざわざ米国の米国戦略国際問題研究所(CSIS)が指定する企業にに委譲し、企業が儲けるシステムである。もしも儲からなくなったら市民からの利用料金を値上げし、或は、国や地方自治体への損害賠償請求をし、或は、国や地方自治体に当該事業を返還することを含む。
国は2015年12月15日、CFRの指定するオリックス(註4)と仏空港運営大手バンシ・エアポートの企業連合(新会社「関西エアポート」)(註4)に関空と大阪国際(伊丹)空港の運営権を売却する契約を締結。無論形の上では公募であったが、応募出来たのはこの企業連合一社のみ。これは『特区』獣医学部新設を学校法人「加計学園」(岡山市)しかできないように条件をつけたのと同じ手法だ。
無論、この新会社「関西エアポート」(註4)は初年度から黒字となっている。
これは諸外国の例から分かるように、LCC(格安航空会社)の登場で、関空の国際線発着回数が飛躍的に増大するという伏線があることをを国は知っていながら敢えて運営権を新会社「関西エアポート」に売却したことを意味する。
無論、国は関空の国際線発着回数を増やすために国費(税金)を使って支援する。
このような民営化を大局的見地から言えば、中央集権国家である日本国、そして地方自治体の権限の奪取(縮小)と弱体化である。これらの一つ一つの行政を民営化の名目で企業(国際金融資本のダミー企業)が奪っていくことを意味する。目的は国家の破壊と国際金融資本による人民支配(ワンワールド主義)(註5)である。
さて、本筋の水道事業の民営化だが、これに関してはこれまで私は幾つかの記事を書いているがその一部は以下の通り。
TPPでは水道も国際金融資本に売却(映像のみ) 2013/5/11(土)
片っ端から日本を売るTPP 2013/5/12(日)
映像②コチャバンバ「水戦争」から10年 民営化阻止の民衆闘争をふり返る
放送日: 2010/4/19(月)
ボリビアのコチャバンバでは10年前、最も大切な天然資源である水をめぐり、壮絶な「水戦争」が起こった。コチャバンバ市では政府が米国企業ベクテルに水道管理権を売り渡したことに危機感を抱いた民衆が一斉に立ち上がり、契約取り消しをもとめて広場を占拠した。
政府は軍を投入し、戒厳令を発令して弾圧。
政府軍と市民との死者を出す市街戦に発展。
「水の権利」を守ろうとする民衆の反乱には勝てず、結局は民衆の要求に屈した。
我が国の近代的な水道事業は、横浜市で1887年9月、イギリスのヘンリー・スペンサー・パーマー工兵少将の指導のもと、洋式水道が完成したのが始まりである。以降、全国各地で近代水道が整備され、今日に至るまで、市民の最も重要なライフラインを支える公営事業として続いてきた。
政府が今国会での成立を目指す改正水道法は、「水道の基盤の強化」を主な目的に、広域連携や官民連携、適切な資産管理などを推進するものである。水道施設の運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入することを目的として、広域連携の推進役である都道府県に水道事業の再編計画の策定を求める内容だ。
水道事業の「官民連携」自体は既に各地で行われている。広島県三次市が2002年、三菱商事が出資する「ジャパン・ウォーター」(本社・東京)に浄水場の管理・運営や水質検査を委託したのをはじめ、浄水場管理や検針、料金徴収などの業務では、多くの自治体で民間委託の実績がある。
日本の水道普及率は、1950年に26.2%、60年に53.4%、70年に80.8と着実に進捗しんちょくし、2014年には97.8%に達している。水道事業は、半世紀以上にわたる「拡張・建設の時代」を経て、今は「維持・管理の時代」に突入しているのだ。高度経済成長期に整備された水道施設は、水道管の法定耐用年数(40年)が過ぎるなど、老朽化が顕著となっている。このため、全国各地で水道管の破損事故などが報告されている。
震度6強程度の地震に耐えられる割合を示す「耐震適合率」を見ても、14年度末時点で36.0%にとどまっている。阪神大震災、東日本大震災、熊本地震を経験し、首都直下型地震や南海トラフ地震への備えが必要とされる今、水道施設の耐震補強工事は喫緊の課題となっている。
その一方で、多くの自治体が、人口減少に加え、節水意識の高まりなどによる水需要の減少に直面している。財政が厳しい折、水道施設を再整備したとしても、水道事業による収入拡大は期待できず、長期的展望を見いだすことが極めて困難な状況となっている。今回の水道法改正案は、水道事業の広域化と民営化によって、こうした課題を克服しようというものなのだ。
水道料金値上げの恐れも
水道事業民営化の具体的な方法として有力視されているのが、水道施設の所有権は自治体に残しつつ、運営権を民間事業者に売却する「コンセッション」と呼ばれる方式である。
コンセッション方式の最大のメリットは、民間事業者の資金や経営ノウハウを生かした事業運営の効率化が期待されることである。日本では個々の自治体が水道事業を運営し、規模が小さいことが難点だった。しかし、近隣の自治体同士が水道事業を統合し、民間事業者が一体運営をすれば、コストを低減できる可能性がある。
一方、デメリットも考えられる。民間事業者は基本的に営利を目的に行動するため、「市民に安全な水を安定的に供給する」という公共性が極めて高い事業とは相いれないおそれもある。民間事業者が利益を上げるために水道料金を引き上げたり、過剰な人員削減を進めるなどしてサービスが低下したりするリスクがないともいえない。
再公営化に踏み切ったパリ
世界に目を転じると、水道事業の民営化率は、フランス、イギリスでは70%以上であり、英仏以外の欧州諸国や、北米、南米も50%を超えている。そうした中、水道事業民営化の是非に一石を投じたのが、パリ市の水道事業の再公営化だ。
パリ市は、2009年末にフランスの大規模水道事業会社「ヴェオリア・ウォーター」と「スエズ・エンバイロメント」との契約を終了し、翌10年から水道事業を公営事業に戻した。パリ市は1985年に水道事業を両社に委託したが、その結果、両社の経営に対する監督の目が行き届かず、パリ市の水道料金は85年から2009年までの間に、実に3倍以上も上昇した。
そのため同市は、09年末に両社との委託契約が満了するのを待って、市が直接、水道事業を監督する公営水道事業体「Eau de Paris(パリの水)」による運営に切り替え、料金の引き下げなどに取り組んだ。
国際公務労連加盟組合日本協議会(PSI-JC)のリポートによると、近年、世界の主要都市では水道事業の再公営化に踏み切る事例が増えており、その数は2000年から14年までの間に180例に及ぶ。多くは、パリ市の事例と同様、民間事業者が利益優先の経営に走った結果、水道料金の値上げや水質の悪化を招くなど、住民サービスが低下したことが理由とされる。(以下省略)
(註1)CFR=外交問題評議会
ニューヨークにある外交問題評議会本部ビルは、国連ビルと同様、ロックフェラー財閥の関係者から寄付されたもの。今、デイヴィッド・ロックフェラーは、名誉会長になっている。この影の政府を運営しているのは、ロックフェラー財閥やモルガン財閥、ロスチャイルド財閥、英国王室などの貴族の末裔とされているグループ
(註2)竹中平蔵と韓国女性派遣国際組織 2016/4/21(木)
「自民党をぶっ壊す」と叫び、実は日本社会をぶっ壊そうとした国際金融資本の忠実な下僕:小泉純一郎と竹中平蔵。壊れかかった日本社会を「(小泉純一郎が)やり残したことがある」と称し、「やまと心」の日本社会を完全に壊そうと図る安倍晋三首相と竹中平蔵。竹下平蔵指揮下のおおさか維新の橋下徹。いずれ、竹中平蔵のパソナが牛耳る韓国国際売春組織の現状とは。
(註3)(註4)関空、民営化したとたん超黒字
国が100%出資する関空の運営会社・新関西国際空港株式会社(新関空会社)は2015年12月15日、オリックスと仏空港運営大手バンシ・エアポートの企業連合に関空と大阪国際(伊丹)空港の運営権を売却する正式契約を結んだ。オリックス・バンシ連合は新会社「関西エアポート」を設立。2016年4月1日から、同社による44年間にわたる空港運営が始まった。
新関空会社は両空港の所有権を保持したまま、施設の運営権だけを売却した。この「コンセッション方式」と呼ばれる事業方式により、新関空会社は年間490億円、総額2兆2000億円超の運営権料を受け取り、巨額の負債の返済に充てる。さらに民間のノウハウを活用し、空港の活性化につなげたいと考えだ。
尚、国は運営権者を募集したが、最終的に応募したのは、オリックス・バンシ連合のみだった。
民営化したとたん、関空の離発着回数は増え、2015年12月-2016年9月までの第1期会計年度の営業収益は891億円となった。営業利益は195億円、経常利益が115億円となった。