当時23歳の女子事務員の勝負手

 
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     私の履歴書・390
 
今回は、若き女性の目的を果たそうとする執念の話しです。
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 私が本社着任の翌年・1992年5月、新卒が配属されました。
 
私の部署には、四大卒の男子二名と短大卒女子一名の三名が配属となり、計六名となりました。
 
歓迎会の飲み会は同じ本部の中のBB営業部(五名)と合同です。
歓送迎会だけではなく、毎月末全国支所の売上集計が終った時もそうでした。
 
本部の中には他の営業部もあるのですが、吉田本部長の意向でこうなのです。
そして二次会は大きなカラオケスナックへ。これがお決まりのコース。
 
夏になると、入社歴三年生の明美(仮称)さんが私の部署に配属されてきました。
背は164cmで原さんよりちょっと低いが原さんと同様、脚が長いし足首が細い。
それに美人ですから、水着姿なら恐らく美人コンテストから脱け出してきたような。
 
そしてその秋、明美さんと社内恋愛中の彼氏に東京支店転勤辞令が出ました。
近い将来、結婚を約束していた明美さんにとっては一大事。
 
明美さんは、ことある都度、吉田本部長に「私も東京に転勤させて!」とお願いしていました。無論、飲み会の時も。
 
年末近くのこと。
居酒屋の二階の座敷で吉田本部長やBB営業部との合同飲み会の時でした。
 
明美さんはいつもより日本酒を飲むペースが速い。しかもコップ酒。
彼氏が東京に転勤してしまい、寂しいからだろうと静観していました。
 
そのうち吉田本部長の隣に座り、吉田本部長と乾杯を繰り返しました。
やがて手足や身体全体が柔らかくなり、いわば酩酊状態になりました。
 
それから彼女はお膳の前であぐらをかいている本部長の膝に座ったのです。
それはあたかも幼き孫娘をお祖父さんが膝でだっこする姿ですね。
 
間も無く本部長の左手を自分のふくよかな左胸に持っていきました。
あれれ? 周囲の我等はキョトン!
 
更に我等から丸見えの白いショーツに本部長の右手をもってきたのです。
我等はあんぐり。他の女子社員六名の顔から血の気が引く。
 
「本部長~、お願い、私を東京支店に転勤させて~」
本部長は、まさかの事態に次の対応不能。苦笑するのみ。
 
彼女を為すがまゝにしておくと、次はショーツ(パンティ)を脱ぐかもしれない。
本部長のご期待に反して(?)私はやおら彼女をお姫様抱っこしました。
 
他の女子社員達は目を丸くして「彼女を抱きかかえてどうするの?」という雰囲気。
カモシカのような肢体でしたね。若さ溢れる。
 
この時一瞬思いました。彼氏のお株を奪ってしまった!と。
結婚式で新郎が新婦をお姫様だっこしますからね。
 
抱きかかえ階段を下りて行きながら、ひょっとしてと思い、彼女の唇に私の唇をそっと近づけたのです。
 
微かに触れた時、彼女は瞳を開き、私をじっと見つめ、そっと顔をそむけました。
案の定、彼女の瞳はしらふでした。なかなかやるじゃないか。
 
「そのままでいた方がいいよ」 と小声で彼女に伝え、彼女を抱きかかえながらタクシーを待ちました。
 
やがてタクシーが来て、彼女をタクシーに乗せると、「私が明美さんの自宅を知っているので私が送っていきますわ」 と青ざめている同僚の原さんが申し出たので、あとは原さんに任せました。
 
それから二ヵ月後、明美さんには待望の東京への転勤辞令が出ました。
我等は、彼女は一旦会社を辞め、東京で別な会社に就職と思っていました。
 
処が会社の転勤辞令で独身の場合、基本給の半月分の転勤手当てに東京までの交通費・住居借入費用・家賃等は一切会社負担ですから、してやったりでした。
 
尚、彼女は、彼氏の元の上司の取締役にもお願いしていたとか。
「それじゃ、若い二人を何とかしてあげよう」ということになったとか。
 
それにしても、昨今のご時世ではどうかは分かりませんが、当時として彼女のオープンな行動は破格でしたね。
 
翌日以降、この件に関して一切口に出したことが無いのですが、総務部や経理部の女子事務員と廊下ですれ違う時、彼女らの私を見つめる眼差しが下から見上げるような、そしてコンマ5秒長くなったように感じました。噂になっていたでしょうね。
 
それから1年弱後でしょうか。吉田本部長が本部長室で雑談の時言いました。
「あの時の君の判断は正しかった!」と。
私 「あのまま続行していたら次はどうなっていたでしょうか。でも彼女の実行力は素晴らしい。あれが男だったら、その辺の男子社員は到底かなわないでしょう」
 
 
尚、彼女の彼氏も結構いい男でしたよ。
二人はやがて東京で結婚式を挙げたことは言うまでもありません。
 
 
 
 
追記)過去のお姫様抱っこに関する私のブログ記事
私の履歴書・79 十代のお手伝いさん二人をお姫様抱っこ
私の履歴書・90 新婚ほやほやの女子事務員をお姫様抱っこ