OLと婚約後のリスク

 
 
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        私の履歴書・349
 
1987年、着任早々、彼女のいない旭川の斎木君(仮称当時24歳)には、早く彼女を見つけ結婚した方が落ち着いて仕事が出来ると言ってきました。
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1988年早春、斎木君を旭川所長代行にしてから、斎木君には一層強く「早く結婚せよ!」といい続けましたね。
 
「紹介で何人かの女性と会ったけど良い人がいない」と言う。
「果たして君は君の理想とする女性が君を選ぶ対象となるほどの男か?」
 
「違います」
「それだったら現実を直視することだね。一生共に手を携えて生きていくことを前提とした視点で女性を見たら違ってくるよ」
 
「所長もそうですか?」
「そうだよ。惚れた腫れたでは何れ熱も冷(さ)める」
 
彼の心の中には、高校時代、好きだった同級生の女性がいましたね。
その彼女も、未だ独身。
 
故に断ち切れない彼女への執着がある。
これに白黒を付けなければ前に進まない。
 
むずかる彼に言いました。
「彼女と再会し、結婚を前提とした交際を申し込んだらどうだろう。
自ら動かなければ何も始まらない。その彼女に早急に会うことだね」
 
後日の夕刻、彼はOLの彼女と喫茶店で何年ぶりかのご対面。
高校時代と違って凛々しくなった彼に彼女は驚いたと言う。
 
でも、同い歳ですからどうやら精神的には彼女の方が上。
「今仕事のことしか考えられないわ」と体よく断られ、これで一件落着。
 
次に彼に言ったことは、
「若者同士の会合や飲み会があったら、仕事を放置してでも参加すること」
 
後、何回か会合や飲み会に参加したとの報告。
でも、色好い報告は無い。
 
やはりあせったら駄目なのか!
結婚をせかせることは一時中断。
 
1989年夏の終わり頃、
「結婚したい女性が出来ました。媒酌人をお願い出来ますか?」
 
彼の結婚のことは、頭からすっ飛んでいましたね。
寧ろ私の方が諦めていましたから。
 
どうやら友人主催の会合で知り合って交際が始まったとのこと。
「どんな女性?」
「心の優しい人です」
「働いているの?」
「ええ、OLです」
「それで式はいつ?」
「来年夏頃にしようかと思っています」
「来年では遅い。今秋にした方が良い」
「何故ですか?」
「婚約したOLは危ないのだよ」
「逆じゃないですか?」
「今まで何とも思っていなかった周囲の男の眼が違ってくるからだよ」
「どうしてですか?」
「一種の盗られる心境となり、急に彼女を愛しく思うようになるからだよ」
「でも婚約しているのですよ」
「だから奪いたくなるのさ。男の闘争本能かな?」
 
そこで、数年前の実話を披露。
 
「僕の本社時代、部下にA君とB君がいて、A君はグループ会社管理室事務員のC子と同棲していたのだよ。処が、翌年に結婚式を挙げることになってからC子は婚約を破棄し、電撃的にB君と結婚してしまったのだよ」
 
C子さんというと、太い人でしょう。本社に研修で行って管理室に寄った時、会話した事があります。足首は細いが、太腿なんかは丸太ん棒。それに、可愛いとか美人とかとは無縁の人ですね」
 
「二人共に四大卒の同期入社で結構男前。社内に幾らでも若い娘がいるのに」
「他の男と婚約し同棲までしている女性を奪うなんて驚きですね」
「男女関係なんて、どこでどうなるのか終ってみなきゃ分からない世界さ」
 
「形態は違うが、君は米国の映画『卒業』を観た事があるかい?」
注)ラストの教会シーンは、残り三分の一以降です。
 
「ありません」
「曲は知っているだろう。この映画で流れる曲がサイモンとガーファンクルが歌う『サウンド・オブ・サイレンス』や『スカボロー・フェア』『ミセス・ロビンソン』なんだよ」
 
「その曲なら知っています」
「主人公が幼馴染の彼女の母親と不倫する。それを知った幼馴染の彼女は、他の男と教会で結婚式を挙げる。その式の最中に主人公が花嫁である幼馴染の彼女を奪うというストーリだよ」
「そんなこともあるのですね」
 
「だから、決まったなら早いほどいい」
「いつですか」
「今年中だね」
「お金がありません。二人で貯めてからじゃないと。」
「会社に借りたらよい。貯めてから使うのか、使ってから返すのかの違いだけだよ。保証人になるから」
「先方と親に相談します」
 
そして、挙式の日は翌年早々の1月14日(日)となったのでした。

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