混浴温泉での妻を想う中年男の迷走

 
 
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        私の履歴書・327
 
定山渓ホテルで何回目かの宿泊の時、温根湯(おんねゆ)ホテルでの出来事と似たような事が起きました。
(温根湯でのその話は下記URL)

● 露天風呂での女性は美しいですね
温根湯温泉 女湯露天風呂混浴記
 
 
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さて、定山渓ホテルでの出来事です。

夜の8時頃でしょうか。大浴場からドアを開けて大きな丸い露天風呂に行きました。
 
注1)右の写真の円形の建物です。
 
↑「ひろたかさん」のブログはここをクリック
 
.注3)実は、露天風呂と思ったのは私の間違いで、定山渓ホテルフロントの方に確認しましたら内風呂だったのこと。尚、今はここを使用していません。(2010年9月電話確認)
 
注4)下記図の右端の円形の浴槽です。
 
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浴槽の周囲の床は庭スタイルで敷石と砂利だった記憶。
中央には真ん丸い大きな浴槽があり、浴槽の縁に入浴者が座ったとしたら100人前後は可能でした。
 
照明は薄暗く、露天風呂の雰囲気でしたね。
その時、ここで入浴していたのは30人程でしょうか。
 
浴槽の縁で私の右隣に座っている30歳代から40歳代後半の男性5名が結構大きな声で騒いでいます。
 
彼等の話している内容とは、灯りが漏れているドアの向こうの女性専用の洗い場のこと。時には大笑いしたり。
 
他の客は、ゆっくりのんびりまどろみながらお湯に浸かっているのに。
話すとしても、小声なのに。
 
五月蝿いので言いました。
「そんなに女の洗い場が気になるのだったら、観に行ったらどうかね」
 
一瞬彼等の会話は止まったものの、再び灯りの洩れる女の洗い場や裸の話。然も相変わらず大きな声。どうしてこの男達は周囲の迷惑を考えないだろう。
 
この状況、温根湯ホテルの時と全く同じですね。
 
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私は、この丸い大きな浴槽の中央を漕いで渡り、迷わず女性専用の洗い場のドアを開けました。
 
中は右手に10人程は入れる長方形の浴槽がありました。
 
その浴槽の中の手前には、色白・ふくよかなご婦人が一人で入浴中。
 
迷わずその浴槽にドボンと入りましたが脚が触れ合いましたので脚を引きました。
.
.
「何処から来たの?」
「札幌です」
「僕も札幌だよ」
「そう」
「幾つ?」
41です」
「僕の方が二つ上だね」
 
その時、奥の洗い場で背を向けながら身体を洗っているお婆さんが言いました。
「あんた、何しに来た?」
 
 
「実は、隣の露天風呂で知らない男供が、ここの女風呂がどうのこうのと大騒ぎしているから、私、言ってやったのです。
 
『そんなに興味があるなら、入りに行ったらいい』と。
それでも話を止めずに相変わらず女風呂がどうのこうの。
 
皆、静かに入浴しているのに非常識だと思いません?
その連中と言うのは中年ですよ。
 
あの年までなって、何と肝っ玉の小さい連中。
だから、行けと言った手前、私がここに来たのですよ」
 
 
お婆さんは「そう」と言いながら手を休める事無く身体を洗い続けました。
 
再びその41歳の女性に話しかけました。
 
「旦那とは幾つ違うの?」
4歳年上です」
「僕より年上だね。45歳と言うと男の絶頂期じゃないか」
 
 
更に
「実は、これと同じ様な事が、温根湯温泉ホテルでも起きたのですよ。
露天風呂で男達が隣の女性用露天風呂のことで騒いでいる。
 
僕が、ゆっくりと満天の夜空を見上げているのに。
それに、女露天風呂を交互に覗き見までしている。
だから先ほどと同じ様に彼等に言ったのですよ。
 
『そんなに騒いで然も覗き見する位だったら行って一緒に入ったら?』と。
どうなったと思います?」
 
 
「さあ?」
「だれも行かないで相変わらず女性の露天風呂の話ですよ」
「 - - - - - - 」
「それで僕はタオルを首にかけ、ぶらんぶらんさせて今のようにその露天風呂に入りに行ったのですよ」
「まあ、うふふ」
 
― (途中省略) -
 
「女性達と一緒に入浴中、私の後ろで男がぎゃんぎゃん騒いでいる。
その男、誰だと思います?」
「さあ?」
 
「私とこのような感じで話していた女性の旦那だったのですよ」
「まあ! まさか!」
 
「自分の女房が露天風呂に入っているのを知っていて、自分の女房の裸を盗み見するなんて変態夫婦じゃないですかね?」
「うふふ」
 
その時、バタンと音がして後ろのドアが開きました。
私は一瞬、ホテルの風呂場管理人だと思いましたね。
 
振り返ると、そこにはホテルの人ではなく裸の男。
然も、先ほど私の隣で騒いでいた男達の中の一人。
 
彼女に聞きました。
「知っている人?」
 
彼女の回答にはびっくり仰天。
「主人です」
 
「エェ~ッ!? 奥さん、さっき話した温根湯での事と全く同じじゃないですか」
「どうしてこうなるのかしら」
 
「素敵な奥さんだからですよ。いつもご主人の頭から奥さんの事が離れないのですよ。それにしても、情けないですね。今夜ゆっくりと温根湯のことをご主人に話しておいて下さいよ」
 
そう言って私は湯船から上がり、その旦那の横を通り抜け、再び露天風呂の元の位置で入浴しました。
 
但し、旦那の横を通る時には声をかけました。
「ご苦労さん、奥さんのことが心配なら、もう少し早く来なきゃ」
 
彼等の下らない話は止んで、静かな落ち着いた雰囲気になり、まどろんで暫し時が流れました。
 
と、女性用洗い場のドアが開いて、素足の女性がこちらに歩いてきます。裸に白いバスタオルを巻いて。

色白のもち肌。露出している肩の柔らかなライン。
 
背は165cmほどでしょうか。
直ぐに先ほどのご婦人と分かりました。
 
彼女は、浴槽の石の縁に座っている例のグループの真ん中に座りました。浴槽の中の私から二間程の距離ですね。
 
彼等五人全員無言。
彼等は全員緊張している。
 
浴槽全体の雰囲気が一変しました。
    シラ~~~~~!
 
白け鳥が飛び交います。
お通夜のようでしたね。
 
この異様な雰囲気は息苦しい。
入浴している人達の大半はそこから引き揚げました。
 
無論、私も去りました。
「アホか!」と言い残して。



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