女性に甘かった男とは誰?

 
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   私の履歴書289
 
社員研修の宴会の席で、どうしたら世子(よこ)の心を捕まえるか!
 
考え出したのは、暴露メモ。
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A4コピー用紙を四つに切り、それを全員に予め渡しておく。
その紙に書く内容は『会社で変と思ったこと』
 
無記名で一人一枚以上、何枚でも。
書く内容は何でも有り!
回収は、宴会の始まる直前、入り口に置いてある袋の中に。
 
座敷テーブルを直列に六個くっ付けて配置し、好きな場所に座らせました。
 
宴会での酒類は、北海道の場合、大半の宿で持ち込み可。
ローカルの連中は、電車で来た事にして、その代金の分だけ買う。
近場の連中は、お客さんへの手土産として酒を買い、領収書で後日処理。
 
宴たけなわの頃、皆が書いた紙を私が一枚ずつランダムに読み上げる。
 
日頃の言いたいことや愚痴をこの一片のメモに託したもの。
誰かの変な癖を書いたもの。
うわさ話を書いたもの。
 
読み上げる都度、感嘆や大爆笑。
皆、思いは同じ。共感を呼ぶのですね。
 
読み上げるメモの内容をよく理解できない世子も、周囲の連中から説明を受けて大笑い。
 
そのくったくない世子の顔を見て、胸をなで下ろしましたね。
もう大丈夫。
 
 
尚、この催し物は、温泉一泊研修会で何度か行いました。
その都度、大いに盛り上がりました。
益々、皆、笑えるネタを書くようになりましたからね。
 
但し、お膳での宴会では失敗。
やはり、社員同士の席が密着していなければなりませんでしたね。
 
読み上げたメモの内容は記憶にありませんが、たった一つだけ覚えています。
 
 
それは
時季は観楓会の前ですから、9月でしょうか。
 
私がメモを読み上げました。
「我社には、毎月、生理が二回ある社員がいる」
 
皆、十分間以上、腹の皮がよじれるほど笑い転げましたね。
亜子のことです。
 
我が札幌営業所でのこの当時の女性社員は、世子に亜子、それに亜子と同じ年の女性が他に三人。それに事務の由紀ちゃんにアルバイトが一人ですから計七人の時ですね。
 
本来、女子の生理休暇申請書は総務森口係長に提出するのが決まり。
だが森口係長が嫌な顔をするものですから全員から毛嫌いされてしまいました。
 
いつの間にか彼女等は私に直接持ってくるようになりました。
そして必ず私の右横に立ち、明るく大きな声で言うのです。
 
「所長、生理休暇をお願いします」
向こうの席の森口係長にわざと聴こえるように。
 
ある月の下旬に亜子も私の右横に立つ。
申請書に閲印を押した時、森口係長が偶々私の検閲する書類を持って来ました。
 
彼  「所長、前から言おうと思っていたのですが、亜子社員は先月でも生理休暇を二回とっています。これでしたら今月も二回目です」
亜子 「私、生理不順ですから」
彼  「男に変な病気を移されたんでしょうよ」
亜子 「まあ、失礼な。男はいません」
私  「でもなあ、亜子。君の実際の生理は先週だったはず」
亜子 「所長、ご存知だったのですか?」
私  「亜子の場合、まともな日に生理休暇をとったことはないじゃない?」
亜子 「ばれていましたか」
亜子は、頭を掻いて引き揚げました。
 
その時、事務所に何人かいた社員全員で大笑い。
皆、聞いていたのです。
無論、亜子も一緒になって。
 
この話ですね。宴会でも皆が笑い転げたのは。
それに、身に覚えのある女性も何人かいますから尚更。
でも、この話、如何にも、亜子らしいエピソード。
 
 
実は、申請書がばれた夕方、亜子へはこっそり特別に指導したのです。
 
「亜子、平日に男と一泊旅行に行くのかい?」
「男じゃないですよ。久美(メグ)ですよ。久美の休みは平日だから」
「それだったら、私が在社の日を事前に確かめておくことだね」
「どうしてですか?」
 
「先ず、亜子は朝ちゃんと出勤する。そして私の机に来て、大きな声で言うことだね。
 
『今日の夕方からお客と打ち合わせがあるから帰社出来ない。翌朝も朝一番の商談があるから直接お客さんの店に行く。但し夕方は帰社する』とね」
 
更に
「当日、朝礼が済んだら自宅に帰って着替えをして旅行に出かける。翌日の朝礼では、亜子が直行でお客さんのところに行ったと言ってあげるから」
 
若い女性に甘い、とんでもない指導をする上司でしたね。私は。
翌週の平日、亜子はきっちりと久美と一泊旅行に出かけました。
 
                   流石!流石!