安月給にとって顧客との麻雀は恐怖でした

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人生、チャンスの時って何度かあるのですね。
でも、チャンスが来たことに気付かない。
チャンスの尻尾もつかめない。
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他方、チャンスが来たのを分かっているのに、
その時は、何故か動かない。
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我等人間の心って不思議なものですね。


私の履歴書・200

1984年秋
一年生の吉本君(仮称)が私に同行依頼してきました。

一種の受注セレモニーの立会いですね。
行き先は、大阪市内の南東商事㈱(仮称)。

応接間で南東社長(仮称)は10台1,200万円の契約書に調印。
この10台で指定された納入先の記憶があるのは、大阪梅田では毎日ホール。
それと道頓堀では、中座・角座・朝日座ですかね。(なんば花月は?)

当時の大阪毎日ホールにはエレベータが無い。判弧を描いている高い階段(二階半)にダンボールを敷いて六人程で滑り押し上げました。本体重量は、確か250kgは超えていたと思います。

南東社長は、古くから吉本興業㈱の林正之助会長と懇意で吉本興業㈱の株主。ですから、吉本興業所有の演芸場や関係先劇場の売店の一部は、南東商事でした。

社長は、林正之助会長から吉本の増資の一部引き受けを依頼されていました。
「水無瀬君、吉本の増資の株の一部を君も引き受けてくれんか」
でも私、当時は本当に安月給に子育てで投資の余力等は無かったですね。

南東社長は、新しい機器の納入で他の劇場との交渉をしていました。
当初、吉本君が社長と同行しましたが、吉本君では間に合いません。
対象施設の電源・工事・搬入等、諸々の知識と経験不足でしたから。

社長と吉本君の要望で、私が社長と同行することになりました。
一緒に同行したのが、カネボウ食品㈱アイスクリーム事業部の湯原課長(仮称)。
カネボウのロゴの入ったバンに同乗。

社長の各劇場へのアポ(面談予約)は、午後一時か二時。
所用時間は、交渉と図面・現場の諸状況確認も含めて1時間から2時間。
つまり、午後三時頃には終了するのです。

「水無瀬君、麻雀できるか?」
「多少なりとも」
「じゃ、途中の雀荘に入るか」
「今からですか? メンバーが一人足りませんが」
「三人打ちだよ」
「三人打ちって、やった事がないですが」
「一度やったら、直ぐに覚えるよ」

最初の雀荘は、堺市からの帰路で、国道26号線、もしくはあべの筋道路東側沿いのビルでしたね。
三人打ちは、ツキが一方的で延々と続きますね。
この日は、なんとか損失若干で済みました。

二回目は何万円かのプラス。甘い汁を吸わせてもらいました。
三回目が五万円のマイナス。妻に何とか工面してもらい次回に払いました。

処が、その次の回では、更に十五万円負けたのです。
私は超安月給。この額は、当時の私の一ヶ月の手取り額よりも多い。

もう、妻に言えない。何とか用意立てをしなきゃ。
手段は一つ。生命保険の一部解約。

次の更なる負けを見越して、この一部解約で三十万円を用意しました。
他方、南東社長には「三人打ちは二度とやらない!」と宣言。

その次からカネボウ食品の湯原課長が連れてきたのが、カネボウ食品北海道販売㈱藤木常務(仮称)。藤木常務は、元・南東商事担当者。

つまり、藤木常務が、札幌から新大阪のカネボウ食品㈱大阪に来た時だけ、四人で麻雀をすることになりました。単身赴任の帰宅手当で家族のいる大阪に帰るのは月に二回程度でした。

四人打ちになり、一回で五万円前後のプラスが連続三回。
ようやく元を取り戻してやれやれ。

帰路、湯原課長に駅まで送ってもらう車中で藤木常務が言いました。
「水無瀬さん、常務と言っても私も所詮子持ちのサラリーマンなのですよ」
藤木常務は、この三回で二十万円強の負けでした。

以後、麻雀はピタリと止みました。
ほっとしました。


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12月下旬、南東社長から吉本喜劇の招待券をもらいました。
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一年生と二年生と私の五人で指定の土曜日、道頓堀・角座?(orなんば花月?)に行きました。
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もう始まっていて、中程のドアで立見。
途中、催したのでトイレへ。


背の小さ目な侍姿の男と連れション。
彼、「冷えるなぁ~」と言いながらこちらを向く。
「おぉ~、今日は寒い!」と言って横を向くと、チャンバラトリオ南方英二(みなみかた )(写真 上中央)

いよいよチャンバラトリオの登場。
南方英二は、つまらん同じギャグを三連発。
更に四回目を言おうとした時、自然と私の口が動いてしまいました。

「もう、エ~~!」(もうたくさん!)と大声で。
劇場内ではドッと皆大笑い。

さて、翌々週(?)の日曜日、偶々テレビのチャネルを回したら、吉本の例のチャンバラトリオ出演。妻に「観て!観て! これ、この間観たのと同じだよ」

そして、例の場面。
テレビから聞こえる大きなヤジ。

「もう、エ~~!」 
それに続く爆笑。
まさか! 私の声でした。

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