誰でも持っている心のバリア

部下育成とは面白いものですね。
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部下を育成する自分が育成されているのですから。
指導したなら、自ら実践しなきゃなりません。
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尚、この二年間は、その後の部下育成の貴重な体験となりました。
部下には、仕事を教えるのではなく、物の考え方を教える事ですね。
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私の履歴書・196

もう一つの例 （1984年　昭和59年）

一年生の吉本君（仮称）の物件です。
兵庫県の内陸の冷菓問屋でした。

どうしても社長が会ってくれないと言うのです。
でも、奥さんには会えて話はしているとの事。

興信所調査をかけましたら最近調査したコピーがあるとの事。
そのコピーを一部一万円で入手出来ました。

当時、アイスクリームメーカーは、毎年二月前後、冷菓問屋に興信所調査をかけていましたから尚、この問屋の前年度決算では、純利益が500万円程だったでしょうか。

吉井君と一緒に午後二時に訪問。
奥様は、快く迎えてくれましたが、社長は私達の姿を見ると消えてしまいました。

以前の山口からの帰路、嫁入り前のお嬢さんを持つ父親の事を思い出しました。
同じでしたね。奥様が呼びに行っても来ないと言う事です。

何処にいるかと聞きましたら、機器を置いてある倉庫にいるとのこと。
二人で倉庫に行きました。

「係長、いつもあの調子ですよ」
遠くから挨拶をしてから近づくと、離れて行きます。バリヤの遠い人。

無言で近づきました。
社長は、我等に背を向けて離れて行きます。

その後ろを歩きながら話しかけました。
「社長の会社は、興信所調査による決算書を見ますと、毎年好決算ですね」
「　- - - - - -　」　（--- 無言）

「決算書を作成している会計士から何の指摘もないのですか？」
「　- - - - - -　」　（--- しぃ～～ん！）

「失礼ですが、この事業規模で税金を払いすぎていませんか？」
ここで初めて口を利いてくれました。
「税金を納めるのは、町民の義務だからだよ」

「確かに仰る通りです。でも、何れ社長が奥様と築き上げたこの事業を息子さんにお譲りになるのでしょうが、このままでいいのですか？」
「　- - - - - -　」

「今日の繁栄が、明日も続くという保障はありません。利益の出ている今こそ息子さんの為に何等かの手を打っておく必要はないでしょうか」
「　- - - - - -　」

「決算書を、もう一度、見直したらどうでしょうか」
「　- - - - - -　」

暫らく白け鳥の後、
「話を聞こうか」　　とぼそっと社長。

そこで、経理処理に関しての疑問点の指摘、質疑応答、それから経営全般に亘る話になりました。立ち話で。尚、この話の具体的な内容は忘れました。

この話が一段落してから、リース契約の説明をしました。
リース料は、損金処理で落とせることを。

当時、リースに関する分厚い本数冊を読んでいましたから、どんな質問にも答えられました。そして、利益の出ている今こそ設備投資しておくべきと。後継者の為に。

社長は、ポツリと言いました。
「事務所に行こうか」

事務所で社長は河内冷菓と同様、金額未定のまま白紙の契約書に押印しました。
「金額は、任せる」

吉本君は、その契約書に、5台600万円と記入しました。

　　　　　　　★　　　　　　　★　　　　　　　★

余談ですが、人は誰でも心のバリア（防御網）を持っていると、本で読んだ事がありました。私なりに解釈すれば、下記のようになります。

　　　　　　　　　　　　　　　☆

心にバリアがある事の分かり易い例は、犬ですね。

遠くからでも吠える犬。5m程近づいたら吠える犬。1m程で吠える犬。尻尾を振って直ぐに飛びついて来る犬。各々の犬によって、危険を感じるバリアの距離が違いますね。

　　　　　　　　　　　　　　　☆

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左記の作図で説明しますと、
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（A）の場合、いつもニコニコ笑顔でいて、話しかけやすい人は、心のバリアが身体から1m以内。他人は近づき易いのですが、その代わり、なかなか他人に心を許さず。
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バリアは狭いが厚い。
口説き易いようで口説き難い。
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反して、（B）の場合、とっつき難い人で、心のバリアは身体から遠くにありますから、なかなか他人を寄せ付けない。
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でも、バリアは広がっている分、薄い。
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この（B）の場合、一度、他人がこのバリアを破って中に入ってしまえば、一気に心の中まで達する事が出来る。
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例としては、いかつい男とか、超美人が多いようです。

超美人の場合は、まばゆさが自然とバリアになってしまっている。
周囲の男が恐れをなして接近しただけで緊張。遠くで眺める。

つまり、超美人は、男にデートに誘われるケースが少ないのです。
彼女のいない野獣が、彼氏のいない美女を、断られて元々でデートを誘う。

そして、野獣は、美女を女王様のようにもてなす。そしていとも簡単に二人は出来てしまう。街でよく見かける美女と野獣のケースは、この産物でしょう。

尚、純情そうな女性は、このバリアが壊れているケースが多いようです。
それは、男の誘いが最も多いタイプで、色々な人と交際したからでしょう。
別な表現で言うと、最も遊んでいる女性。昔の例ですが。

話を元に戻すと、この冷菓問屋の社長は、（B）タイプでした。
顔は、いかついことは無かったですが。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい

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私の履歴書 30歳代編　目次（１）～（３）
http://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/folder/1495255.html
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