激痛からの脱出
実は、青葉支店長に『平社員への降格』と『関西への転勤』を願い出たのです。
が、許可されるものではない。前代未聞。昇格させた者の責任もある。
が、許可されるものではない。前代未聞。昇格させた者の責任もある。
彼のBB第二課は、数字があがる訳が無い。数字の上らない部下が複数。それに抜けた者がいない。
みじめな実績が毎月続く。月初の会議でボロンチョ。気持ちは分かる。
京都人の彼は、東京と言う市場と課長職にすっかり自信を喪失。
みじめな実績が毎月続く。月初の会議でボロンチョ。気持ちは分かる。
京都人の彼は、東京と言う市場と課長職にすっかり自信を喪失。
青葉支店長に呼ばれました。
「水無瀬君、清水君の送別会をするんだって?
辞めていく者の送別会って、何て馬鹿な事をするんだ! 君は!」
「水無瀬君、清水君の送別会をするんだって?
辞めていく者の送別会って、何て馬鹿な事をするんだ! 君は!」
「支店長、彼の場合は、生え抜き入社で在籍十年ですよ。
事情はどうであれ、悪いことをした訳ではないので、ちゃんと見送るのが筋と思います」
事情はどうであれ、悪いことをした訳ではないので、ちゃんと見送るのが筋と思います」
傍でこのやりとりを聞いていた金魚の糞、部屋から出ましたら追ってきました。
「水無瀬よ! 君は支店長の嫌がる事をまたするのかい?」
「あぁ~、清水はワシの友達でもあるしなぁ」
「水無瀬よ! 君は支店長の嫌がる事をまたするのかい?」
「あぁ~、清水はワシの友達でもあるしなぁ」
「またまた昇給・昇進ストップにボーナスカットの査定をされるぞ!」
「分かっている! そんなことを恐れて仕事が出来るか!」
「あはは! 可愛そうな水無瀬よ!」
「分かっている! そんなことを恐れて仕事が出来るか!」
「あはは! 可愛そうな水無瀬よ!」
会費制送別会には、仕事でやむを得ない者二名を除いて全員出席。
事前の雰囲気を察してか、来ないはずの青葉支店長が真っ先に会場にいるではありませんか。
事前の雰囲気を察してか、来ないはずの青葉支店長が真っ先に会場にいるではありませんか。
送別会は、私の挨拶で始めました。
「(途中省略)清水課長はこれから新たに勤務する会社では到底勤まりませんから、二年後、或いは三年後に必ずうちの会社に戻って来ます。ですから、今日は彼の修業の期間限定版・旅立ちの為の壮行会です」
「(途中省略)清水課長はこれから新たに勤務する会社では到底勤まりませんから、二年後、或いは三年後に必ずうちの会社に戻って来ます。ですから、今日は彼の修業の期間限定版・旅立ちの為の壮行会です」
それから半年後、昇給の通知を全員支店長から受け取りました。
金魚の糞が私に 「何ぼ上ったか見せてくれ」と言うので通知書を見せました。
「あっはっは! こりゃ傑作! 水無瀬よ、言っただろう! 支店長に反抗するからだよ。」
と言って彼は自分の通知書を私に見せました。またまた愕然!!
金魚の糞が私に 「何ぼ上ったか見せてくれ」と言うので通知書を見せました。
「あっはっは! こりゃ傑作! 水無瀬よ、言っただろう! 支店長に反抗するからだよ。」
と言って彼は自分の通知書を私に見せました。またまた愕然!!
他方、清水君が会社を辞めてから三年後、転職した会社を辞め、ひっそりと子会社に再就職していました。
一生平社員を条件に。
一生平社員を条件に。
☆ ☆ ☆
この頃でしょうか。
週の初め、バッファリンで騙しだましに痛みを何とかこらえていた上顎の親知らずが激痛に豹変。
バッファリンが効かなくなったのです。
バッファリンが効かなくなったのです。
その週は、月曜から金曜午後までの毎日、朝から夜の接待まで変更の出来ないスケジュールでぎゅうぎゅうの時でした。
仕事中は、何とか痛みに堪えましたが、接待が終わって深夜帰宅後からが大変。
ズッキン! ズッキン! なら未だマシ。
ズッキン! ズッキン! なら未だマシ。
ズキズキズキズキズ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
布団の中で寝くるまって激痛に耐える。体中、汗だらだら。半端じゃない。
耐えかねて両手の拳を天空に突き上げる。「ワォ~~!」 夜明けまで。
耐えかねて両手の拳を天空に突き上げる。「ワォ~~!」 夜明けまで。
待ちに待った金曜夕方、歯医者に飛び込みました。
親知らずが虫歯になって根っこを残してボロボロに欠けてしまったのです。
バッファリンの作用ですね。つまり、神経が白いヒモのように裸!
バッファリンの作用ですね。つまり、神経が白いヒモのように裸!
根っこは真横に生えていますし、それを抜くためのペンチを当てる場所は欠けているので無い。
歯医者は躊躇。「歯茎をシッポリ切らなきゃならない」「麻酔は効かないかも」「危険な手術」「腫れが治まってから」 彼は何かと理由をつけて抜くのを後日に伸ばそうとする。
歯医者は躊躇。「歯茎をシッポリ切らなきゃならない」「麻酔は効かないかも」「危険な手術」「腫れが治まってから」 彼は何かと理由をつけて抜くのを後日に伸ばそうとする。
私「今直ぐ抜いて下さい。後日、何か問題が起きることを恐れているのでしたら、今、ここで念書を書きましょう。死んでも未練はありませんから。」
こう言ったら、ようやく手術に着手してくれました。
確かに、抜くのに苦労していましたね。
確かに、抜くのに苦労していましたね。
1時間弱? メスに、ニッパの変な形やキリのようなミニ大工道具で悪戦苦闘。
あ~でも駄目。こうしても駄目。大汗をかいて。顎がくたびれましたね。
あ~でも駄目。こうしても駄目。大汗をかいて。顎がくたびれましたね。
遂に、縦にざっくり切った歯茎から残る三分の一の根っこがポロリ。
感激でしたね。これが私を苦しめていた元凶。貴重品。
感激でしたね。これが私を苦しめていた元凶。貴重品。
その夜、成る程、激痛には間違いない。
歯医者がくれた痛め止めの錠剤は全く効きませんでした。
歯医者がくれた痛め止めの錠剤は全く効きませんでした。
でも、それまでの生きるか死ぬかの三夜の激痛に比べましたら軽いもの。
ぐっすり眠れましたね。
ぐっすり眠れましたね。