当時の美女は病弱??

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日曜TV・桂三枝の「新婚さん いらっしゃい!」を観ていますと、女性からの積極的アプローチのケースが多いですね。
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今の青年は、精神的にも経済的にも気弱になったからでしょうか。
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然し、昔からイザという時に男は弱いものでしたね。
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私の履歴書・135


洋子さんは体調が悪いと言うことで二日ほど会社を休みました。
全く趣味に合わないと彼女に蹴られた皆川君が彼女の身体を心配でたまらない。

「水無瀬先輩!洋子さんの住所を知っているんですね。教えて下さい!」
「先輩って言われても、君の大学には1年しかおらんかったぞ!」

「卒業は他の大学でも先輩は先輩。是非お願いします」
「しゃーない奴っちゃ。教えてやるさかい、行くなら土曜か日曜やで」

そこで、以前彼女が描いた大田区の住所と地図を書き写して彼に渡す。

開けて月曜日、彼女は出勤してきました。
だが皆川君がションボリして三階に上って来ました。

「どうしたん?見舞いに行ったのじゃなかったのか?」
「それが、そのぅ~」

「何かあったんかいな?」
「ボク、ホントに、ホントに諦めました」 涙を浮かべて。

「情けないやっちゃ!」
「あのぉ~~、あのぉ~、実は居たのです」

「誰がやね?」
「木下(会計の若ツルッパ)さんが」

「エエエェッ?? あいつのところは再来月に子供が生まれるのに!!未だ入り浸っているのか? 
それでどうした!」

「洋子さんのアパートのドアをノックしたら、木下さんが出て来ました」

「ほォ~~ォ」
「何しに来た!帰れ!と言われました」

「それでおまえは黙って帰ってきたのか?」
「はい。物凄い剣幕でしたから。ボク、もう一生結婚しません」

そう言って彼は大粒の涙を流しました。
流石! 泣き虫の皆川!

       ☆       ☆       ☆

突然、本社から会計監査が入りました。監査が始まってから三日目、二階のエレバーターホールで金魚の平間運呼と二人きりで話していた時に、シャベリの青葉支店長がやって来ました。

「支店長、何事ですか?」
「内緒の話だけど、帳簿に穴が開いているのだよ」
「幾らですか?」
「六十万円」

急遽、菅野工場長が関西から東京にやって来まして、支店に寄らずに監査をした本社管理部の連中とホテルで会談をしました。

その翌日、青葉支店長はこっそりと来て言いました。
「帳簿に穴が開いていたが、うん、そのぉ~、使い込みでは無かったと言う事だ! 
六十万円は、工場長が穴埋めして一件落着!」
「はぁ~~?」

無論、仲人の菅野工場長は木下君をホテルに呼びつけました。その際、不倫のことで厳しく叱ったようでした。この事があり、どうやら不倫関係の二人は別れた気配。再び、平穏な日々となりました。

       ☆       ☆       ☆

関西の本社の我営業部に新しく課が出来、大阪支店BB課から宮本課長(仮称)と小倉主任(仮称)が本社の本部に移籍して着任。

本社で大声を張り上げました。
「東京の水無瀬は腐っている!東京に乗り込んで奴の根性を叩き直してやる!」

いよいよ、意気揚々と東京支店に二人で殴り込みに来ました。
対するは、私の上司岡田課長と私の二人。

私の営業方針と営業実態に対して激しい批判。
私の東京での歴戦が青葉支店長によって曲げて伝えられていたのです。

私は主張。そもそも、我等の営業部は、新しい顧客開発で、卸を主体とするものであること。
他方、直販の実績は、君達の過去の実績を上回る事。

逆に質問しました。
「課長! マーケットについての課長の戦略を述べて下さい!」

課長の戦略論は、戦略とは程遠い幼稚なもの。
コテンパンにやっつけました。グゥ~の音も出ない程論破。

案の定、彼等は本社に帰ってから水無瀬批判のボルテージを上げました。
「水無瀬を東京から地方に転勤さすべきだ! 東京には、大阪で育てた優秀な男二人を送り込む!」

注)彼等が、自らの誤りに気づき私に詫びを入れたのがそれから二年後。

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それから間も無く、直属上司岡田課長が指導していた新卒の社員、営業職が合わないと申し出てメンテナンス部署に移籍。更に、岡田課長は、奥方が子供の事で精神的に参ったので奥方の静養も兼ねて札幌の子会社に転勤。

我が部の東京支店駐在は、再び私一人。
そこで一人では寂しかろうと言うことで、DD部の三宅君(28歳 仮称)と机を並べる事になりました。

三宅君は関西から転勤してきて半年。アクの強い男で、青葉支店長に毒舌を度々吐く。
「支店長を、お客さんに紹介したら恥ずかしい!」等と。

無理も無い。
青葉支店長の陰の字(あだな)は、金魚の平間運呼君が付けた「軽薄・短小・早撃ちマック」。


その三宅君も洋子さんに惚れたと言うのではないか!
彼女、体調が悪いとかで、またまたお休み。

朝から隣の席で彼女の事で話しかけてくるから五月蝿い!
「そんなに好きなら、今日の夕方、大田区に用事があるから洋子のアパートまで乗せて行ってあげるよ」

夕方、三宅君を乗せて、以前洋子さんが描いてくれた地図を頼りに大田区へ。
目指すアパートは直ぐに見つかり、三宅君には商店街で花を買わせて再度アパートの真下の路上に停車。

「三宅君、私は仕事で忙しい。もしも君がこの車を離れて十分経ったら、君は洋子さんの部屋に入り上手くいったと看做(みな)す。十分後に私はこの場を直ぐに去るよ。Good Luck !」

彼がアパートの階段をトントン上ってから五分経過。上手くいったようだ。
処がそれから間も無く、彼はアパートの階段を降りて来る。

「おいおい、もう大丈夫だと思い、エンジンをかけて車を出すところだったよ」
「駄目でした」

「居なかったのか?」
「居ました」

「それで何で駄目? 花は?」
「渡しました」

「渡しただけか?」
「何しろパジャマ姿で、眠っていたのを起したようで。悪くて」

「そんな時には、空き瓶どこですか?花を生けますから!とか何とか言って中に入るもんだよ。
知らん者同士でもないくせに」
「気が回りませんでした。あがってしまって」

「しゃぁない奴っちゃ。肝心な時に何と言うこっちゃ!」
「すんません」


やれやれ、何という男連中だ!