赤坂での取引

イメージ 1.
.
.
左右両側にレオタード姿の前年ミス・ワールド日本代表とミス京都とそれぞれ腰と脚をピッタリ密着して座ると、女子プロレスラーから今にも羽交い絞めされる雰囲気でしたね。
.
.
(注)画像は、2012ミス・インターナショナル日本予選会より借用。
(参考)ジャガー横田


私の履歴書・131

1977年頃の話です。

異業種の会合に出席したときです。
富士電機冷機の石田主任(仮称)が東京で新しく事務所を立ち上げた会社があるから是非会ってとの要望がありました。

場所は赤坂マンション五階(八階?)。
訪問しましたら、背の高い女性が受付。
奥の窓をバックにした机に座るちょっとひ弱そうな37歳前後の男が責任者。
北関東の資産家がバックとの事。

応接セットに座り、初回面談に入りました。
早速商談開始。でも価格差が大きく、全く折り合いません。

途中、妹と称する女性が加わりました。
背は162cm前後、年齢は35歳前後。
東京のキャリアウーマンの中でも、いかにも超一流という感じですね。

知性と教養と決断力に富む整った顔、知的な笑顔、ショートパーマ。
そして思わず魅力的な大きな瞳に見入りました。

実は、ここの事務所はこの妹の事務所。
兄が上京してきましたから、一時的に机と椅子を貸しているとのことです。

妹「私の本業は、女性を養成してコンテストで優勝させることです。
  ○○さぁ~ん、コーヒー持ってきてさし上げて」

昨年のミス・ワールド日本代表が、コーヒーをテーブルに置きました。ハイレグ姿で。

妹「皆さん、集まって!」
全員ハイレグのレオタード姿の女性数人が隣室から出てきました。

皆、大きな女性。
170cm前後(今でしたら普通の背)。
見事な脚線。
カモシカの勢揃い。

一人ずつ紹介を受けました。
各人毎の受賞写真が掲載されているグラビア週刊誌数冊を開きながら。

妹「この人は、一昨年の準ミス。こちらはミス京都」
 (その他の女性のミスの名前は忘れました)

そして私の両側に二人のミスが座りました。

ハイレグで。
動物園のピューマの檻の中にいるような。

両側から私の腰にぴったり。
鋼鉄の塊に挟まれた感触。
それに肩の位置は私とそんなに変わらない。

私「すまんが、君たちは立って私から離れてくれ! 心臓に悪い!」
ついでに私も立ち、テーブルの横に立った二人の女性と背比べをしました。


立っても肩の位置はほぼ同じ。
頭が小さめ。
顔は卵形で作りはおおざっぱ。
粗い肌。
毛穴が見える。
鼻息が聞こえそう。


横にぴたっとくっついたら女性の腰が私の腰の上にある。
下方を比べて見ると、私の股より数センチ上に股が。

ごもっとも。
私の足の短さを今更感じた一瞬。

女性の腰に手を回して抱き寄せ腰の皮膚をちょっとつまもうとしてもつまめない。
腕の皮膚もパチンとはじかれつまめない。残っているのは筋肉だけか!

私「君たちは男か? それとも女子プロレスラーか?」
皆、クスクス。

       ☆       ☆       ☆


二度目の交渉では、田舎の資産家のスポンサーが挨拶に来てから消えました。
交渉相手は、兄と妹のタッグ。


三度目の交渉は、妹のみ。
頼りない兄は外されたのかも。
詰めて来ましたね。

彼女、応接のテーブルに身を乗り出し、あごを引きちょっと上目使い。
短い言葉を発する都度、せり出してくる。

彼女の勝負スタイルでしたね。
歴戦を勝ち抜いたスタイル。
今まで、これで何度も交渉に成功してきたのでしょう。

この女性、仕事が出来る! 

私は、B4の書類を両手で持ち上げ横に広げました。
彼女の目と私の目の中間の位置に。
つまり、彼女の目を私から見えなくしたのです。

私「あなたの瞳をみていますと、私の心は乱れて判断能力を失う。
すまんが、このままの状態にしていますから要点を話して下さい」

一瞬静寂。

彼女のそれまでの緊張がだんだんほぐれていく。
それが、紙越しに分かる。

彼女、穏やかな声で言いましたね。
妹「分かりました。そちらの条件で契約しますわ」

       ☆       ☆       ☆

指定倉庫に商品を納入した日の午後六時、指定された時間に赤坂の事務所を訪問。

待っていたのは兄とやり手の妹。
彼等は現金470万円をテーブルに置きました。

私「次回からは、銀行小切手にして下さい。数えるのが大変!」
注)銀行小切手 銀行にお金を渡したら、渡した額面を銀行名で発行してくれる小切手。

領収書を発行し、回収作業を終わった時に兄が言いました。

兄「水無瀬さん、これからちょっと飲みに行きましょう」
私「堪忍して下さい。銀行小切手ならいいですが、現金をカバンの中に入れたままでしたら落ち着いて酒等は飲めませんよ」

次回からの取引での回収は、銀行小切手になりました。


       ★       ★       ★

それから数年後、喫茶店に置いてある週刊誌をペラペラめくっていたら驚く記事に出会いました。
この赤坂の妹の美人養成所は、日本政府(外務省?)に要請され、外国の要人を歓待するパーテーに何らかの賞をとった美女を派遣するんです。そして外国の要人相手におとぎ(御伽)をするんです。

当時は今みたいなTVでのバラエティ番組が無かったですから、彼女らの仕事が少なかったのでしょう。
このような御伽をしなければならない程、経営が苦しかったのかとその時は思いました。

       ★       ★       ★