(No.130)カップヌードルで借家五軒を持った男の話

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青葉元支店長の元金魚の運呼君は、いまでも毎年、元支店長から豪華な夕食をご馳走になっているのだそうです。
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「五軒の借家の家賃収入を税務署に一度も申告をしたことが無いから、その口止め料だよ」なのだそうです。
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私の履歴書・130


宮本氏と最後に会ってから1年後(1978年)、お天気の良い午後でした。
丸の内から新宿方面に向かって広い道路を走っている時に、偶々午後一時のNHKニュースがカーラジオから流れました。

聞こえたのは「---と宮本の二人(?)が逮捕されました」と言う事だけ。

何故??? 不思議でしたね。逮捕される理由は無いのです。
マルチ商法には該当しませんし、詐欺罪にも該当しないのです。

商品・麦飯石はと言えば、今でも石原慎太郎都知事が「麦飯石は良い!麦飯石は良い!」とことある都度にテレビで言っている位ですから問題は無いのです。

以後、多忙に紛れてこの逮捕等をすっかり忘れた頃(更に一年後?)
テレビと新聞に、この第一審判決が報道されました。

詐欺罪の実刑判決。裁判所の判決文の要旨は下記の通り極めて乱暴なものと記憶しています。

「商取引で客の振り出した手形を割引に出した。だが、その手形が不渡りになった。不渡りになったから割引依頼した者に詐欺罪が成立する。手形振出人が当初から満期日に落とす意思が無かった故。」

 腹を抱えて笑いました。これで詐欺罪が成立するなら、国内では少なくとも100万人以上は罪人となる。

                       この項はこれでおしまい

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青葉支店長、日清のカップヌードルで借家を作ったと言ったら言い過ぎかもしれませんね。でも、それが原資の一つでしたから。

杉並区の商業組合は、組合員の小売店に対して、小物の卸販売をしていました。
日清のカップヌードルが売れ出した頃ですね。1976年(S51)頃。

組合の仕入れ価格は87%。どうにか安く仕入れられないかと相談を持ちかけられたかの青葉支店長さんは、我社で仕入れて組合に卸すことにしたのです。

「水無瀬君、カップヌードルを取り扱える部署は君の部署しかない。
それに売れるのだから、粗利額は自動的に君の実績になるよ」

断ったのですが、社内の了解を得ているとかで無理やり私の担当。
初月は確かに、粗利益が出ました。

数ヵ月後、在庫監査をしてカップヌードルの在庫数が帳簿と合わない事が判明。
その額数十万円。

青葉支店長と会計の木下主任(主任昇格)は、知らん顔。
私の個人利益計上実績から、数十万円が差し引かれました。

それから四ヵ月後、再度の在庫監査でまたまた数十万円の在庫が消えている。
見かねた栗山社員(仮称)が、こっそりと教えてくれました。

「日曜日に会社の倉庫の前を通ると、青葉支店長がカップヌードルを自家用車に一杯積んでいますよ。見たのは、一度や二度ではないですよ」

青葉支店長に、休日に持ち出したことを問うも、「あ~、伝票を書くのを忘れていた!」

ようやく私の手を離れ、カップヌードルはサービス部門の担当へ。
サービス部門の事務員さん、大変でした。数は僅かなのですが依然と合わない。

朝昼夕、毎日三度倉庫のカップヌードルの数量を数えても合わないのです。
仕舞には、高く積まれたダンボール入りのカップヌードルをロープで結わえましたね。

金魚の運呼がこっそり教えてくれました。

「メインバンクのOBの入れ知恵で、青葉支店長は、京都の郊外に家を買ったのだよ。元の家を売った分と買った家との差額全額をメインバンクから借入。翌月に全額と利息と元金の一部を支払う。

そして新たに残額を借入。つまり毎月残額借入と残額返金の繰り返し。
この方が住宅ローンより金利が遙かに安い。支店長は、日曜でも忙しい理由が分かるだろう!」


この方法で、青葉支店長は二十年後には五つの借家を持つまでになりました。