(No.126)ライバル社営業マンが、私の味方に!

前回の記事では、ちょっと分かり難かったと思いますので、ランチェスター法則の「三点攻略法」を説明します。

これは、D地域を制覇するための戦略です。

イメージ 1例えば、札幌市街地(D)を制覇しようとしましたら、先ずは、一点目の①小樽(点A)を攻略。
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次に二点目の②岩見沢(点B)を攻略。そして③小樽と岩見沢の間の地域を攻略。
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つまり、小樽と岩見沢を線で結ぶのです。この二つの点を結ぶのが二点攻略ですね。
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同様に三点目の④苫小牧(点C)を攻め、⑤苫小牧と岩見沢を線で結ぶ。
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⑥苫小牧と小樽を線で結ぶ。
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この三本の線(③⑤⑥)を結んでから、札幌市街地(D)を攻撃。
つまり、点から線へ、線から面への展開を言います。

東京23区(D)を責める場合は、点Aは埼玉県、点Bは千葉県、点Cは神奈川県となります。
考え方としては「挟み撃ち」と「包囲」でしょうか。

ちょっと似た戦略としては、外資系企業が、日本に上陸する時に、必ずと言って良いほど使う戦略が
「北守南進論」(ほくしゅなんしんろん)です。

真っ先に責めるのは札幌です。ファッションが銀座より札幌が早いのは、この戦略の故です。
札幌を攻めてから、沖縄又は鹿児島から北上します。

特徴は、表日本を後回しにして、裏日本の山陰から日本海沿いを北上して秋田で太平洋側の宮城や岩手に入ります。


私の履歴書・126

国立市を終えてから、私は本来の自分の仕事に戻りました。

処が土曜日、BB課全員で青梅市の個店攻撃をする計画。
私にヘルプ要請がありましたので参加。このエリアは、G社の牙城。シュアーは100%近い。

私の割り振られた地域は、青梅駅前。最悪のエリア。
この駅前信号交差点付近には、G社を強烈に推している商業組合会長の店があるのです。

周辺2~3軒を訪問して見ましたがてんで相手にされない。

会長の隣の店の表札を偶々見ますと、名前が私と同じ「より」の字。
「より」さんは、死んだお爺さんの名前。

この「より」の同じ名前のよしみでしか話す事が無い。
死んだ「よりお爺さん」の思い出話を引き出して四時間。

遂に夕方、「判子、押してやって!」と奥さん。笑いながらご主人に指示。
隣は、G社の鬼の会長の店。よもや!我が耳を疑いました。


この日、まともに受注したのは私だけ。
青葉支店長は、顔には出さないが驚いたでしょうね。金魚のフンの顔は真っ赤。


それよりもびっくりしたのがライバルG社の連中のようでした。
小金井・国立での展開で、私の名前は知られましたからね。それが今度は青梅市で。

そうなりましたら面白いものですね。私が走っていますと、私の車を停めるのです。
G社連中が、私に見込み客先を知らせてくれる為です。

「○○市の▲▲商店は、後一歩なのになかなか落とせない。水無瀬さんが行ったら落とせる」とか。
「□□市のM社ユーザーの△△商店は、水無瀬さんとこの機種を欲しがっている」とか。

       ☆       ☆       ☆

そのG社から紹介を受けた中で、福生市駅前の酒販店では二台即決受注。
更に、そこの酒販店の紹介で、江東区の酒販店の紹介を受けました。

その江東区の酒販店に着いたのが、夜の七時を回った頃。
契約書に捺印を貰った時に、店主が私を冷やかしたのです。


「水無瀬君、明日、この江東・墨田商業組合の展示会がある。君の会社が明日の展示会に出品出来たら、もう一台買うよ」
「分かりました。明日ですね。約束ですよ。」
「間違いなくもう一台買うよ」
「奥さん、証人ですね」

聞けば、我社は五年前からこの組合にはじかれており、明日の展示会にも出品させてもらえないとのこと。

とりあえず、江東・墨田商業組合の会長宅の名前・地図を書いてもらいました。
この店を出ましたのが午後九時。

描いてもらった地図の通りに行きますと、とんでもない所に行きます。
どうしても見つかりません。埼玉県の宅地造成地。聞く家も無し。

引き返し、薄暗い中、何軒かに聞きまして、ようやくたどり着きました場所は、描いてもらった地図とは全く逆の方向。私にウソを教えたのです。

シャッターは、もう閉まっていました。
ドンドンと叩いて開けてもらいましたが、遙か昔の会長宅。

そこから現会長宅の地図を描いてもらって飛ばしました。区が違うのです。
とにもかくにも、通りに街灯が無く、各店の灯りも全部消えていましたから闇夜みたいなもの。

辛うじて、灯りが漏れている店。現会長宅。午後十一時を回っていました。
もう閉店していますが、シャッターが十センチだけ開いている。

腰を落としてシャッターを持ち上げました。
はずみで、ガラガラドッス~ン!とシャッターは全開。


洋菓子屋さんでした。洋菓子ケースの後ろにいた色白の30歳程の奥さん、びっくり!
何事か?と主人も駆けつけてきました。

私は、社名を名乗りました。
とたん、この若夫婦の顔から、さぁ~っと血の気が失せました。

「何しに来た!」 ワナワナと震える顔で主人は叫びました。

                              続く