(No.125)ランチェスター戦略の実践

私の上司山村部長のことでちょっと一言。

彼の奥方は、洛中生まれの洛中育ちの有名な家の出。プライドが違う!
彼等の子供達や私達のいる前で、この奥方のいつもの台詞(せりふ)。

「うちのこの亭主はねェ、出世がねェ。うちは同窓会に行っても恥ずかしゅうて!恥ずかしゅうて!」


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さて、今回の記事は、単なるつまらない営業活動のくだりですが、私にとりまして、その後の行動を180度変える体験でした。
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知らず知らずのうちに、ランチェスター戦略を実践していたのです。
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三国志でも、それまで戦に負け続けてきた劉備玄徳が、徐庶(じょしょ 単福)を戦略家として迎える事により、勝つ様になったのですからね。
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私の履歴書・125


法律が変わり、急遽、需要が拡大しました。
商店では旧型の機器を使えなくなるのです。

支店長から、BB課を応援するように要請がありました。
商店への単品販売の担当はBB課だからです。

支店長の金魚のフンBB課平間君(仮称)担当の三多摩エリアのヘルプです。
都内23区25%シェアーに対して、JR中央本線三鷹市から西の三多摩地区は1%未満。

最初は、武蔵野管内の三鷹市から。この地域はメーカーSB社(現資本金67億円)の牙城。
我社は現地の商業組合会長から出入り禁止を申し渡されている地域。

この管内での我社の顧客は一軒だけ。昼過ぎに車で出かけて三鷹市へ。
お天気の日。どこかで昼寝したい気分でしたね。

最初に偶々車を停められる路地の商店を訪問。
店主の息子さんが、隣のパーマ屋の母親に話してくれという。

お客さんが来ないので、そのパーマ屋のお母さんと二時間ほど四方山話。

帰ろうとしますと「ちょっと待って! 契約書に判子を押すから」
びっくり。四方山話二時間の中で商売の話は最初のたった3分だけでしたからね。

帰社して私以上にびっくりしたのは、金魚のフンの平間君。
「エッエ~~? あの地域で??飛び込みで??即決??」

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三鷹市はもういいからと、次が金魚のフンが力を入れている国分寺市へ。
ここも着手し始めたら、小金井市を全面的に頼むと言う。

早速、小金井商業組合の会長宅に金魚のフンと担当引継ぎ挨拶の為同行訪問。

会長宅のはす向いのマンションにはM社(現資本金2,587億円)の社員が住んでこの地域を担当。
この市内のM社のシュアー70%。我社ユーザーは、三店(三台)のみ。

この市内での旧型からの新台買い替え分は27台で全部M社の製品を納入済み。
改造希望が40台(40店)。これじゃ、もう戦いは終わっている。

会長に提案しました。

「改造費七万円にプラス六万円に充当する価格で、改造予定の40店に新品を納入しましょう。
但し、私が単独に一軒一軒の商店を訪問するのではコストが合いません。
会長!あなたが私の助手席に乗って、一緒に各お店を訪問しましょう」

渋る会長。それもそうです。M社と組合とは永年の付き合い。
「会長! あなたは組合員を代表し、そして組合員の為の会長なのですね。
組合員の為に、一肌脱ぎましょう!」


見本機5台を積んだトラックの助手席に会長を乗せて三日間で40軒訪問。
その後のホローも含め36台を販売。この事をM社が知った時は、後の祭り。

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次に任されたのが国立市。自社ユーザーは町外れに二軒のみ。
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この町の特徴はJR国立駅(地図上端)から垂直に北(上)から南(下)に走る大学通り
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この道を挟んで、東(右・緑の○)がG社。
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西(左・ピンクの○)が商業組合会長の薦めるK社に二分。
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南の甲州街道沿い(下・青の○)はまちまち混沌。



展示会があり、偶々、東地域の内海商店(A)と懇意になる。
翌日、彼の店を訪問。快く受注と今後の協力を得る。

さて、どうこの町を攻略するか。

無意識にランチェスター戦略の三点攻略法のプロセス・二点攻略を採る。
簡単に言えば、「挟み撃ち」。

一点目(A点)は、内海商店。二つ目のB点にしたのが駅前からの朝日通りの最初の店。
このB点を落とせるかどうかが勝負。無論B点はG社ユーザー。

A点からB点の間の買い替え対象五店のユーザーは全部G社ユーザー。

G社の営業マンの特徴は、最も垢抜けしていること。然も最強。
G社は都内23区ではナンバーワン。無論、全国でもシュアー・ナンバーワン。

人望を集めていた内海さんご推薦ということで、難攻不落と言われていたB点の店から辛うじて受注。

これで二点目。次は、この二点A⇔B間の残る対象の五店を、B側からAに向かって順次訪問。
五店共に短期で受注。ランチェスター戦略「挟み撃ち」の威力発揮ですね。

つまり駅から朝日通りの左右七店は、全部我社ユーザーに変わったのです。
こうなりますと、雪崩(なだれ)現象が起きました。

東地域から甲州街道地域→駅裏と展開。受注台数50台弱。
新台納入シュアーは一気に60%台へ。

この事で、改めて戦略の恐ろしさ、戦略の重要性を実感しました。
私にとっては、身震いする程の驚きでした。

他方、私の社内評価はゼロ。何せ青葉支店長の金魚のフン平間君の担当地域ですからね。
平間君の評価は二重丸。

他の市での彼の評価出来る実績は無いにも拘らず、ベースアップ&昇給での金魚のフンのアップ額は二万円強。反して私は一万円以下。

でも、金銭に換え難い貴重な体験でした。
ランチェスター戦略を、その後、自信を持って応用できたからです。