(No.124)上司の罠(わな)

イメージ 1.
社内権力闘争もさることながら、それに勝利するために、部下を崖から蹴落とす上司もいたのですよ。
.
今回は、上司山村部長の初期の二つの例ですが、その後も続きましたね。
.
青葉支店長の金魚のフン君からは、その度、大笑いされました。
「水無瀬君は、崖からやっと這い上がったら、またまた蹴落とされた!」

私の履歴書・124

アポ(面談予約)をとり偶々訪問した先が、BB課のライバルK社(現資本金840億円)の販社。
そんなことはつゆ知らずに訪問。

私の提案を聞き終わってから、実はK社の販社であると言ってきました。
こりゃ、不味かった! 失敗!失敗!と思っていると

社長「水無瀬君の提案なら、上野のAS社なら面白い。私がAS社を紹介してあげよう」と言って、目の前で受話器をとり、AS社に電話をしました。

AS社の社長が待っているとの事ですから、その足で上野に行きました。
成る程、AS社の社長には、大変興味を抱いてもらいました。

私は、大きな取引になりそうなので直ぐにAS社を興信所調査。間も無く興信所調査が上って来ました。
その内容は高純利益額と借入金ゼロの申し分ないものでした。

数回の訪問で、契約内容の概要が決まり、更に細部を詰めました。


次週の火曜日、いよいよ契約と言う時に、急遽本部の山村部長がやってきまして支店で打ち合わせ。
これまでの私の営業活動状況を報告しました。

「AS社と来週、契約することになりました。契約金額は一億九千七百万円。
粗利額一億一千万円 粗利率55.8%」

「水無瀬君、その売上、私に任せてくれないか。実は、私担当の子会社AB社(仮称:羽田社長)が潰れそうなのだよ。その売上を回してもらえれば、何とか子会社を助けられる」

更に「君には、KRビールへの売上六千万円をあげるよ。粗利額は僅かだが」

拒否したら良かったのですが、敵が多い我が営業部。その子会社のAB社を潰したら社内での旗色が悪くなる。
「分かりました!」と言ってしまいました。

これが大失敗! 
AS社との契約の代わりに、いざ、KRビールへの売上を計上したものの、その後、一向に代金回収処理がなされない。

それもそのはず、山村部長は、ほぼ同じ時期に名古屋支店にも同じ物件で売上計上するように二重指示をしていたのです。回収代金は、名古屋支店の分として処理。

やられた! 結果、私の売上計上した六千万円は赤伝(マイナス売上伝票)処理。

それから約一年後、子会社AB社は完全に立ち直りました。更にAS社の要望で新機種を製造。
年間取引は10億円。この取引は5年間継続。

そして子会社AB社は高収益会社に変身し、絶賛を浴びる事となり、羽田社長はウズマサグループ優秀管理者賞受賞。
それに反して私には「(六千万円の)空売り男」の汚名。トホホ!

       ☆       ☆       ☆

SY社(現資本金3,222億円)の我社担当者石場主任が山村部長に石場主任の弟を雇ってとの要望で雇用。
部長が石場弟を連れてきて私の部下に据えました。

部長「水無瀬君、石場弟は大変有能な男だ! 彼の実績が上らないとしたら君の責任! これは強く申し渡しておく!」 いつもエエかっこをしたがる上司。

彼を引き受けたものの、どう見てもそんなに優秀な男とは思えない。
毎日、彼の活動報告を受けるのだが、その内容がおかしい。

それに、電話がちょくちょくかかって来る。訪問先からではない。
彼を呼んで話した。

「私は、部長から君の事に一切の責任を持つように強く言われている。
しかし、君の日常活動は理解できる内容ではない。一体、君は朝礼後、何処に行っているのだ!」

彼は、渋々答えました。「サラ金に追われてお金のやりくりで頭が一杯。仕事に集中出来ない!」
「じゃ、君は、これから、どうしたら仕事に集中出来るのかい?」

「七万六千円あれば、サラ金問題は解決し、仕事でご期待に副えます!」
「分かった! それを出そう。毎月、千円でもニ千円でも返せる額だけ返してくれたら良い」

お金を渡した翌日からは、いかにも仕事に集中しているようでした。
しかし、依然と電話がかかって来る。

「どうなっているのだ! 解決出来たのではないのか?」
「- - - - - - - - - 」
サラ金に払ったのか?」
競艇ですった!」
「七万六千円全額か?」
「うん」

この32歳の所帯持ちの男には呆れて次の言葉が出ませんでしたね。
その数日後から行方不明。SY社の実兄・石場主任は、「弟は他人。弟の事は一切知らん!」

山村部長「水無瀬君、スマン!スマン! 石場弟がそんなのだとは知らなんだ!」
私「はぁぁ↑?? 石場弟は大変有能な男だ!と言ったのは山村部長!あなたじゃないですか?」