一生心に残る旅館の女将さんの言葉
No.115《一生心に残る旅館の女将さんの言葉》 とんだ新婚旅行③
＾＾＾＾＾新婚旅行で、写真をいっぱい撮りなさいと言う仲居さん。阿蘇内牧・山王閣
使えない寝台列車の切符を旅行会社につかまされたとも知らず、私達は鹿児島をあとにして、次の目的地・えびの高原へ向かったのでした。時は1974年（昭和49）５月１日。
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私達を待っていたのは、- - - - -
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私達を待っていたのは、- - - - -
| 私の履歴書・115 |
ようやく鹿児島→霧島温泉郷→えびの高原へ。午後４時を回っていました。
切符のトラブルで予定時間を大幅にオーバーしましたからね。
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幸運にも、偶々キャンセルで『えびの高原ホテル別館』の一部屋が空いていましたのでここに宿泊。この日の宿泊予定の八代の近くの宿をキャンセル。
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熊本駅で乗り換えて『急行火の山３号』で阿蘇駅へ。
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そしてこの日の宿泊は、阿蘇町内牧の旅館『山王閣』。
宿に入ったのは、午後６時頃でしょうね。
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庭に立つ大きな夏目漱石の石碑を見てから部屋でくつろぎました。
陽が落ちる頃、女将さんの案内で妻が浴場に出かけました。
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一人、部屋のテーブルでお茶を飲みながら一眼レフをいじっていると、その女将さんがやって来ました。女将さんは正座をして、お辞儀をしながら言いました。
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そしてこの日の宿泊は、阿蘇町内牧の旅館『山王閣』。
宿に入ったのは、午後６時頃でしょうね。
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庭に立つ大きな夏目漱石の石碑を見てから部屋でくつろぎました。
陽が落ちる頃、女将さんの案内で妻が浴場に出かけました。
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一人、部屋のテーブルでお茶を飲みながら一眼レフをいじっていると、その女将さんがやって来ました。女将さんは正座をして、お辞儀をしながら言いました。
「お願いが御座います」
「何でしょうか」
「何でしょうか」
「奥様の写真を、そのカメラでいっぱい撮ってあげて下さいませんか」
「どうして？」
「どうして？」
「新婚旅行ですね？」
「はい。どうして分かったのですか？」
「はい。どうして分かったのですか？」
「えェ、旅行会社から連絡が入っていました」
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女将さんは、一呼吸おいて、さらにゆっくりと噛み締めるように言いました。
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女将さんは、一呼吸おいて、さらにゆっくりと噛み締めるように言いました。
「女性の一生の中で、この新婚旅行の時が、最も輝いている時です。
これから幾十年、お二人様に、色々な事が起きるでしょう。
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その時は、新婚旅行のアルバムを二人で広げて見て下さい。
その写真には、あなたの奥様の喜びに満ちた美しい心が写っているはずです。
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ですから、今の奥様の写真をいっぱい撮ってあげて下さい。」
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私を見つめる女将さんの目は涼しげでしたが、思いやりのある優しい眼差しでした。
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更に、
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「これは、今日の宿帳です。そしてこちらが三十数年前の宿帳です。
こことこちらを御覧下さいませ。
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あなたさま方と同じ様に三十数年前に新婚旅行でここに宿泊されたご夫婦が、三十数年振りにこの宿に今日来られたのです。
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こちら五十年前のも御覧下さい。
こちらの方が、新婚旅行で来られましてから三度目の宿泊なのです。」
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暫し沈黙の後、
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「どうか、水無瀬様ご夫婦もお互いに白髪になられました頃、この宿に再びお泊りになされますのを、幾十年後、心よりお待ち申し上げております。」
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それから女将さんは、深々とお辞儀をして静々と部屋を出て行きました。
これから幾十年、お二人様に、色々な事が起きるでしょう。
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その時は、新婚旅行のアルバムを二人で広げて見て下さい。
その写真には、あなたの奥様の喜びに満ちた美しい心が写っているはずです。
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ですから、今の奥様の写真をいっぱい撮ってあげて下さい。」
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私を見つめる女将さんの目は涼しげでしたが、思いやりのある優しい眼差しでした。
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更に、
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「これは、今日の宿帳です。そしてこちらが三十数年前の宿帳です。
こことこちらを御覧下さいませ。
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あなたさま方と同じ様に三十数年前に新婚旅行でここに宿泊されたご夫婦が、三十数年振りにこの宿に今日来られたのです。
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こちら五十年前のも御覧下さい。
こちらの方が、新婚旅行で来られましてから三度目の宿泊なのです。」
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暫し沈黙の後、
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「どうか、水無瀬様ご夫婦もお互いに白髪になられました頃、この宿に再びお泊りになされますのを、幾十年後、心よりお待ち申し上げております。」
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それから女将さんは、深々とお辞儀をして静々と部屋を出て行きました。
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参考）阿蘇・内牧温泉 『山王閣』
熊本県観光連盟
https://kumanago.jp/event/?mode=detail&id=430000004673
http://www.sanokaku.com/
（追記）
当初のこの記事では女将さんではなく仲居さんと記入していましたが確認しましたところ女将さんであることが判明しましたので訂正しております。それもそうですね。何十年前の宿帳を持ち出せるのはやはり女将さんしかいないでしょう。
当初のこの記事では女将さんではなく仲居さんと記入していましたが確認しましたところ女将さんであることが判明しましたので訂正しております。それもそうですね。何十年前の宿帳を持ち出せるのはやはり女将さんしかいないでしょう。
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（続き）
No.116《寝台車から深夜追い出される恐怖》 とんだ新婚旅行④
＾＾＾＾＾㈱日本旅行鹿児島営業所が代替に渡してくれた寝台券は実は偽物！
https://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/56578590.html
No.116《寝台車から深夜追い出される恐怖》 とんだ新婚旅行④
＾＾＾＾＾㈱日本旅行鹿児島営業所が代替に渡してくれた寝台券は実は偽物！
https://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/56578590.html
No.117《こうして救われました》 とんだ新婚旅行④
＾＾＾＾＾JR別府駅の駅員さんは、本物の寝台券と交換してくれましたが未だリスクが - - - -
https://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/56590228.html
＾＾＾＾＾JR別府駅の駅員さんは、本物の寝台券と交換してくれましたが未だリスクが - - - -
https://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/56590228.html
（これまでの記事）
No.113《新婚旅行で妻に言った言葉》 とんだ新婚旅行①
＾＾＾＾＾私達夫婦の誓語とは
https://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/56532656.html
No.113《新婚旅行で妻に言った言葉》 とんだ新婚旅行①
＾＾＾＾＾私達夫婦の誓語とは
https://blogs.yahoo.co.jp/minaseyori/56532656.html
