平安時代の狩衣でボタン焼肉

私の履歴書・109

翌日、昼前に徳島の国民宿舎を出まして国道55号線を阿南から室戸岬へ。
岬に立つも海鳴りが聞こえないのでがっかり。

佐田啓二と高峰秀子主演の映画「喜びも悲しみも幾歳月」の中での灯台は、確か四国にもあったはず。
ここ室戸岬ではないならば、恐らく足摺岬の方かも。

高知市内に入ってぺギー葉山が歌う「南国土佐を後にして」の中のはりまや橋を通ってから国民宿舎桂浜荘へ。
そこからセッタを履いて桂浜へ。いつの間にか雲の厚い夕方で宵闇間近。桂浜は普通の砂浜でした。

翌日は高知から足摺岬へ。不思議な事に、ここにも「おいら岬の燈台守~♪~」の歌碑がない。
海鳴りも聞こえない。

この高知の二つの有名な灯台は映画の舞台では無かったことを知ったのは、それから五年後の広島勤務時代に高知へ出張した時でしたね。

記憶違いも無理は無いです。何しろ映画を観たのは中学1年の時。四国の灯台ってこの二つしか知りませんでしたからね。瀬戸内海の香川県に属する男木島(おぎしま)灯台って記憶にあるはずはありません。


足摺岬からは帰路。高知市から山の中を走り阿波の隣の穴吹から国道193号線で峠越え。
高松に向かって峠を下っていくと途中に目指すホテルの看板。

もうその頃は陽が落ちる。国道から左折して山道のような砂利道を暫らく走ると目の前に大きなホテル。
そこが予約してある山の中の一軒宿。

イメージ 1..
もう夕食の時間。急いで入浴。
上ると仲居さんが着替えを持って待っています。
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着るのは平安時代の狩衣(かりぎぬ)だそうです。狩猟の時の着衣。
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パンツ一丁の私。着物が良く似合う素敵な仲居さんに狩衣を着せてもらい、仲居さんに従い外へ。
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暗い庭の向こうでかがり火のたいまつが燃えている。
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そこが野外宴会場。太鼓がド~~ン、ド~~ン。
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もう皆さん盛り上がっていましたね。
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案内された場所は、戦国時代の武将が座るような折り畳み式木製椅子。

周囲は暗闇。目の前には焚き火が赤々と燃えて、赤く顔を照らします。
ここでしし(猪)肉を焼くのです。現代版で言えば、ボタン・バーベキュー。

狩衣は、何種類かありましたが、全員立鳥帽子をかむってワァ~ワァ~ですから異様な雰囲気。
乱れているのですが節度があるのです。これが良いのですね。この姿、現世皇族か神官ですからね。

殊に、仲居さん、終始傍にいてくれまして嬉しかったですね。他の客には仲居さんが付いていない!
それに、焚き木の炎でほんのりと赤く染まる横顔が素晴らしい! 心がキュン!

「どうして僕にだけ付くの?」
次の言葉を期待しました。が、- - - - -

「仲居は、部屋毎1人ずつ付くのです」
その日は満室。皆一部屋に宿泊客4人前後。私だけが一部屋に1人。

        納得!アハハ!

                  尚、このホテル、7年前?に閉めました。