やり方一つで結果は大差

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私の勤務先は、太秦電機(株)。所属は新設の食品機器部。
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部長は山村(37歳)、 課長は平井(31歳)、社員は権藤(51歳)、亀山(32歳 )、それに私・水無瀬(28歳)。(尚、上記社名と個人名等は全て仮称です)
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私の履歴書・104
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阪食品(株)(仮称)は昭和48年11月末日と12月5日の手形を落とせず倒産。
担当していた平井課長は、体調不良で入院。間も無く休職申請。

我等の太秦電機(株)食品機器部は5名から4名に減。

近くの居酒屋の小上がり4名での飲み会では、倒産の後処理を巡っておおもめ。
山村部長 対 権藤社員と亀山社員のペアー。両者、口から泡が出る程。

私は、途中からカウンターへ移動して、一人で飲みましたね。
「酒の席で仕事の話しをするのは、私の主義に反する!」と申し渡して。

肝心の担当課長が入院で逃げてしまい、残った我等で後処理ですから山村部長に文句を言いたくなる気持ちは分かりますけど。


阪食品(株)に納入した500台の機器の行き先は、大阪と京都南部の食品小売店。大阪食品は、自社の納入する食品を入れて店頭で販売することを条件として500軒の小売店に機器を無償貸与したもの。

つまり、これら機器の所有権は倒産した大阪食品(株)にあり、占有権は小売店にある事になる。

山村部長の打ち出した対策は、小売店の持つ占有権を我社に移行しようというものでしたね。

我等の仕事は、各小売店を一軒づつ訪問して、下記内容の一枚の文書に捺印をもらう事です。

「本機器の所有権並びに占有権はメーカーである太秦電機(株)に有ることを確認する。尚、太秦電機(株)の指示に従い、太秦電機(株)の費用負担にて本機器の移動や撤去を行う。」

我等部下三人は別々に、このペラペラの一枚ものの紙を100枚単位で持ち、大阪と京都南部の小売店を訪問していったのです。

この仕事、先輩の権藤社員と亀山社員にとっては難しいものでした。

彼等は、朝一番で出かけて夕方帰社。一日に2~3枚しか判子をもらえませんでした。
そこで彼等はペアーで動いたのですが変わらず。

あの文書の内容でしたら、小売店主を説得するのに苦労するのは当然ですからね。
結局、捺印を断られるのだそうです。


他方、私にとりましてはいとも簡単なものでした。

毎日15~25軒から捺印をもらえましたからね。訪問した店からは必ず。五分から十分で。
昼食に二時間。途中喫茶店に二回入ってゆっくりとコーヒーを飲みながらでも。

彼等ペアーの捺印枚数が余りにも少ないものですから、私は日付を空白のまま捺印してもらい、会社に提出する枚数は一日に10枚強にしました。つまり、二日働いたら、三日目はサボタージュ


或る日の朝、亀山社員が「重要な話がある!」と言うので、国道171号線沿いオアシスのはす向いのレストラン(高槻市京口町)で10時に待ち合わせをしました。

彼「今やっている事、どうや?」
私「どうや?と言われても」

暫らく沈黙の時間が過ぎましたね。

私「重要な話って何?」
彼「ここで昼飯を食べてから話すよ」

オーダーしたハンバーグランチがくる11時半までの1時間は、店内の週刊誌を読んでいましたね。
12時過ぎに昼食が終わり、二杯目のコーヒーが来ました。

私「昼食、終わりましたね」
彼「実は、今日は仕事をさぼって欲しい!」
私「それが重要な話?」
彼「そう。三時までここに一緒にいて欲しい」
私「分かった!」

それから店内の週刊誌数冊を読み果たし、読んだことも無いスポーツ新聞も読み果たしたら丁度三時。
割り勘。直帰しました。

翌朝、私は、いつも通り、10枚の捺印された文書を部長に提出しました。
お二人さんの驚愕の眼差し!

                   五分で捺印をもらうノウハウ公開は次回