初恋慕情夢路編9)小鳥に託す面影

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『おもかげを この手の平に 彼岸月』




お彼岸の月の光は、私の手の平を微かに照らします。
お彼岸の日、あなたは、私の手の平の小鳥にあなたの面影を託しましたね。




それは

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昨年秋のお彼岸の9月25日未明午前三時五分のことです。
並行して走る向こうの夜汽車に、あなたは座っていました。

車窓から漏れる淡い黄色い光。静かにゆっくりと夜汽車は停まりました。
あなたの横顔は赤く染まり、身体全体から生気が消えていました。病気なのですね。

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あなたはゆっくりと前の小さなテーブルにうつぶせになりました。
やがてあなたは、小さな、白い小鳥に変身したのです。

その白い小鳥は、紛れもなく、我家の白文鳥のピピでした。
そして、ピピの背中には、縦書きの赤い文字で「故○○子」と。
そこにはあなたのお名前が書かれていたのです。


私は降りて向こうのあなたの列車に行こうとしました。
その時、私の窓辺に、一人の男性の影が近づいてきました。

私 「亡くなったの いつ? 命日は?」
彼 「亡くなったのは7月11日です。誕生日は1月11日でした」


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昨日は1月11日。
存命ならば、あなたは満62歳になられていたのですね。

あなたの誕生日を私は記憶違いをしていました。
そう言われれば、あなたは早生まれ。


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あの日から、不思議な事が起きました。

白文鳥のピピが、私の肩に停まってお昼寝をするのです。
そして、私のほをを口で撫でるのです。

左の腕を肘掛に置いていますと、この手の平でも眠るのです。



この姿は、あの列車での、あなたの変身した姿。
この背は、あなたのお名前が書かれていた場所。
あなたは、ひょっとして、夜汽車で移動中に病死したの?


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尚、下記は、当初詠みました短歌です。上段を俳句として掲載しました。

     「おもかげを この手の平に 彼岸月
             再びまみえし 夢路を焦がれつ」


月の写真は、昨年9月27日午前二時二分撮ったものです。
お彼岸が終わった26日の翌日の未明、この丑の刻時分に、あの世に帰るからなのです。



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