秋の虫達の合唱に想う

夕方、文鳥の残り餌を蒔きに、鵜殿に行きました。
今日も、カワラヒラの群れがそこかしこに飛び交っています。

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温かく私を迎えてくれましたのが、このペアー。ひょっとして先日と同じペア~?
葦(よし)の先っちょに停まり、川風がザワ~と吹くと、右へ「ズズズ~」と傾き、その反動で左へ「ツツツ~」と反り返る繰り返し。この天然ブランコをペアーで楽しんでいましたよ。


白いお月様は南南東。夕陽が落ちようとしています。
小鳥のお遊びの声がだんだん少なくなると、先ずは、コーロギさんですね。

それから、すずむしさん。今年の残暑、夕方でも殊更暑いのに、すずむしさんの鳴き声を聞きますと、何となく涼しくなりますね。ちょっとオセンチになるのは、コーロギさんと同じ。

宵の口は、くつわ虫さん。
「がちゃがちゃがちゃがちゃ」ではないのですが、日本語の表現ではこれが限界です。
くつわ虫さんは、群れているのです。十歩進む毎次の群れ。まあまあ、何十匹かが一斉合唱。


等間隔で独唱しているのが、「チィチィ~~~、チッチッチッチッ、チチッ、チィ~チィ~」
色々な虫の合唱の中、ひときわ、金属音の一段と高いオクターブで中洲に響きます。
これがチンチロリンの鈴虫のようですが、そうではないようですよ。

「ビ~ッ、ビ~ッ、ビ~ッ」と鳴くのは何?
それに、かんかん蝉のように鳴くのは誰?


イメージ 3「グワァ~!グワァ~!」と鳴いて近くの葦の中から一羽の青サギさんが飛び立ちました。

蛇にでも襲われたのでしょうか。でも、もう薄暗くなっています。どこに行くのでしょうか。

通り過ぎようとしましたら、その葦の中から、もう一羽の声。先程の連合いでしょうか。

葦(よし)の背丈は、4mを超え、もう、私では、葦の繁みの中へ助けに行く事が出来ないのです。



イメージ 4肩を落とし、秋の虫たちの声を聞きながら、自責の念にかられるのは、遙か昔の子供時代以来。

時を忘れ、夜空に満天の星屑の下、遊び過ぎてあの草むらを急ぎ駆ける帰路。

鳴くこおろぎさんを踏んでしまって、立ち止まったあの時。



        一瞬にして、半世紀前の私がそこにいました。


                         おしまい






参考)

「虫のこえ」

作詞作曲不詳/文部省唱歌(三年)

     1.
あれ松虫が、鳴いている
ちんちろちんちろ、ちんちろりん
あれ鈴虫も、鳴きだした
りんりんりんりん、りいんりん
秋の夜長(よなが)を、鳴き通す
ああおもしろい、虫のこえ

     2.
きりきりきりきり、きりぎりす(注)
がちゃがちゃがちゃがちゃ、くつわ虫
あとから馬おい、おいついて
ちょんちょんちょんちょん、すいっちょん
秋の夜長を、鳴き通す
ああおもしろい、虫のこえ