何故妻と結婚したのか④

何故妻と結婚したのか④

(前ページ③のあらすじ)私は、不本意にもジーパン姿のE子を抱きしめている夢で目を覚ます。

       ☆       ☆       ☆

それから幾日かが経ってA君と会った。大きな変化が起きていた。
E子は、いつも全くしゃべらないらしい。ものを言えば、黙ってうなずくだけだと言う。
更に「E子はお嬢さん育ちなんだ。他人に流されるだけ。ブルジョアだ!」

A君と会う都度、E子への誹謗の言葉がぽんぽん飛び出す。最近、会っていないらしい。
京都郊外のA君の母親も、「どうやらE子さんは、息子に合わないみたい」とね。

そこまで言うのか!と私は、或る日、E子に状況を聞きたくて
「明日、丹後半島に、海を見に行こう」とドライブに誘ったのである。

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翌日は好天だった。丸い大きな岩に上った。足元には、ザブ~~ン!ザブ~~ン!と波。
空も海も青かった。E子が早朝起きて作ったというサンドイッチをついばむ。

沈黙が続く。おもむろに、穏やかに、私、E子に聞く。
「A君とは、一体、どうなっているの?」
「 - - - - - - - 」 
更に、なが~い沈黙が続く。午後の日差しが眩しい。

E子。小さな、小さな声。「実は - - - 」
私「なに?」

更に、更に、なが~~い、なが~~~い沈黙。

「あなたが、好きなのです」
「ハア???」

それからも、帰路も、お互いに沈黙。

後、E子のアパート近くの加茂川のほとり。夕陽が落ちようとしている。
私とE子は、その土手の草むらに腰掛けた。

「ボクには、付き合っている女性がいるんだよ」
「聞いています」
                  続く