歳月の証・朽ちた階段

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「その昔 住みなれし家戸(やど)を訪ぬれば 朽ちの窓から東風(こち)に空青」


       ☆       ☆       ☆


山科(やましな)の里に行った都度、三十八年前、数年間住んだアパートを探しました。
が、見つかりませんでした。(山科区東野)

町に広い新しい道路が何本も出来ていたのです。
当時、田んぼ一面の里が、今や、住宅密集地になっていたのです。
それらしき付近で、宅配便の運転手に聞いたのですが、
昔の番地では、全く違う場所を教えてくれるのです。

当時詠んだ短歌は、前掲していますが、改めて。

「山科の 里に舞いぬる白鷺は そっと蓮華を摘みにくるかも」


探し始めてから、この1年間で三度目の探索です。

国道から、昔の記憶を辿り、何度も町の中に入りなおしました。

こりゃ、駄目だ!!






諦めて、広い新しい道路のバス停の近くの路地を、偶々ひょいと入ったら、
何処か見覚えのある風景。

見つけた!!見つけました。やっと!

当時、新築でしたが、今や、扉は、板を打ち付けられ閉鎖されています。

結婚した当初の一年間も、住んだ所です。

それから転勤、転勤で、幾十年。

ここが、我等夫婦の原点。

この風の香りと、青い空が、二人の絆。