何故、妻と結婚したのか①

何故、妻と結婚したのか①

話は、1971年(昭和46年)に遡る。

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昭和46年?大学四回生(四年)になる春休みの或る日、同級生のA君が、私に声をかけてきた。

「先輩! ワシ(私)の同じゼミのB君のアパートの向かいの部屋に、今度三回生(三年)になる
女子大生が引越しして来たのですよ。ちょろっと廊下ですれ違ったけど、ワシの好み。
先輩!一度見てくれませんか?」とね。

(同じ四回生でも、私は一度大学に入ってから退学し、更に二年遊んでから再度別の大学に入って
いたから、彼等とは、三つ違いである。私が年上だから、彼らは、私を先輩と言うのである)

(尚、A君は、政治活動をしていて、アジ演説で壇上に上ると凛々しいのだが、壇上から降りると
借りてきた猫のようにおとなしい中太り)

多少、他人の好きになった女性を見たい気もあったが、他方、面倒、ヤレヤレでもあった。
私には、入魂の彼女がいたのであるが、後輩の頼みを聞いて、夕方、そのアパートに行った。

処が、待てどくらせど、一向に向かいの部屋の電気は点かない。
遂に、その日は終わった。
A君に私「先輩を呼ぶ時には、ちゃんと確かめてからにせよ!」と叱責。

それから一ヶ月弱、いよいよ四回生となる新学期直前のある日、A君が
「先輩!今度は間違いないです!Bには、彼女の曜日毎の部屋を出る時間と帰宅時間を
チェックさせていますから」
そこで再度、ノコノコと上加茂のアパートに出かけたのである。

B君の部屋に入るも向かいの部屋は電気が点いていない。
「おい!いい加減にせい!!」と私。
「もう、そろそろですから」

寝転がっていると、ようやくお向かいさん、電気が点いたらしい。
処が、このごに及んで、A、B、共に尻込み。「よう(どうしても)、ドアを叩けん!」とね。
B君に私「先輩が会いたいと言っていると言え!必ず来るから!」

いやいやながら、B君は向かいの扉を叩いた。
それもそうだ。A君が夢中で、B君と私には全く迷惑なことだからだ。  
                             続く