輝きが消えた葦(よし)の中でさ迷う
中洲と中州の間の川原に降りる。
最後の一筋の夕陽を浴びて、川鵜の宵のミーテング。
はぐれ白鷺は、仲間が飛び去ったであろう彼方を見据えて動じず。
じっとしていたと思ったら、それからも激しく動き回る。小虫を探しているのだ。
陽は落ちた。川鵜はねぐらに飛び立つ。私も、もう帰らなければ。
川原から葦(よし)の原に戻る。
西の空は、太陽が沈み、残光もあと僅かな時間。
東方、頭上に月が輝く。そうだ!月明かりで道が見えるはず。
だが、今日の月明かりは、何故か地表には届かない。
あせり出す。帰らなければ。
確か、この小道。
おかしい?。見覚えが無い道。
ここはどの辺だろう。
見上げれば、三mはあると思える葦(よし)。
葦の他には、見上げる暗い空。ここには月の光は届かない。
暗い藪の中から小鳥が逃げる。
前に進むしかない。ひたすら前へ。
葦(よし)やすすきを払いのけて。
前に進むしかない。ひたすら前へ。
葦(よし)やすすきを払いのけて。
突然、行き止まり。前に進もうとするも葦(よし)や蔦(つた)が行方をさえぎる。
一瞬、絶望感に襲われる。
どうなるのだ!自宅で熱燗一杯の自分の姿が脳裏に浮かぶ。
来た道を帰るしかない。振り出しに戻るしかない。
小走り!走る!
小走り!走る!
一瞬、切り立った右手の葦の間に、そこだけが、僅か50センチ程空いている。
数歩通り過ぎてから、立ち止まる。
数歩通り過ぎてから、立ち止まる。
あった! 小橋だ! ここから堤防に渡れる!!
小橋の上に立ち、今日の無事にほっとする。
夕闇迫る土手に、急ぐ人あり。温かい家庭への家路か。
野草から垣間見る宵の明星は、輝きを増す。
今日という日は、終わった!とね。
今日という日は、終わった!とね。