日本を没落に導く輩たち

先日の17日、産経新聞の12年前の記事の要約を掲示しようとしていましたら、20日に下記の記事に出合いました。

国費で留学生受け入れ本当に必要? 自民党小野田紀美議員が激白! 「日本人の学生にこそ国費を投じて…世界で戦える人材に」 夕刊フジ 4/20(土)


産経新聞が恐れていたこと、そして日本政府に、日本国民に警告を発していたことが、12年後の今や当に現実となっています。

かっての、そして現在の自民党政権であろうが、かっての民主党政権であろうが、口先だけで、実態は日本没落のシナリオに沿って政治をしているとしか思えないのです。

今回は、12年前の産経の記事全文を掲載します。

TOPIC No.2-74-3 『やばいぞ日本』日本産経新聞

 いま、日本の没落が始まっている。経済は好調なのに、ジワジワと迫り来る長期的な不安がぬぐえない。人口減少に歯止めがかからず、エネルギーの獲得競争に相次いで敗れ、日本が誇った技術力にもかげりが見える。

教育の劣化やモラルの崩壊は目を覆うばかりだ。日本文明の没落までささやかれ始めたいま、その現実とそこからの脱出を探る渾身の大型連載。

やばいぞ日本】序章 没落が始まった(1)「ダイナミズム失う」
2007.07.03 MSN産経新聞

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 グラフを見ていただきたい。米国で博士号(自然科学系)を取得したアジア人留学生数の年ごとの変化を示している。

日本はわずか200人前後で低迷し、中国は逆に日本の10倍以上の2500人レベルを維持している。中国にかなり離されて韓国、インド、台湾が続き、日本は5位に甘んじている。

 この数字がすべてではないが、日本人留学生の低迷や劣化を示す指標として霞が関の官庁街でささやかれている。

それどころか、欧米の有名大学院に派遣された各省の若手エリート官僚の中に、以前にはなかった悲惨な落ちこぼれ現象が起きているという。経済学や論理学の授業についていけずに単位を落とすケースが増えつつある。

東大法学部卒のある若手官僚は、優秀な人材として出身省でも将来を嘱望されていた。彼は欧州の大学に研修留学して現地語はみるみる力をつけた。

 ところが、数学力不足から経済理論がこなせず、論理学は古代ギリシャ哲学など基礎を学ばないから論理的に崩れのない文章が書けない。1年後に担当教授から呼び出され、学業不振で退学処分になってしまった。

 日本の大学入試は、記憶力にたけた学生に有利にできている。「ゆとり教育」が行き渡って受験科目を絞る大学が多いから、数学を受験しなくても法学部や経済学部に入ることができる。国際的にはこれが通用しない。

 欧米の経済学は株価の変動など金融を中心に新しい理論が次々に導入されている。三角関数フーリエ変換など日本の文系には縁遠い計算式が解けないと歯が立たない。肝心の日本のエリートにして惨憺(さんたん)たるありさまなのだ。

 一方、中国は経済成長のスピードが速く、血眼になって金もうけに走るから吸収しようとする意気込みが違う。野村資本市場研究所の関志雄主任研究員は、「10年後に中国の学生がマルクス経済学を勉強しようと思ったら、日本の大学にいくしかない」と大まじめでいう。

 “現役”の社会主義国にあっても、元祖マルクスはとうに死んでしまったのだ。いつまでもマルクスとその親戚(しんせき)筋の容共リベラルに縛られるような国は、ジワジワと社会の劣化が進む。いま、「日本の没落」を食い止めないと、日本の未来は描けなくなる。

 米国でかつて日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされていた1990年前後に、ただ1人、「やがて日本は自滅する」と予測した人物がいた。フィリップ・トレザイス元国務次官補である。

 彼は「日本は敵か」という論文で、はやりの「日本脅威論」を否定しながら、30年後の日本を見通した。65歳以上の老齢人口が4分の1に達して、「経済のダイナミズムが失われる」と衰退を予言した。

 実際にいま、日本は人口減少によって学生が減り、労働力が枯渇しつつある。この日本衰退という「内なる敵」をどう克服するか。

 ■危機をバネに反転を
 すでに、東京工大はじめ理工系大学には留学生の約7割が中国系に占められている。しかも、日本政府の奨学金で最新の科学技術を学びにきているのだから、わが日本はなんとお人よしであることか。

 トレザイス氏がいまの「日本の没落」を見たら、何というだろうか。本紙ワシントン支局に探してもらうと、自説の正しさを見ないまま6年前に死去していた。

 この当時、エール大学のポール・ケネディ教授は大著『大国の興亡』で、米国の衰退を豊富な資料で立証しようとした。本の表紙には、主役たちの後退を印象的な風刺画を使った。

 英国紳士がユニオンジャックを手に地球のてっぺんからずり落ち、星条旗を持つアンクルサムも浮かぬ顔で退場していく。代わりに地球の上部に足を引っかけたのは日章旗を担いだ日本人ビジネスマンだ。

 あれから20年が過ぎた。ケネディ教授が『興亡』の続編を出版するとしたら、トレザイスの予言にしたがって、大国の浮き沈みを変更せざるを得ないだろう。表紙も、日章旗に代わって五星紅旗を振りかざす中国の“昇り竜”が地球上部に足を引っかける。

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 米証券大手のゴールドマンサックスが試算した折れ線グラフを見ていただきたい。赤線で示した中国が、10年もすると国内総生産(GDP)で日本を追い越し、2040年を過ぎると水色の米国を軽く抜く。そのころには“昇り竜”の姿は日本の遙か彼方(かなた)に飛び去り、後ろ姿も見えない。

 いや、「中国経済は見かけ倒しで、必ずしも右肩上がりにはならない」との気休めのような説はある。だがその間にも、カネの積み増しで軍事力も巨大化する。すでに中国は資金力にモノをいわせて最新鋭兵器を買いまくり、買えないものは技術を盗み出して国産化する。

 しかし、米国は国家の危機を感じたときにこそ、力を結集して反転させてきた国だ。現職のブッシュ大統領はいま、科学分野で追い上げる中国とインドを「新たな競争相手」と位置づけている。

 年頭の一般教書演説で大統領は、この分野で優位を狙う「競争力構想」を打ち出し、基礎研究の拡充や理数科教師の7万人採用を表明した。軍事機密の分野では、外国人研究者に頼らないよう人材を育成する。

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 日本は経済力が伸び悩み、軍事力は貧弱であり、教育の低迷によって、相対的な没落ぶりは明らかだ。とても、与野党が足の引っ張り合いをしている余裕などありはしない。(湯浅博)

(ソース)
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