そうだったのか:鮭の赤身の効用
実は、他の記事を書いていましたら、下記の文献に出会いました。
長文ですので、ここに別途で掲載しました。
アスタキサンチン(astaxanthin)
(富士フイルム ヘルスケア未来研究所)
第一章アスタキサンチンとは
天然色素カロテノイド アスタキサンチンとは
多くの生物が利用する植物由来の抗酸化成分
トマトのリコピンや人参のβ‐カロテンなどのカロテノイドは活性酸素を消去する「抗酸化作用」をもつ成分として最近注目されていますが、中でも他を抜きん出た強力なパワーをもつアスタキサンチンは今最も注目の成分なのです。
動物はアスタキサンチンを自ら作り出すことはできません。第一生産者であるヘマトコッカスと呼ばれる海の藻類をオキアミなどの動物プランクトンが食べ、さらにエビ、カニ、魚類、というように食物連鎖によってさまざまな生物の体に取り込まれています。したがってアスタキサンチンは植物由来のカロテノイドです。
サケはもともとマスと同じ白身の魚ですが、アスタキサンチンを筋肉中に溜め込んでいるためにいわゆるサーモンピンクになっているのです。産卵のために川を遡るサケは、たくさんの酸素を取り込むので体内で絶えず活性酸素が発生し、筋肉に大きな負担がかかります。
その活性酸素を消去するために筋肉中にたくさんのアスタキサンチンを備えていると考えられます。さらに産卵の準備が始まると、メスは卵(イクラ)へアスタキサンチンを移行させます。紫外線の影響を受けやすい浅瀬に産み付けられる卵のDNAを守るためです。
老化・病気の元凶活性酸素
活性酸素の除去が健康の秘訣
わたしたち人間は生命を維持するために必要なエネルギーを得るため、絶えず酸素を消費しています。けれど、酸素の一部は体内で代謝される過程で活性酸素と呼ばれる状態に変換されることがあり、この活性酸素がさまざまな物質に対して化学反応をもたらし、細胞を酸化させて損傷を与えることがわかっています。現在ではがんや生活習慣病、老化や認知症など、あらゆる病気の発生に活性酸素が深く関わっていることが知られています。
食事でとった糖や脂肪を原料にエネルギーを生み出す際に、いわば産業廃棄物として発生するのが活性酸素です。また外部から入り込んできた細菌やウイルスなどの異物を排除するときにも活性酸素がつくられますし、紫外線や排気ガス、たばこ、化学物質、食品添加物、ストレスも活性酸素を増やす原因となります。
活性酸素を消去する抗酸化成分
身体を守る抗酸化ネットワーク
活性酸素にはスーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素など、いくつかの種類があります。例えば脂質が酸化される場合、ヒドロキシラジカルが脂質を攻撃して酸化すると脂質ペルオキシラジカルという物質に変化しますが、この脂質ペルオキシラジカルは隣の脂質を攻撃して過酸化脂質となります。このようにひとつの活性酸素がエンドレスな反応を引き起こし、大量の酸化物質を発生させるのです。
活性酸素を消去して物質が酸化されるのを抑制するのが「抗酸化物質」です。ひとつの抗酸化物質がすべての活性酸素を消去できるのではなく、活性酸素ごとに効果がある抗酸化物質が存在します。スーパーオキシドディスムターゼやカタラーゼなどの酵素、ビタミンE、ビタミンCなどが、それぞれが異なる活性酸素を消去し、体内で抗酸化ネットワークをつくって体を守っています。
カロテノイドの一種であるアスタキサンチンも抗酸化作用をもった物質ですが、抗酸化成分としてよく知られているビタミンEなどに比べて、はるかにすごいパワーを持っていることがわかったのです。
アスタキサンチンも細胞膜に取り込まれることがわかっているのですが、その配置は非常に特殊です。アスタキサンチンは細胞膜に貫通した形で取り込まれ、細胞膜の中心部と表面の両方で抗酸化力を発揮することができるのです。アスタキサンチンが“スーパーカロテノイド”といわれるのは、生命活動の基盤となる細胞膜全体を酸化から守ることができる極めて優秀な物質だからなのです。
CoQ10の約1,000倍のパワー
アスタキサンチンは、「一重項酸素」と呼ばれる活性酸素に対して最も効果が高いことわかっています。シミやシワなど肌の老化の原因である紫外線によって発生するのが一重項酸素です。研究によるとアスタキサンチンはビタミンEの約550倍、β-カロテンの40倍もの効果があることがわかっています(*1)。
*1:一重項酸素のみを発生させ熱をかけず光の影響もない環境を人工的につくり各種カロテノイドとビタミンEの抗酸化力を、直接的に一重項酸素を測定することにより比較した研究(参考文献:「美肌、目と脳を守るアスタキサンチン」ハート出版)
*2:富士フイルム調べ
※『第2章脳と目にダイレクトに作用』以降の記事は、下記の各項目の題の文字をクリックしましたら開きます。
カンタキサンチン(Canthaxanthin)
1950年に食用キノコに含まれていることが発見されたカロテノイドで、フラミンゴの赤色羽毛や、サケ、マスにも含まれています。現在、鶏やサケ・マスの飼料添加物として、肉質の色調強化を目的に使用されており、畜産物への残留濃度が厚生労働省によるポジティブリスト制度により規制されています。
一方、近年、多くのカロテノイドと同様、その抗酸化作用や、免疫機能向上による抗がん作用が示唆され、注目されています。(和光純薬)
しかし、飼料添加物として使用されているカンタキサンチンは合成されたものです。
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