しぼむ風船の如きの陰嚢
私の履歴書40代編『東京転勤・半地下生活の始まり』の続編です。
(今回から私の履歴書50代東京編になります。)
この半地下に住んでから二ヶ月後、股ぐらに直径2ミリほどの小さな赤い粒ができた。これがいんきんたむしか。それにしても幼少時代、手に出来たたむしとは程遠いもの。
この部屋に前に住んでいた人の何らかの菌が私に伝染したのか。それとも、カビ類の一種が部屋干しした私のブリーフを介して私の股ぐらに住み着いたのか。
しばらく様子をみると、なんとなくすこしづつ大きくなっていくような気がするが、それは私が爪でかきむしったからだ。
1962年頃、自衛隊上がりの北井君に聞いた話では、股ぐらのいんきんたむしの場合、ヨウチンでは治らず、当時、病院などで使う消毒薬クレゾールを塗るのだが、飛び上がるほどの激痛だそうだ。だが、それで治るという話を思い出した。
恐らく股グラがブリーフの硬い端の部分とすれて、皮膚に傷が付き、そこから生乾きのブリーフで増殖したカビか菌類が皮膚に潜り込んだと思った。
これはうかうかしておられない。放置しておくとこの赤い小粒はどんどん大きくなるか増えるに相違ない。そこでこの生成器で作れる最強の酸性水を風呂おけ一杯に溜(た)め、バスルームで両方の股ぐらに同時一気ににかけた。
ここで不思議なことが起きた。
この強烈な酸性水が私の陰嚢(金玉袋)にもかかったが、その時、音はしないが風船から空気が抜けるが如く、シューという感じで陰嚢が僅かに縮(ちじ)んだのである。まさかの事態であった。
これで両股の赤い粒の拡大は止まったように思えた。
これは効果があったに違いない。
私は猶もこの強烈な酸性水をかけた。
その都度、陰嚢は縮小していく。
この事態と前後して、強酸性電解水についての学会が開かれ、私も聴講に行ったが、その中で、患者を強酸性水風呂に入れて効果が有ったとの発表があった。後日とそれから数年後の二度、強酸性電解水入浴による陰嚢縮小の問題をメールで提起したが何の回答も無かった。
然し、今思えば、当初から洗いたての、或は生乾きのブリーフを電子レンジでチンしたら、何の問題も起きなかったであろうに。
この3ミリ弱の二つの紅斑は何故かその小さな状態のままで経過するも、突如、策動を始めるのは、それから3年後のある日突然のことである。
(参考)