新里孫制度の提案


政府の打ち出す不妊治療支援策は、単なるパフォーマンスである。
待機児童などの受け皿の更なる充実こそが急務である。
他方、この支援金は、医師会の政治献金への国税を使ってのお返しでもある。


官房長官 仕事続けながら不妊治療に支援策を検討

NHK 10月12日 

官房長官は午前の記者会見で、一億総活躍社会の実現に向けた取り組みの一環として、来年度、不妊治療を受けながら働いている人たちの実態調査を行ったうえで、仕事を続けながら不妊治療を受ける人たちへの支援策を検討していく考えを示しました。(中略)

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不妊治療をめぐっては、卵子を体外に取り出して精子と受精させる「体外受精」と顕微鏡で観察しながら精子を送り込む「顕微授精」を受ける際は、原則として初回で30万円、それ以降は15万円が助成されます。

助成を受けられるのは年収が730万円未満の夫婦で、厚生労働省によりますと、助成件数は毎年度増え続けており、平成26年度は15万2320件に上るということです。

東京都と政令市 「待機児童」数 増大
本紙調査 自治体公表数 実態反映せず

赤旗 2016年8月15日(月)

東京都や政令指定都市の「待機児童」数(4月時点)を本紙が調べたところ、東京都では増加した一方、政令市は微減にとどまったことが分かりました。待機児童が大都市で深刻な状態が続いていることを示しています。

待機児童に数えられない“隠れ待機児童”を含めるとさらに膨れ上がるのは必至です。


基準引き下げで詰め込み推進

 待機児童を解消するにはまず、正確な待機児童数を把握することが大原則です。ところが、今年度の待機児童数の集計(9月上旬公表予定)にあたり、国は待機児「定義」も変更せず、自治体からの報告も従来通りです。

 しかも、安倍政権の待機児童対策は、規制緩和と詰め込みで対応するもので、子どもの成長や安全を二の次にしています。

 3月の「緊急対策」では、国の最低基準に上乗せしている自治体に対し、引き下げを要請。定員超過となる場合の補助金減額の猶予期間も引き延ばし、詰め込みを推進してきました。

 「1億総活躍プラン」では、10万人分の受け皿拡大を盛り込みましたが、そのうち5万人分は、認可外施設である「企業主導型保育」です。

保育基準は、定員が20人を超えても保育士は半分でよいなど大きく緩和されています。(以下省略)



他方、新たな保育所建設に建設地周辺の住民が反対運動を展開している。

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「保育園建設反対」議論に違和感を感じる理由
単一機能しかない街に未来はあるのか
東洋経済 2016年06月07日

2016年に入ってから杉並区、台東区市川市佐倉市我孫子市など複数の自治体で、保育園の開設が断念ないし延期されている。

住民が保育所猛反対 芦屋で開園を断念 
2016/8/23 05:30神戸新聞NEXT

近隣住民の反対で開園中止、千葉 市川の保育園、「騒がしくなる」 
神戸新聞 2016/4/12 



(成立した待機児童解消向け126億円の補正予算の概要)

知事給与半減条例が成立 東京都、全国で最少に
産経 2016.10.13 
東京都議会は13日、定例会最終日の本会議を開き、知事給与を半減する条例と待機児童解消に向けた126億円の補正予算が全会一致で可決、成立した。(以後省略)

待機児童対策に空き家活用、保育所を整備 小池百合子都知事が126億円規模の補正予算案を発表  産経 2016.9.10 
東京都の小池百合子知事は9日の定例会見で、待機児童対策に向けた126億円規模の補正予算案を発表した。都内に82万戸あるとされる空き家・空き店舗を活用し、小規模保育所や保育士らの社宅の整備を進める。定員増や保育士の待遇改善につなげる狙いで、9月議会に提案する。

 小池氏によると、緊急対策として5つの新事業を始める。年度内に新たに定員5000人分を拡充するため、保育所整備の補助金を25~30%上乗せして、資材高騰などに対応。空き店舗などを保育施設に改装する場合に発生する家賃を、開設後5年間にわたり補助する制度を創設する。

 保育士の待遇改善に向けては、運営会社などが社宅を借り上げた場合に家賃を補助する制度を拡充し、現在は支援から外れている「採用6年目以降」の保育士や栄養士らも対象に加える。保育士らは長期にわたり月8万2000円分の家賃補助を受けられるようになるほか、「空き家対策にもなる」(小池氏)という。



私見
安倍政権のやったこととは、大まかに言えば、基準値を引き下げただけである。
簡単に言えば、定員5人の乗用車に10人乗せても可としたのである。
或いは、バイクしか運転免許が無いのに、普通乗用車を運転可としたのである。

緊急的な対応としては一応評価はできる。

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但し、
運転手一人の計5人用に設計されている車に10人乗せたらどうなるのか。
ミニバイクで三人乗りしたらどうなるのか。

事故を覚悟しなきゃならないということである。
換言すれば、預けられたお子さんの生命や心身に保証はないと言うことである。

他方、子育て難民をどうとらまえるかである。

人口は、土地の安きに流れる。
子育て難民は、保育所定員に余裕のあるエリアに流れる。

確か、10年前の杉並区だったと思うが、都内の中でも保育所に入りやすいという一部メディアの情報で、以降、子育て世代が杉並区に移住してきたのである。

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水はコップの器の容量以上に入らない。溢れるだけである。
水は一部余裕が出来たコップや新しく出来た空のコップに流れ込む。

それを裏付けた数字が、上記、杉並区の待機児童数で、国への報告が、僅か136人だが、実態はその16倍の2168人という途方もない数となっている。

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それは何を意味するかというと、例えば、杉並区だけが保育園の新設・増設などで子育て環境を充実していった場合、子育て難民が移住してきて杉並区は更なる保育園の新設・増設に迫られるということである。

他方、容量を増やす必然性があるにも拘わらず、限られた都内の高校跡地を韓国人学校に貸与しようとした親韓都知事(註1)もいた。

(註1)舛添要一知事が韓国人学校の増設に向け、東京都新宿区にある都立高跡地を韓国政府に貸し出す方針を決めた

そのような空き地がある場合は稀である。
例え空き地があっても住宅地に保育所を建てるのは至難の業である。

騒音や車の渋滞・事故のリスクや環境の変化を理由とする反対運動が起きる。例えば杉並区の久我山東原公園の三分の一を削っての保育所新設に対しての反対運動が起きた。

住民の反対には、それなりの理由がある。
それは子供を育てるという子供とは、乳児だけではない。
子供の成長にとって遊び場確保も重要な課題である。

では一体どうするか。保育所を地下に作り、屋上を従来の公園とフラットにし、公園としての機能を保つようにしたらいい。コストは二の次にして。

但し、杉並区がこのようにして保育所を増設していった場合、新たな子育て難民がなだれ込み、杉並区の状況は好転しない。

つまり、東京都全体として底上げするしかない。

その点、小池知事の補正予算での特に空き店舗の活用は、周辺住民の理解を得易いし、寧ろ、歓迎するケースも出てくるだろう。

他方、住宅地の空き家の活用には、騒音という問題が生じる。
無論、二重窓や防音壁材の貼り付けなどである程度の騒音は防げる。

然し、この防音対策では根本的問題解決とはならない。
問題は、子供の泣き声等の喜怒哀楽や駆けずり回る音をどうとらまえるかである。

国全体が、子供を健やかに育てようとする意欲の問題である。日本国民が、乳幼児や児童の喜怒哀楽などで発する音を好ましいとする感覚の問題である。

団塊の世代が幼少のころ、街は子供の遊びまわったり泣き叫ぶ声で溢れており、大きな泣き声の子を寧ろ元気がいいと好まれていた。

その団塊世代が大人になり子育てが終わってから、街から漸次子供の声が消えていった。すなわち、市民の聴覚が子供の声に慣れず漸次異音⇒騒音と感じるようになったのである。

別な言い方をすると、幼児の泣く声はうるさくて眠れないが、テレビはつけっ放しの大音響にも拘わらずよく眠れるのである。

では、どうするか。
国のコンセプトの問題である。

乳児はおしめが濡れたら泣き叫び、幼児や児童は駆けずり回ることは健全なことであり、即ち、子供は健全に育つ権利がある。

このことを踏まえ、子供の音を発する権利を法制化すべきである。
そして政府は、このことを博くテレビなどの媒体で啓蒙すべきである。

更に、新里孫制度と言おうか、他人の孫育て制度の創設である。
これは、子育ての経験豊富な例えば60歳代の夫婦が、近所の乳幼児や児童を日中に預かるというものである。

監視カメラを標準装備するなどのこの制度の詳細はさておいて、単に子供を預かるだけではなく、子供の躾や道徳教育にもなり、他方、元気な高齢者を作り出す源ともなる。 

更に、もう一つ。
都内の企業ビルや高層マンションでの建ぺい率の特例の考察である。
敷地の一部に保育所を建てた場合、建ぺい率の対象外とする条例である。

          つづく


※ 乳幼児の泣き声をも騒音とする文化が改まらない限り、乳幼児虐待は、過去も、現在も、そして未来も頻発する。
『生後1カ月娘の顔、ハンガーで殴打 傷害容疑で父逮捕』
生後1カ月の長女を殴ったとして、熊本県警は16日、同県山鹿市山鹿、会社員諫山明容疑者(31)を傷害の疑いで逮捕し、発表した。「泣きやまずイライラしてやった」などと話し、容疑を認めているという。

 発表によると、諫山容疑者は3月8日夜、自宅で、当時生後1カ月だった長女の顔を針金でできたハンガーで殴り、打撲を負わせた疑いがある。自宅には当時、諫山容疑者の妻と長男がいたという。(以後省略)

(参考)

保育所は増加・待機児童も増加』という怪奇現象の理由 
〜 政府にとって好都合な数字ではダメ
投稿日: 2015年09月30日 09時40分 JST 更新: 2016年09月29日 18時12分 JST

「保育園落ちた日本死ね」保活を勝ち抜いても…母親がはまる、さらなる落とし穴

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