退廃する日本の家庭
女性の貧困のことの記事を書こうとしていたら、下記の記事に出合った。
昨今の日本では起きてもおかしくはない事件だった。
この事件は、デリヘル主婦が単に誰の子か分からない嬰児を殺したのではなく、戦後、背景に潜む米国の日本人劣化戦略や賃金奴隷化戦略の結果であろう。それを悟ることさえ否定するマスメディアに洗脳された日本社会がここにある。
残念に思うのは、もしも陣痛が二人の子供が登校した後に始まったら、ひょっとして生まれた子は今も生きており、里子となっていたかもしれない。
産経WEST 2015.8.3
(以下、要点箇所のみ抜粋)
血で真っ赤に染まった浴槽の底で、産んだばかりの小さな赤ちゃんが力なく横たわっていた。風呂場で水中出産した女児をそのまま湯の中に放置して窒息死させたとして、殺人罪に問われた女(45)の裁判員裁判が7月、大阪地裁で開かれた。
女は「普通の主婦」として高校生と中学生の子供を育てていたが、実は家族に内緒で性風俗店で働き、思いがけず客の子を妊娠してしまったのだ。大きくなるおなかを隠し通した末の自宅での出産だった。
弁護側は女が出産当時、過呼吸に陥って意識がもうろうとしていたと主張し、「殺人でなく事故だった」と訴えたが、判決は女を「殺人犯」と認定した。
出産直後から家族の弁当作り
「ゼーハー、ゼーハー」
呼吸が荒くなる。体中の関節が外れて骨がばらばらになるような、腹が裂けるような激痛。過去の経験から陣痛だと分かった。
昨年9月19日早朝、女は湯を張った浴槽の中にいた。入浴中に急にお産が始まったのだ。予定日まではまだ1カ月あったが、もう遅かった。風呂から上がる余裕すらなかった。(中略)
女は浴槽の血を洗い流すと、赤ちゃんを胎盤と一緒に紙袋に入れ、さらにポリ袋で包み、1階の自室に隠した。そしてふらふらと2階の台所に上がり、家族の弁当を作り始めた。
朝夕は母親、昼は風俗嬢
元気な産声を上げるはずだった赤ちゃんが不幸な死を遂げた背景には、女の「秘密」が絡んでいた。
弁護側の冒頭陳述などによると、女は当時、夫と高校生の長女、中学生の長男と3階建ての自宅で暮らしていた。生活費の足しにするため、日中は中華料理店でパートで働き、月5万~6万円を稼いでいた。
(妊娠7ヶ月後受診)医師にすぐ「誰の子か分からないから堕ろしたい」と願い出たところ、断られた。すでに中絶ができる法律上の期間を過ぎていたからだ。
「堕ろせないなら産むしかない」と思ったが、「自分では育てられない」ため、隠れて産んで里子に出すことに決めた-と供述した。(中略)
捜査段階では「(赤ちゃんに)泣かれると家族にばれると思い、(湯から)すくい上げなかった」と供述していた女。
だが、公判では「殺そうと考えたことはない。助けを呼んだり、湯から取り上げることはできなかった」と否認に転じ、ほとんどのことを「覚えていない」と繰り返した。(中略)
【午前6時22分】
陣痛の最中、風呂場から長女にスマートフォンの無料通信アプリ「LINE」で、「今、上がれない。お母さんのカバンから(昼食代として)千円札持って行って」とメッセージを送信
【数分後】
湯船につかった状態で、風呂場に来た長女と顔を合わせ、「おなか痛くてお弁当作られへん」などと会話
【同6時半ごろ】
浴槽内で出産、赤ちゃん死亡
【同6時45分ごろ】
玄関先の長女に風呂場から「行ってらっしゃい」と声をかける。その後、風呂場の血を洗い流し、赤ちゃんの遺体を自室に隠す
【同7時ごろ】
2階の台所で長男の弁当作り。その後、長男を送り出す
【同9時半ごろ】
病院に「赤ちゃんを出産したが、死んでいる」と電話。看護師から119番をするよう言われる
【同10時ごろ】
大阪市の子ども家庭センターに「救急車を呼べといわれたが、まだ呼んでいない」と電話
【同10時15分ごろ】
家に駆けつけた同センター職員が室内で赤ちゃんの遺体を発見
(中略)
ただ、公判では、女が出産前に赤ちゃんの産着を買いそろえていたことも明らかにされた。そのエピソードからは、わが子の誕生を待ち望んだ母としての顔も浮かぶ。
赤ちゃんの命の灯が消えようとした瞬間、女が何を考え、どう行動したのかは、公判では分からないままとなった。
亡くなった女児は女の逮捕後、名前を付けられ、親族から死亡届が出された。