アベノミクスの平均値の誤魔化し

 
私たちは、EU欧州連合)でもドイツ国民(Germany)は他のEU諸国に比較し、高収入で裕福と思っていましたね。
 
果たしてそうでしょうか?
 
下記のPaul de Grauwe氏の主張を読みましたら、昨日の私のブログ記事『アベノミクス150万円のまやかし』をより理解できるでしょう。
 
(参考)昨日の私のブログ記事『アベノミクス150万円のまやかし』
 
(注)ポール·ドGrauwe氏はロンドンスクールオブエコノミクスの国際経済学教授とベルギー議会の元メンバーである。
Paul de Grauwe is Professor of International Economics at London School of Economics and former member of the Belgian parliament. Yuemei Ji is an aconomist at LICOS, University of Leuven, Belgium.
 
以下、本論
                    ★
 

Are Germans Really Poorer Than Spaniards, Italians And Greeks?

 2013.04.16 BY PAUL DE GRAUWE AND YUEMEI JI

【ドイツ人(Germans) はスペイン人、イタリア人やギリシャ人よりも本当に貧しいのですか?】

 
驚くなかれ、EU内でのドイツ国民所得の平均値では確かに裕福ですが、中央値となると、ドイツ国民の年収は最低になるのです。
 
                    ☆
 
平均値(AVERAGE)と中央値(MEDIAN)との違いの再確認
 
(例) 5人がいて、その年収額順に並べてみます。
 
a君 年収 1億円
b君 年収 1千万円
c君 年収 400万円
d君 年収 200万円
e君 年収 100万円
 
5人の年収平均値=(a+b+c+d+e)/5=(11700)/5= 2,340万円/人
 
5人の年収中央値=5人の中の中間に位置する人の年収=三番目のc君の年収=400万円/人
 
以上のことで、概要はわかりますね。
平均値と中央値では、6倍の差があるのです。
 
                    ☆
 
では具体論として
 
下記図1では、中央値で算出すると、何と、ドイツ国民(Germany)の年収は最下位なのです。グラフの右端が最下位ドイツですね。


イメージ 5


 
イメージ 1
 
                    ☆
 
中央値と平均値の富の比較は、それぞれの国の富の分配について公平度を明らかにする。
 
下記図3は、中央値に対しての平均値の比率。
グラフでの左端、ドイツでの平均世帯の富は中央値のほぼ4倍。
他の国の場合は、大半が1・5倍と2倍の間にある。
 
このグラフの意味することは、ドイツでは富の分配が不平等ということ。
 
つまり、富は裕福な家庭に集中していることで、ドイツに家計資産が確かに沢山あるが、それは一部の裕福な家庭に集中しているのであり、一般の家庭には無いことを意味する。
 
イメージ 2
 
                    ☆
 
家計の富の分配の不平等さは、所得クラスの最後の20%(貧困層)が所有している富と、所得クラスの上位20%(超金持ち)の富とを比較することによって、より一層鮮やかに示されています。
 
下記図4では、各国の所得上位20%と、所得下位20%との所得比較。
グラフ左端のドイツでは、この倍率が何と149倍。
 
ドイツとは、完全なる不平等格差社会ですね。
つまり、ユーロ圏の中で、最も不平等な国と言える。


イメージ 6


 
 
以下の説明は省略しますが、ここで述べられている結論は、確かにドイツは、ギリシャやスペインよりも国として裕福ではあるが、ドイツ国民の大半はそれらの国の国民よりも貧しい。
 
拠って、富める国ドイツが、他国をサポートする金を捻出するのなら、その金をドイツの貧しい納税者から巻き上げるのは妥当ではない。
 
その他国をサポートする費用は、ドイツの豊かな家計や企業部門の豊かな部分が負担することが合理的である。
 
 
                   ★
私見
安倍首相の唱える国民一人当たり年収150万円以上増とは、安倍首相本人がどこまで理解して叫んでいるのかは不明ですが、この150万円は恐らく国際金融資本代理人竹中平蔵氏の助言でしょう。
 
安倍首相の叫んでいるのは、国民総所得(GNI)の平均値のことですね。
 
つまり、国民一人当たり年収150万円増とは、国民全体が等しく享受するものではなく、企業や裕福層も含めての平均値です。
 
拠って、安倍首相は一般家庭で年収が150万円増えるとは決して言っていないのです。
 
富める者は益々富み、8割を占める一般家庭では減収し貧困になることは、既に小泉首相時代に実証されていますね。
 
 
Paul de Grauwe氏の主張を日本に適合するならば、消費税5%から8%⇒10%へのアップ分は、一般家庭に負わせるべきではない。
 
これら消費税アップ分は、国債乱発により益々富める企業や益々左うちわの裕福層に負担させるべきということになります。
 
 
                   ★
 
 
Paul de Grauwe氏のこの主張の全文は下記URLをクリック。
 
イメージ 3
 
 
 
イメージ 4